ヒュンダイ・i20 WRCとは? わかりやすく解説

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ヒュンダイ・i20 WRC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/27 03:43 UTC 版)

ヒュンダイ・i20 WRC
概要
設計統括 ベルトラン・バラ
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 3ドアハッチバック
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 1.6L 直列4気筒ターボ
最高出力 304PS (300hp)/6,000rpm
最大トルク 400Nm (40.8kg·f)/5,000rpm
変速機 6速シーケンシャル
サスペンション
前: マクファーソンストラット
後: マクファーソンストラット
車両寸法
ホイールベース 2,525mm
全長 4,030mm
全幅 1,820mm
系譜
後継 ヒュンダイ・i20クーペWRC
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ヒュンダイ・i20 WRC (Hyundai i20 WRC ) は、韓国現代自動車世界ラリー選手権 (WRC) 参戦のため開発した競技専用車(ワールドラリーカー)である。

概要

テスト仕様(2013年)

ヒュンダイとしては、アクセントWRC2000年2003年)以来のWRカー。ヒュンダイ・i20をベースに、2014年からの再参戦を目標として、設計は韓国、開発はヒュンダイ・モータースポーツのヨーロッパに於ける拠点であるドイツで行われた[1]。技術開発部門のトップであるテクニカルディレクターはベルトラン・バラが務めていたが、2014年5月より新たにニノ・フリソン[注 1]が就任した[4]

テストドライバーは、ユホ・ハンニネン、ブライアン・ブフィエ、クリス・アトキンソン[5]。複数年契約を締結したエースドライバーのティエリー・ヌービルは、前所属チームであるMスポーツとの契約が2013年12月まで残っていたが、ヒュンダイが交渉し11月下旬からのテスト参加が認められた[6]

2017年からベース車両は2代目3ドアモデルのi20クーペとなっており、WRカーの名称も「ヒュンダイ・i20クーペWRC」に変更されている。

メカニズム

エクステリアは、規格一杯に大きく張り出したオーバーフェンダーと2段に分かれた大型のリアウイングが特徴。他のWRカーに比べて、全長とホイールベースが長い[7]

エンジンはピポ・モチュール社がチューニングした1.6L 直列4気筒ターボGDi。サスペンションは、前後REIGER製のマクファーソンストラット[7]。駆動方式はフルタイム4WDで機械式LSDを採用する。タイヤサプライヤーはミシュラン

沿革

2014年ラリー・ドイチェランド(初優勝)

2012年7月、パリ・モーターショーで初公開[8]

2014年1月、デビュー戦の第1戦モンテカルロでは、初日のDAY1で1台がコースオフ、1台は電気系トラブルでそれぞれリタイアしたが、第3戦のメキシコではヌービルが3位に入り、初ポディウムを獲得した。第9戦のドイツではフォルクスワーゲン勢の二人のリタイアによりヌービルが自身とチームに初優勝をもたらし、ソルドも2位に入りチーム初の1-2フィニッシュを果たした。これはこのシーズン唯一の、フォルクスワーゲン以外のマニュファクチャラーによるイベント優勝でもあった。その後残りの4戦もライバルと互角の走りを見せマニュファクチャラーズランキング4位でシーズンを終えた。また、ブライアン・ブフィエがフランスラリー選手権の第4戦ラリー・アンティーブ・コートダジュールにて優勝を果たした。

2015年シーズンは新型モデルの開発と並行して改良が施され、第2戦スウェーデンではヌービルが2014年シーズンチャンピオンのセバスチャン・オジェと激闘の末2位を獲得。シーズン全体では未勝利であるものの、コンスタントにポイントを獲得しながらシトロエンと接戦を繰り広げ、マニュファクチャラーズランキング3位でシーズンを終えた。

2016年は、他社が2017年に導入される新WRカーの開発に注力する中で、ヒュンダイのみが5ドアの新型i20を投入。もともと2015年中に2代目i20のクーペ(3ドア)を投入予定だったが、FIAが5ドアとクーペを別のファミリーだと判断したため25,000台の量産が必要となり断念。さらに5ドアに変更した影響で開発が遅れてホモロゲーション取得予定もズレ込んだため、現行規定が終わる2016年しか使用できない[9]が、2017年規定マシンの開発に役立つ部分は多かったとされている。

ヌービルがサルディニア、初のフル参戦となるヘイデン・パッドンアルゼンチンと、グラベルラリーで王者フォルクスワーゲンを下し、マニュファクチャラーズランキング2位でシーズンを終えた。

なお、これらのマシンは2017年以降はプライベーターに供給されなかったためWRC出場を行ってはいない。一方で2016年モデルはマーカス・グロンホルムがチームボスのミシェル・ナンダンとのコネクションで入手しており、世界ラリークロス選手権参戦用マシンに改造して、息子のニクラスらが現在レースで使用している。またケン・ブロックも2022年にARA(アメリカ・ラリー・アソシエーション)ナショナル選手権において、i20 WRCをドライブして参戦した。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ F1、WRC、DTMなどに携わり経験豊富なエンジニア。WRCでは2007年からスズキのチーフデザイナーとなり[2]、当時スズキでテクニカルディレクターを務めていたヒュンダイ・チーム代表のミシェル・ナンダンの下でマシン開発を行っていた[3]

出典

  1. ^ “ヒュンダイi20 WRCが初テスト”. RALLY PLUS.NET. (2013年5月28日). http://as-web.jp/rallyplus/news/info.php?no=25784 
  2. ^ “チーフデザイナー ニノ・フリソン インタビュー”. SUZUKI MOTOR SPORTS. (2007年). http://www.globalsuzuki.com/motorsports_2007/interview/frison/j/index.html 
  3. ^ “ヒュンダイのテクニカルディレクターにフリソン”. RALLY·X. (2014年5月21日). http://rallyx.net/news/ヒュンダイのテクニカルディレクターにフリソン-10557/ 
  4. ^ “ヒュンダイ、新テクニカルディレクターにニノ・フリソンを任命”. RALLY PLUS.NET. (2014年5月26日). http://as-web.jp/rallyplus/news/info.php?no=26395 
  5. ^ “アトキンソンもヒュンダイのテストドライバーに”. RALLY·X. (2013年7月26日). http://rallyx.net/news/アトキンソンもヒュンダイのテストドライバーに-9418/ 
  6. ^ “ヌービルがヒュンダイi20WRCを初テスト”. RALLY·X. (2013年11月24日). http://rallyx.net/news/ヌービルがヒュンダイi20WRCを初テスト-9903/ 
  7. ^ a b “ヒュンダイ・シェル・ワールドラリーチーム発進”. RALLY·X. (2013年12月10日). http://rallyx.net/news/ヒュンダイ・シェル・ワールドラリーチーム発進-9964/ 
  8. ^ “ヒュンダイトラックの価格表”. RALLY PLUS.NET. (2016年12月20日). https://hyundai-mpc.vn/xe-tai-hyundai 
  9. ^ “ヒュンダイ、開発に1年をかけた新型i20 WRC公開”. AUTOSPORT.web. (2016年12月10日). http://archive.as-web.jp/news/info.php?c_id=3&no=70052 2017年1月12日閲覧。 

関連項目

外部リンク




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