ゼン・ジェリコとは? わかりやすく解説

ゼン・ジェリコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/13 04:20 UTC 版)

ゼン・ジェリコ
Then Jerico
ゼン・ジェリコ
基本情報
出身地 イングランド ロンドン
ジャンル オルタナティヴ・ロック[1]ポップ・ロックニュー・ウェイヴ[2]
活動期間 1983年 - 1990年1998年 -
レーベル ロンドン
公式サイト www.thenjerico.com

ゼン・ジェリコThen Jerico)は、イングランドロック・バンド。彼らは1980年代にイギリスでトップ40ヒットを4曲記録した[3]

業績

バンドの初期ラインナップには、シンガーのマーク・ショウ、ベーシストのジャスパー・ステインソープ、ドラマーのスティーヴ・レン、ギタリストのスコット・テイラーが在籍していた[4]

バンドは1983年にニューヨークのライムライト・クラブで演奏し、1984年にロンドン・レコードと契約した。シングル「The Big Sweep」はロンドンのために録音されたが、ロンドン側は歌詞の主題(ロバート・マクスウェル/ルパート・マードックに対する声明)に異議を唱えた。この曲は、1985年にプロデューサーのマーティン・ラシェントが自身のレーベル、Immaculateから初めてリリースし、後に新曲「Fault」とともにロンドン・レコードから限定版としてリリースされた[4]

バンドの曲「マッスル・ディープ」と「ザ・モーティヴ」は1987年にチャート入りした[4]。彼らは2枚のアルバムで成功を収めた。ショウとオーウェン・デイヴィスが共同プロデュースした『ファースト (ザ・サウンド・オブ・ミュージック)』(1987年)は、全英アルバムチャートで35位に達した[5]。続いて1989年にリリースされた『ザ・ビッグ・エリア』はゴールドディスクとなり、全英アルバムチャートで4位に達した[5]。リック・ノウェルズがアルバムの数曲をプロデュースしており、これによって2枚目のシングルとしてリリースされた「ホワット・ダズ・イット・テイク?」ではベリンダ・カーライルがバック・ボーカルで参加することとなった[6]

1988年にグループの2枚目のアルバムに先駆けてリリースされた「ビッグ・エリア」は、全英シングルチャートで最高13位を記録し、チャートで最大の成功を収めた[5]

オリジナルのゼン・ジェリコのメンバーは1990年初頭に解散し[7]、マーク・ショウはソロ活動に転向した。彼は1991年にEMIから唯一のスタジオ・アルバム『Almost』をリリースした[8]。このアルバムはギタリストのアンディ・テイラーがプロデュースし、「Love So Bright」と「Under Your Spell」という2枚のシングルが収録されている[4]。ショウは1993年にテイラーとともに「ゼン・ジェリコ2」名義でいくつかの小さなクラブ公演を行った[9]

1998年、ショウはゼン・ジェリコを再結成し、イーグル・ロックからリリースされた自費アルバム[8][10]『Orgasmaphobia』の楽曲を書いた。このアルバムはマーク・ショウとアンディ・テイラーが共同プロデュースし、テイラー、シンプル・マインズのキーボード奏者ミック・マクニール、作家イアン・バンクスがコラボレーションを行った。2000年には、Yeaah!レコードからライブ・アルバム『Alive & Exposed』がリリースされた。レコードは「Then Jerico... Mark Shaw Etc.」としてクレジットされていル。これは、1992年夏にロンドンのクラッパムにあるグランド・シアターで行われたコンサートの録音となっている[11]。新曲「Step into the Light」が収録されている[11]

ショウは2012年に、マーク・ショウ、ギタリストのロブ・ダウンズとスコット・テイラー、ベーシストのジャスパー・ステインソープ、ドラマーのスティーヴ・レンからなるバンドのオリジナル・ラインナップで新たなゼン・ジェリコのツアーに乗り出した[12]

2013年には、ワーナー/ライノ・ミュージックからのコンピレーション・アルバム『Reprise』[13] のリリースを宣伝するために「Repriseツアー」が開始され[13]、「Henley's Rewind the 80s Music」[14][15]や「Let's Rock Bristol festivals」[16]など、数多くのイベントに出演した。

