フィドとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > フィドの意味・解説 

フィド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/01 15:54 UTC 版)

フィドイタリア語: Fido1941年 - 1958年6月9日)は、イタリア[1]Fidoイタリア語で「信頼」を意味する語から[1]

1941年11月のある夜、トスカーナ州ボルゴ・サン・ロレンツォ煉瓦工房で働くカルロ・ソリアーニ(Carlo Soriani)は仕事帰りに自宅最寄りバス停からほど近い溝に落ちて身動きが取れなくなっていた野良犬を助け出し、家に連れて帰って治療を行った。カルロと妻はその野良犬をフィドと名付けて飼う事にした[1]

快復したフィドは働きに出るカルロをバス停まで見送り、また夕方になるとバス停まで行き、バスから降りてくるカルロを出迎えた。フィドはこれを毎日繰り返した[1]

1943年12月30日、ボルゴ・サン・ロレンツォは連合軍による空襲を受けた。多くの工房が破壊され、多くの死者が出た。カルロ・ソリアーニもこの時の空襲で死亡した。その日の夕方もフィドはバス停までカルロを出迎えに行ったが、カルロはバスから降りて来なかった。夜になってフィドはカルロの家に帰ったが、翌日もその翌日も、以降、フィドが死ぬまで14年間、毎日夕方になるとバス停へ出迎えに行っていた[2]

イタリアの雑誌『Gente英語版』と『Grand Hotel英語版』はフィドの存命中にこのことを誌面で採り上げ、映画会社イスティトゥート・ルーチェ英語版ニュース映画にも何度か採り上げられた[3][4][5]

1957年11月9日に、ボルゴ・サン・ロレンツォの市長はソリアーニ夫人を含む多くの市民の前でフィドに金メダルを授与した[1]。また、アメリカの雑誌『タイム』も1957年4月にフィドについての記事を掲載している。同年内にボルゴ・サン・ロレンツォは彫刻家Salvatore Cipollaに依頼し、記念碑を作成、ボルゴ・サン・ロレンツォのダンテ広場(Piazza Dante)にフィドの像を設置した。この記念碑はマヨリカ焼きで作られたが何者かに破壊されたため、市は再度、Salvatore Cipollaに依頼し、銅像を設置した。こちらの銅像はダンテ広場に現存している[6]

1958年6月9日、フィドはカルロを待ったまま死んだ。新聞のLa Nazione英語版はフィドの死を紙面に乗せ、同年6月22日にはLa Domenica del Corriere英語版紙がフィドの物語を載せ、イタリアの漫画家ウォルター・モリーノ英語版が挿絵を添えた。フィドの遺体は、ボルゴ・サン・ロレンツォの墓地、カルロの墓の近くに埋葬された。

出典

  1. ^ a b c d e 切なくて胸がきゅんとする。その忠誠心から歴史に名をのこした10匹の忠犬伝説”. カラパイア (2018年2月21日). 2019年2月14日閲覧。
  2. ^ educazione cani”. Dallapartedelcane.it. 2019年2月14日閲覧。
  3. ^ Archivio Storico Istituto Luce – home”. Archivioluce.com. 2012年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月6日閲覧。
  4. ^ Archivio Storico Istituto Luce – scheda”. Archivioluce.com. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月6日閲覧。
  5. ^ Archivio Storico Istituto Luce – scheda”. Archivioluce.com (1957年12月13日). 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月6日閲覧。
  6. ^ Ecco chi abbatté la statua di Fido” (イタリア語). Il Filo. 2019年2月14日閲覧。

関連項目


「フィド」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フィド」の関連用語

フィドのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フィドのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのフィド (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS