ドラマにおけるテーマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 23:52 UTC 版)
「ドン・カルロ」の記事における「ドラマにおけるテーマ」の解説
このオペラにおいては二つの公的な対立と幾つかの個人的葛藤によって構成されている。一つ目の対立は宗教界における旧教と新教の対立であり、スペインはカトリック教の有力な勢力であるのでフィリッポ2世と大審問官(宗教裁判長)がこれにあたる。一方、フランドル地方は新教徒が多く、ポーザ候ロドリーゴとドン・カルロがこちらの代表となる。この宗教対立は当時のフランスではマイアベーアの『ユグノー教徒』、『預言者』やジャック・アレヴィの『ユダヤの女』などで好んで採り上げられ、いずれもヒットしていた。二つ目の対立は政治権力(フィリッポ2世)と宗教権力(宗教裁判長)だが、当時の状況では後者の方が明らかに強かったことが分かる。個人的葛藤はカルロとエリザベッタの宿命的恋、エボリ公女の嫉妬、フィリッポ2世の妻との不仲、フィリッポ2世とエボリ公女の不倫、カルロとロドリーゴの友情である。こういった個人的葛藤が重々しく展開される。この点では『オテロ』と双璧だが、オテロでは彼個人の問題として進行するが、『ドン・カルロ』では主役たち全員が異なった対象と苦闘し、男性は英雄として挫折し、女性は愛のために身を滅ぼしていくのである。
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