ヒメウシオスゲ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 04:37 UTC 版)
ヒメウシオスゲ | ||||||||||||||||||||||||
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![]() ヒメウシオスゲ
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Carex subspathacea Wormsk. ex Hornem. 1813. |
ヒメウシオスゲ Carex subspathacea Wormsk. ex Hornem. 1813. はカヤツリグサ科スゲ属の植物の1つ。寒冷地の塩性湿地に生える。
特徴
群生を作る多年生の草本[1]。根茎は横に這う。根茎は太くて剛強で長く伸びる[2]。基部の鞘は赤紫色を帯び、また葉身が発達する。また鞘はやや繊維質に細かく裂ける[3]。葉身は幅0.5~1.5mmで、縁は多少ながら内側に巻いている。葉質は柔らかくて、ざらつかず滑らかとなっている。また葉裏は粉白色となっている[4]。
花茎は草丈の半分程度の高さになる[5]。花茎の高さは5~30cm。小穂は2~4個付き、頂小穂は雄性、側小穂は雌性となっており、何れも直立している。花序の苞は葉身が発達しており、基部には鞘がない。頂生の雄小穂は線形で長さは5~20mm。側生の雌小穂は長さ5~15mm。雌小穂の形は円柱形[6]。雌花鱗片は果胞より短く、卵形で先端は鈍く尖っており、色は紫褐色で中脈は緑色となっている。果胞は長さ3~4mmで卵形をしており、断面は平凸型となっている。先端部では著しく短い嘴があり、口部は滑らかとなっている。また表面には全体に小点が密布しており、色は灰緑色、脈はない。果実は長さ2~2.5mm、断面はレンズ状で柱頭は2つに裂ける。
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生育地の様子・シバナと混成している
分布と生育環境
日本では北海道と本州の青森県でのみ見つかっており、国外では周北極地域に広く分布している[7]。
海岸の塩湿地に生育する[8]。そのような地域の中では塩分濃度の高くない場所に生育し、ウミミドリなどと共に群生している[9]。
分類、類似種など
頂小穂が雄性、側小穂が雌性、苞には鞘がなく、果胞は小点を密布、柱頭は2つに裂けるといった特徴から勝山(2015)では本種をアゼスゲ節 sect. Phacocystis としている[10]。この節には日本に25種ばかりがあり、その中で鱗片が濃色になるのはアゼスゲ C. thunbergii など15種ほどがあるが、小穂が直立し、また果実の時期に花茎が草丈より遙かに低いものはごく少なく、本種の他にはウシオスゲ C. ramenskii がある程度である。
ウシオスゲもやはり寒冷地の塩性湿地に生えるもので、日本では北海道でのみ知られるが、この種は花茎の高さが30~50cm、葉幅が2~3mmと本種よりかなり大きいものであり、また基部に葉身のない鞘をつける点なども異なっている[11]。また果胞が鱗片より長いこと、無脈であることでも区別出来る[12]。またこの種の方が本種より塩分濃度の低いところに出現する[13]。
保護の状況
環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧(NT)に指定されており、道県別では青森県で絶滅危惧I類に指定されている[14]。
出典
- ^ 以下、主として勝山(2015) p.109
- ^ 星野他(2011) p.168
- ^ 星野他(2011) p.168
- ^ 星野他(2011) p.168
- ^ 中西(2018) p.240
- ^ 星野他(2011) p.168
- ^ 勝山(2015) p.109
- ^ 勝山(2015) p.109
- ^ 中西(2018) p.240
- ^ 勝山(2015) p.96-127
- ^ 勝山(2015) p.108
- ^ 星野他(2011) p.168
- ^ 中西(2018) p.241
- ^ 日本のレッドデータ検索システム[1]2024/03/15閲覧
参考文献
- ヒメウシオスゲのページへのリンク