2014年2月、「オリジナル」のゼン・ジェリコは継続できなくなった。しかし、リード・シンガーのマーク・ショウは、契約に基づき、その年の5月、6月、7月に開催されるレッツ・ロック・フェスティバルの日程をこなすために、新たなラインナップで活動を続けた。ショウは2016年7月16日にロンドンのクラパム・コモンで開催された「レッツ・ロック・ロンドン」に出演する前、2015年のうちにクラブ・ショーで演奏した。マーク・ショウは歌手のトニー・ハドリーやSASバンドとも断続的に活動している。

2020年4月27日、ギタリストのスコット・テイラーが脳腫瘍のため58歳で亡くなった[17][18]

メンバー

現在のメンバー

マーク・ショウ(1988年)
  • マーク・ショウ (Mark Shaw) – ボーカル (1983年–1990年、1998年– )[19]
  • ライアン・ウィリアムス (Ryan Williams) – ギター
  • マグナス・ボックス (Magnus Box) – ベース
  • ポール・デイヴィス (Paul Davis) – ドラム

旧メンバー

  • ジャスパー・ステインソープ (Jasper Stainthorpe) – ベース (1983年–1989年、2012年–2013年)[19]
  • スティーヴ・レン (Steve Wren) – ドラム (1983年–1989年、2012年–?)[19]
  • スコット・テイラー (Scott Taylor) – ギター (1984年–1989年、2012年–2020年) ※2020年死去[19][17]
  • クリフ・ローレンス (Cliff Lawrence) – ギター (1983年)
  • マーク・サンダーソン (Mark Sanderson) – キーボード (1983年)
  • ベン・アングィン (Ben Angwin) – キーボード (1984年–1985年)
  • アレックス・マンゴ (Alex Mungo) – キーボード (1985–1988)
  • ロブ・ダウンズ (Rob Downes) – ギター (1987年–1989年、2012年–?)[19]
  • クリス・ヨーンデル (Chris Youdell) – キーボード (1988年–1989年)
  • キース・エアリー (Keith Airey) – ギター (1989年、スコット・テイラーに代わってBig Area tourに参加)
  • ジャスティン・マッコンヴィル (Justin McConville) (2010年代の公演)
  • ジョン・ミラー (John Miller) (2010年代の公演)
  • PJ・フィリップス (PJ Phillips) – ベース、バック・ボーカル (1998年–2016年)

彼らのライブ・ショーでは、バック・ボーカルのバリ・ゴダード(クリフ・リチャード、マドンナ、ジミー・サマーヴィルなどとも共演)とスティーヴ・リー(ジョーン・アーマトレイディング)の才能が披露された。これらのパフォーマンスの一部は、ラジオ1セッションの一部や、1989年のハマースミス・オデオン公演全体を収録した2枚組CD『Radio Jerico』で確認できる[20]

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

  • 『ファースト (ザ・サウンド・オブ・ミュージック)』 - First (The Sound of Music) (1987年、London)
  • 『ザ・ビッグ・エリア』 - The Big Area (1989年、London)
  • Orgasmaphobia (1998年、Yeaah!)

ライブ・アルバム

  • Radio Jerico (1997年、Murder)
  • Alive & Exposed (2000年、Murder) ※Then Jerico, Mark Shaw etc.名義
  • Acoustic Live (2012年)

コンピレーション・アルバム

  • Electric (1997年、Murder)
  • The Best Of (1997年、Murder)
  • Reprise : Famous Hits And Mysterious Mixes (1997年、Murder)
  • 『ビフォア・ザ・フューチャー:1984-1989』 - Before The Future: 1984-1989 (1997年、Murder)

代表的なシングル曲

  • 「マッスル・ディープ」 - "Muscle Deep" (1986年)
  • 「レット・ハー・フォール」 - "Let Her Fall" (1987年) ※全英65位
  • 「プレイリー・ローズ」 - "Prairie Rose" (1987年)
  • 「ザ・モーティヴ」 - "The Motive (Living Without You)" (1987年) ※全英18位
  • 「マッスル・ディープ」 - "Muscle Deep" (1987年) ※全英48位
  • 「ブレッスド・デイズ」 - "Blessed Days" (1987年)
  • 「ビッグ・エリア」 - "Big Area" (1989年) ※全英13位。映画『風の惑星 スリップストリーム』主題歌
  • 「ホワット・ダズ・イット・テイク?」 - "What Does It Take" (1989年) (featuring Belinda Carlisle) ※全英33位。ベリンダ・カーライルがコーラスで参加
  • "Sugar Box" (1989年) ※全英22位

