シュライファーとヴィシュニーによる裁定の限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/23 05:14 UTC 版)
「裁定の限界」の記事における「シュライファーとヴィシュニーによる裁定の限界」の解説
以下では、シュライファーとヴィシュニーの論文における裁定の限界のメカニズムを簡潔に記す。シュライファーとヴィシュニーの論文の中心的なアイデアはヘッジファンドなどの裁定投資家が顧客から預かっている資金についての制約のために、ノイズトレーダーが引き起こしたミスプライシングに対して十分な裁定取引が行われず、短期的にミスプライシングが拡大するというものである。 ここである金融資産に対しノイズトレーダーによりミスプライシングが起こったとする。合理的なヘッジファンドはこのミスプライシングに対応してこの金融資産を購入すれば裁定取引による利益が得られる。しかし、ノイズトレーダーの売買行動でさらにミスプライシングが拡大する恐れがある。すると短期的にはヘッジファンドは損をし得る。このヘッジファンドの損失を見て、市況に詳しくないヘッジファンドの顧客は投下資金を回収するだろう。よってヘッジファンドの顧客が投下資金を回収するリスクがあるのでヘッジファンドは裁定取引を満足に行えない。結果としてヘッジファンドの裁定取引は部分的なものに留まり、ミスプライシングは完全に解消されないどころか悪化する恐れすらある。 シュライファーとヴィシュニーはこのようにして裁定取引に限界があることを裁定の限界と呼んだ。
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