ピアノ協奏曲第1番_(バラキレフ)とは? わかりやすく解説

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ピアノ協奏曲第1番 (バラキレフ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/21 13:34 UTC 版)

ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調 作品1 は、ミリィ・バラキレフが作曲したピアノ協奏曲

概要

バラキレフは10歳からモスクワアレクサンドル・デュビュークの下でピアノを学び、アレクサンドル・ウリビシェフとの出会いによって様々な音楽と出会って見識を広めていた[1]。その学びは1853年よりカザン大学で数学に取り組んだことで一時中断されることになるが、その後ウリビシェフの手引きでサンクトペテルブルクの音楽界の仲間入りを果たし、ミハイル・グリンカの面識を得ることになる[1]

本作の作曲は1855年から1856年にかけて進められ[1][2]、バラキレフ自身の独奏により1856年2月にサンクトペテルブルクのある大学の演奏会で初演された[1][2][3]。当時21歳の彼にとってデビューとなったこの演奏会は大きな成功を収めた[1][2][3]アレクサンドル・セローフはその時の様子を「聴衆は熱のこもった万雷の拍手で称賛を示した」と書き留めている[1]。その後皇帝の御前でベートーヴェンピアノ協奏曲第5番を演奏するなどしたバラキレフであったが、自らが人前での演奏に気乗りがしないということを認識していくことになる[1]

曲は古典的な形式でまとめられており、特にバラキレフが終生愛したショパンピアノ協奏曲第1番の影響が色濃く表れている[1][3]。多楽章制の協奏曲の第1楽章に相当する内容の本作であるが、バラキレフの興味は他の作品へと移ってしまい単一楽章の作品として残されることになった[3]。彼は本作の他にもピアノと管弦楽の協奏的作品として『ロシア民謡による大幻想曲』とピアノ協奏曲第2番を手掛けているが、第2番の協奏曲も未完のままとなり作曲者の死後にリャプノフの手によって完成された[1][2][3]

楽器編成

ピアノ独奏フルート2、オーボエ2、クラリネットファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ弦五部

楽曲構成

Allegro molto 4/4拍子 嬰ヘ短調

ソナタ形式[1]。ティンパニのロールに続いて低弦から主題が示される[1]。木管による歌い継ぎを経て、弦楽器の強奏によってその全貌が露わになる(譜例1)。

譜例1


\relative c''' \new Staff \with { \remove "Time_signature_engraver" } {
 \key fis \minor \time 4/4 \set Score.tempoHideNote = ##t \tempo "Maestoso" 4=120
 d8.\ff fis16 cis2 cis8. b16 b8. fis'16 a,2 a8. gis16
 fis16\< fis' fis fis \repeat tremolo 12 fis16
 g\f ( e) e\p ( cis) cis( ais) ais( g) g( f) f( d) d( b) b( g)
}

第2主題はクラリネットから出されるイ長調の譜例2である。弦楽器のピッツィカートに乗ったこの主題はモーツァルト風の優雅さを漂わせると評される[1][2]

譜例2


\relative c'' \new Staff \with { \remove "Time_signature_engraver" } {
 \key fis \minor \time 4/4 \set Score.tempoHideNote = ##t \tempo "" 4=120 \partial 2
 cis2\p ~ cis~ cis8 cis( c cis d cis b a gis4 cis8. b16 a4 e4.) e8( fis gis
 \acciaccatura b a gis a cis b4) gis'8.\> ( fis16 e4) b2\!
}

管弦楽による主題の提示を終えるとピアノが加わる。華麗なパッセージに続いて譜例1を奏していく。ピアノが譜例2も奏し終えると管弦楽に中心が移り、両主題を改めて示していく。その後はオーケストラは沈黙してピアノの独奏となり、多彩な技巧を盛り込んで各主題が扱われていく。管弦楽トゥッティを挟んでごく短いピアノのカデンツァが置かれ、再現部に入っていく。ピアノによって嬰ヘ短調の譜例1、変ト長調の譜例2が再現され、提示部同様の結尾が続く。ピアノがトレモロを奏したかと思うと変ト長調で譜例1を回想してそのまま終わりを迎える。

出典

参考文献

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