ガラスの仮面のモチーフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 04:23 UTC 版)
「ガラスの仮面」の記事における「ガラスの仮面のモチーフ」の解説
象徴的なタイトルにもかかわらず、「ガラスの仮面」という言葉が作中に登場するのは単行本第9巻のことである。この「ガラスの仮面」というたいへん印象深いモチーフにはいくつもの解釈がなされている。たとえば中村保雄や蜷川幸雄は、「ガラス」の壊れやすさ、危うさに着目する。彼らによれば、「ガラスの仮面」とは舞台のたびに構築されながら、舞台が終えられるたびに壊されなければならない北島マヤの役作りの象徴である。 「 そうだよマヤわたし達はガラスのようにもろくてこわれやすい仮面をかぶって演技しているんだどんなにみごとにその役になりきってすばらしい演技をしているつもりでもどうにかすればすぐにこわれて素顔がのぞくなんてあぶなっかしいんだろう…このガラスの仮面をかぶりつづけられるかどうかで役者の才能がきまる…そんな気がする… 」 —青木麗(白泉社文庫第5巻 p.270より) 米澤嘉博はさらに踏み込んでいる。米澤によれば、ガラスの仮面をつけた北島マヤは日常を飛び越えた「夢を生きる瞬間」にあり、また「ガラスの仮面」は彼女に自分の夢を重ねようとする読者とのインターフェイスなのである。そこには劇中劇という本作の形式をそのまま具現化したような、主人公の夢と読者の夢が二重写しになっている。ガラス、とは北島マヤと読者との結びつきの透明さ、純粋さの象徴でもある。
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