デュエットをする歌い手とテオルボ奏者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/25 14:10 UTC 版)
フランス語: Duo entre une chanteuse et un joueur de théorbe 英語: Duet between a Singer and a Theorbo Player |
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作者 | カスパル・ネッチェル |
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製作年 | 1664年 |
種類 | 板上に油彩 |
寸法 | 48 cm × 38 cm (19 in × 15 in) |
所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
『デュエットをする歌い手とテオルボ奏者』(デュエットをするうたいてとテオルボそうしゃ、仏: Duo entre une chanteuse et un joueur de théorbe、英: Duet between a Singer and a Theorbo Player)、または『歌の稽古』(うたのけいこ、仏: La Leçon de chant、英: The Singing Lesson)は、17世紀オランダ黄金時代の画家カスパル・ネッチェルが1664年に板上に油彩で制作した絵画である。1742年にフランス国王ルイ15世に取得され[1]、現在、パリのルーヴル美術館に所蔵されている[2]。
作品


本作は豪華な室内で繰り広げられる音楽演奏の場面を表しており、これは17世紀のオランダで好んで取り上げられた主題の1つである。同時に、この主題には、象徴的および道徳的意味合いが潜んでいる[2]。
画面中央には、手に楽譜を掲げた白いドレスの女性が座っている。その右側にはテオルボと筒状の文書を持つ青年が腰掛け、彼女に話しかけている。女性の背後には、鮮やかな黄色のドレスと毛皮の上着を着た別の女性が立ち、物思いに耽る白いドレスの女性と青年を見つめている。左側背後に広がるのは、薄暗い公園の風景である[2]。
この情景が単に音楽の場面を描いたものではないことは、冷却器の中にあるワインの壺、そして女性と青年の真ん中に見える壁龕の彫像から明らかである。こうした描写は、2人の関係が劇的な展開を迎えていることを示唆している[2]。
壁龕の彫像は17世紀イタリアの彫刻家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの『プロセルピナの略奪』 (ボルゲーゼ美術館、ローマ) に酷似している[1][2]が、ベルニーニの彫像はローマ神話の豊饒の女神プロセルピナが冥府を司る神プルートに強奪される姿を表現したものである[2]。ネッチェルは師のヘラルト・テル・ボルフからデュエットという場面を受け継ぎつつ、彫像や神秘的で暗い風景など隠喩に富む背景を用いることで、その場面をさらに発展させている[2]。
本来、この絵画はほぼ正方形であったが、18世紀に縦長の長方形に拡大された。また、ルーヴル美術館蔵の別のネッチェルの作品『バス・ヴィオルの奏者』の対になるように上部がアーチ型の額縁に入れられた[1]。
脚注
参考文献
- ヴァンサン・ポマレッド 監修・解説『ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて』、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2011年刊行、ISBN 978-4-7993-1048-9
外部リンク
- デュエットをする歌い手とテオルボ奏者のページへのリンク