ネグスとは? わかりやすく解説

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ネグス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/27 02:38 UTC 版)

ネグスの称号を持つゴジャム英語版の王テクレ・ハイマノット英語版

ネグス英語: Negusゲエズ語: ንጉሥnəgueś [ゲエズ語]アムハラ語: ነጋሲnegus [アムハラ語])は、エチオピア・セム諸語エチオピア貴族と宮廷の諸称号英語版で「王」を意味する用語である[1]。通常この称号は、1974年以前のエチオピアにおいて、ネグサ・ナガストつまり「諸王の王」から、地域の支配者に与えられた[2]。従ってネグスは、「諸王の王」のもとの「王」という関係となる。イスラームの伝統では、ネグスはAl-Najashi(النجاشي)として知られている。

歴史

ネグスエチオピア・セム諸語三語根英語版ngś(「支配する」という意味)に由来する名詞である。称号のネグスは古代ギリシア語ではバシレウスギリシア語: βασιλεύς)へ翻訳されており、バシレウスという表記はアクスムの貨幣英語版に多く見られる。その称号は聖書やその他の文学作品において一貫して「王」や「皇帝」と翻訳されていた。

この称号は、少なくともアクスム王国時代初期には成立していた。もっとも早い時期の同時代史料は、エチオピアで出土したアクスム王国のブロンズ製奉納品の刻文で、gdr/ngs/'ksmと刻まれており(アクスムの王GDR)、紀元200年頃のものとされている(柘植1994)。更に後世になると、最重要の諸州(諸王国)の知事に授けられる名誉称号として利用された。その諸州とは、ゴジャム英語版ベゲムデル英語版ウォロ英語版ティグレの各州や、海岸沿いの王国である。海沿いの王国ではバフリー・ネガシ英語版(海の王)という称号が使われており、現在の中央エチオピアの支配者の称号だった。軍事称号である「Meridazmatch」は、当初はショア英語版支配者たち英語版によりサーレ・セラシエ英語版(在位1813-47年)の時代まで使われた。サーレ・セラシエと彼の子孫たちはこの称号を王号としても採用した[3][4]

語源

エチオピア・セム諸語群のマリク(m-l-k)が発展するにつれ、その起源となる王を意味するセム系言語の三語根英語版が、壊れた複数形英語版「ʾämlak/ʔamlāk」の表記で「神」を意味する一般用語へと発展した。これと並行してセム系言語で「支配者」や「領主」を意味するn-g-sが王を意味するようになっていった。アッタル神に言及している古代アラム語の碑文では、彼の名前は𐡍𐡂𐡔ngš)という称号を冠しており、古代北アラビア語の支配者を意味する𐪌𐪔𐪆ngś)に対応している[5]

ポピュラーカルチャー

第80回スクリップ・スナショナル・スペリング・ビー英語版では、出場者のアンドリュー・レイ(Andrew Lay)が、視聴者が驚くような反応を引き出す用語として「negus」のスペルを書くことを要求され、人気ビデオのスニペット集にもくわえられた。ケンドリック・ラマーの2015年の曲「i」でもこの用語が登場し、Nワードと「negus」を比較して描いている。

参考文献

関連項目

脚注




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