日本公演

  • JAPAN TOUR '87 (1987年)

脚注

  1. ^ “Scott Taylor, Guitarist with '80s English Band then Jerico, Has Died”. Billboard. https://www.billboard.com/music/music-news/scott-taylor-then-jerico-obit-9367036/. 
  2. ^ News: Then Jerico reform for 2012 UK Big Area Tour”. Allgigs.co.uk (2012年3月9日). 2012年8月1日閲覧。
  3. ^ THEN JERICO - full Official Chart History - Official Charts Company”. Officialcharts.com. 2019年2月13日閲覧。
  4. ^ a b c d LeRoy, Dan. “Biography”. AllMusic. 2009年2月8日閲覧。
  5. ^ a b c Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 555. ISBN 1-904994-10-5 
  6. ^ Then Jerico (2011年3月26日). “Then Jerico - What Does It Take?”. YouTube. 2019年2月13日閲覧。
  7. ^ Kat Duke (2009-11-24). “Mark Shaw of Then Jerico: Things I Have Learned About Pain”. The Quietus. http://thequietus.com/articles/03289-mark-shaw-of-then-jerico-things-i-have-learned-about-pain 2013年7月8日閲覧。. 
  8. ^ a b Joanna Wilson (2003年9月19日). “The return of Then Jerico”. BBC News. http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/3122694.stm 2013年7月8日閲覧。 
  9. ^ Tour Dates”. thenjerico.com. 2024年8月25日閲覧。
  10. ^ “Then Jerico biography”. オリジナルの2013年5月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130505115012/http://www.outside-org.co.uk/clients/music/then-jericho 2013年7月8日閲覧。 
  11. ^ a b “NME: Mark Shaw: Then Jerico - Step into The Light video recorded on a hot summer evening at The Grand Theatre, Clapham, London 1992. Available on the 'Alive & Exposed' album released in 2000”. NME. オリジナルの2014-02-02時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140202201051/https://www.nme.com/nme-video/youtube/id/y-8o51T6qKE 2019年2月13日閲覧。. 
  12. ^ The Brook: Then Jerico 80's Revivalists”. The-brook.com. 2019年2月13日閲覧。
  13. ^ a b “Then Jerico are back touring after 23 years”. Glasgow Times. (2013年5月10日). https://www.glasgowtimes.co.uk/lifestyle/13255763.music-then-jerico-are-back-touring-after-23-years/ 2013年7月8日閲覧。 
  14. ^ RewindFestival Official website – Then Jerico page”. Rewindfestival.vom. 2019年2月13日閲覧。
  15. ^ Atlantic Radio UK: Rewind Festival 2013 line-up announced”. 2013年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月13日閲覧。
  16. ^ Evans, Bethan (2013年3月15日). “Let's Rock Bristol”. North Somerset Times. 2019年2月13日閲覧。
  17. ^ a b Then Jerico guitarist Scott Taylor has died”. Nme.com (2020年4月28日). 2025年2月13日閲覧。
  18. ^ “Then Jerico guitarist Scott Taylor dies of brain tumour”. The Independent. (2020年4月28日). オリジナルの2022年5月7日時点におけるアーカイブ。. https://ghostarchive.org/archive/20220507/https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/music/news/scott-taylor-death-then-jerico-cancer-brain-tumour-age-cause-guitar-a9487246.html 
  19. ^ a b c d e Colin Larkin, ed (2003). The Virgin Encyclopedia of Eighties Music (Third ed.). Virgin Books. pp. 459/60. ISBN 1-85227-969-9 
  20. ^ Then Jerico – Radio Jerico (Media notes). Murder Records. 1997.

参照

外部リンク





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ゼン・ジェリコ」の関連用語

ゼン・ジェリコのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ゼン・ジェリコのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのゼン・ジェリコ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS