ヘルペスウイルスとの結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/30 15:43 UTC 版)
「USP7」の記事における「ヘルペスウイルスとの結合」の解説
USP7はもともと単純ヘルペスウイルス(HSV)のICP0(英語版)タンパク質に結合するタンパク質として同定された。HAUSPという名称はこのことに由来している。ICP0は自身や特定の細胞タンパク質のユビキチン化とその後の分解に関与するE3ユビキチンリガーゼである。USP7はICP0の自己ユビキチン化と分解を調節することが示されている。 より近年になって、USP7がエプスタイン・バール・ウイルス(EBV、他のヘルペスウイルス)のEBNA1タンパク質とも相互作用することが発見された。EBVには発がん性があり、いくつかのヒトのがんと関係していることから、この相互作用は特に興味深いものとなっている。EBNA1はUSP7への結合をめぐってp53と競合する。細胞内でEBNA1はUSP7をp53から隔離してp53の安定化を弱め、細胞をがん化しやすい状態にする。こうしたUSP7の隔離によるp53の機能の低下は、EBNA1がEBVの発がん性に寄与する方法の1つである。さらに、ヒトのUSP7はGMPSと複合体を形成し、この複合体がEBVのゲノム配列へリクルートされることも示されている。ヒト細胞ではUSP7はヒストンH2Bの脱ユビキチン化に重要であり、同様にEBVのゲノムに取り込まれたヒストンH2Bの脱ユビキチン化にも重要である。このようにUSP7はウイルス遺伝子の発現の調節にも重要である可能性がある。
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