ホセ・デルガードとは? わかりやすく解説

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ホセ・デルガード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/25 15:49 UTC 版)

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ホセ・マヌエル・ロドリゲス・デルガード(José Manuel Rodríguez Delgado)
生誕 (1915-08-08) 1915年8月8日
スペインロンダ
死没 2011年9月15日(2011-09-15)(96歳)
カルフォルニア州サンディエゴ
居住 マドリード
研究分野 神経科学, 生理学, 精神医学
研究機関 エール大学
出身校 マドリード大学
カハール研究所
エール大学
主な業績 スティモシーバー
影響を
受けた人物
サンティアゴ・ラモン・イ・カハール
ジョン・ファーカー・フルトン
プロジェクト:人物伝
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この名前は、スペイン語圏の人名慣習に従っています。第一姓(父方の)はロドリゲス第二姓(母方の)はデルガードです。

ホセ・マヌエル・ロドリゲス・デルガード(Jose Manuel Rodriguez Delgado、1915年 - 2011年9月15日)は、スペインロンダ出身の脳科学者神経学者スティモシーバーを発明した医学者である。アメリカではホセ・デルガード(Jose Delgado)の名前で呼ばれていた。

1960年代に、体重450kgの巨大な闘牛の脳に電極を埋め込み、無線機の電波を送ることで、その牛の突進を自分の目前でストップさせるという実験を行ったことで有名である[1][2]

経歴

ロドリゲスデルガドは、1915年にスペインマラガ県ロンダで生まれた。スペイン内戦の勃発直前には、マドリード大学で医学博士号を取得した。スペイン内戦中は、共和党側に加わり、マドリード大学で医学生として医学を学んでいる間、医療軍団を務めたものの、終戦後5か月間は強制収容所に収容された[3]。収容所で奉仕した後に、彼は博士号を再度取得する必要が出てきたため、マドリードのラモン・イ・カハール研究所で再度博士号を取得した。

デルガドの父親は眼科医であり、当初はそれを継ぐ予定であったが、1906年にノーベル賞受賞者のサンティアゴ・ラモン・イ・カハールの著作を読んだことで生理学に興味を持ち、眼科医になることはやめてしまった。デルガドは、「脳については多くの謎があり、当時はほとんど知られていなかったし、現在でもほとんど知られていない」という言葉に魅了されていた[3]

1946年、アメリカに渡り、デルガドはエール大学の生理学部でジョン・F・フルトンの指導の元、特別研究員となった。 1950年には、当時フルトンが率いていた生理学部門の職に就いた。 1952年に、彼は電極を人間に埋め込むことに関する彼の最初の論文を共同執筆した。初期の人間の脳を理解するための研究成果は、1969年にまとめられ『心の物理的支配:精神操作社会に向けて(Physical Control of the Mind : Toward a Psychocivilized Society)』として出版された。当初は主に動物を対象とし、脳に電極を埋め込む実験も行っていたが、その結果被験動物の脳に電流を流すと睡眠状態からかなりの興奮状態まで行動を操作できることが明らかになった[4]

1970年代初め、脳に埋め込むチップであるスティモシーバーを発明したものの、1974年にはアメリカ国内で激しい批判に遇うことになり、追放同然にスペインへ帰国することとなる。 その際、スペインの教育大臣であるヴィラールパラシ(Villar Palasí)は、デルガドに、マドリード自治大学の新しい医学部の組織化を要請し、デルガドはパラシの提案を受け入れ、マドリード自治大学医学部の教授として、1974年に妻と2人の子供とともにスペインに転居した[3]

1980年代には、装置を脳に埋め込まず外部から電磁気パルスを送ることでスティモシーバーと同様の機能を持つ装置を発明した[5]。1985年には、この電磁波は地球が自然発生しているものの50分の1の振動エネルギーの高周波で良いことも突き止められた[6]。1990年には研究から引退した。

デルガドは、2011年9月15日に死去の直前、妻のキャロラインと共にカリフォルニア州サンディエゴに最後の引っ越しをした。

事件

デルガードの発明は人間を洗脳して操る装置として何度も批判や訴訟の対象になってきた。

1970年に「脳にスティモシーバーを埋め込まれた」という人物が現れエール大学とデルガードを訴えた。この訴えは完全な妄想に過ぎなかったが[7]、同様の訴えを誘発することになり一大事件になった。

逆に、暴行で刑務所に入っていた娘が大人しくなる様にスティモシーバーを埋め込んでくれと懇願され、これを拒否している。

1980年にはBBC放送のドキュメンタリー番組でデルガードの発明を根拠として、ソ連が人の思考を遠隔操作する研究をしているという報道をして大騒ぎになった[8]

1980年代のマドリード自治大学での研究では多数の人体実験を行っており、被験者の中には実の娘も含まれている、そのため一部のマスコミからは悪魔の科学者との批判を受けている。ただし、この当時に行われた実験の大半は人体を侵躙しない方式であり死亡したり廃人になった被験者は1人も出ていない。

脚注

  1. ^ 吉永(1989) pp.79-81
  2. ^ Jose Delgado and Mind Control(YouTube)
  3. ^ a b c Horgan, John (October 2005). “The Forgotten Era of Brain”. Scientific American: 66–73. https://www.wireheading.com/delgado/brainchips.pdf. 
  4. ^ ベギーチ(2011) pp.117-118
  5. ^ ベギーチ(2011) pp.118-119
  6. ^ 重要なのはエネルギー量ではなく、周波数、波形、パルス率だと言われる。ベギーチ(2011) p.119
  7. ^ 統合失調症に同様の妄想を主張する症状がある(意欲体験)。西丸(1982) p.87
  8. ^ BBCではないがCNNのドキュメンタリー番組。CNN: Electromagnetic Mind Control Weapons (1 of 2)CNN: Electromagnetic Mind Control Weapons (2 of 2)

関連項目

参考文献

  • ニック・ベギーチ『電子洗脳 あなたの脳も攻撃されている』内田 知穂子(訳)、成甲書房、2011年。
  • 吉永良正『電磁波が危ない あなたの脳と体を蝕む「見えない脅威」とは』光文社〈カッパ・サイエンス〉、1989年。
  • 西丸四方『精神医学入門』南山堂、1982年、第21版。

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