ウルトラディスタンス・サイクリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/14 15:38 UTC 版)
ウルトラディスタンス・サイクリングとは、センチュリーライド100マイル (160 km)よりも長い距離を自転車で走ることである。しかし、このようなイベントは比較的多く開催されているため、200キロメートル (120 mi)、300キロメートル (190 mi)、あるいはダブルセンチュリー、200マイル (320 km)よりも長いレースやライドをこのカテゴリーの定義とすることがより適切かもしれない。
ウルトラディスタンス・サイクリングの定義は、ウルトラランニング(マラソンより長い距離のレース)やウルトラトライアスロン(アイアンマントライアスロンより長い距離のレース)よりもはるかに曖昧で議論の余地がある。
これらの距離をカバーする自転車イベントであっても、ステージに分割されている場合は、ウルトラディスタンス・レースの定義のほとんどには当てはまらない。ウルトラディスタンス・レースでは、スタートからフィニッシュまで時計が連続して動き続ける必要がある。とはいえ、より長いレース内の超長距離のステージは、それ自体がウルトラディスタンス・レースとなるのに十分な長さである可能性がある。加えて、個々のサイクリストが全距離を完走しないチームイベントは、ウルトラディスタンスとはみなされない。
以下に、ウルトラディスタンスに分類される自転車レースを、その種類や形式別に整理して記載する。これは全てのレースを網羅したものではないが、各カテゴリーにおいて、距離が最も長いもの、メディアの注目度が高い主要なもの、または参加者数が多い人気のものを挙げている。
トラックサイクリング
自転車レースが始まったばかりの1800年代後半には、ベロドロームで行われる6日間レースが人気を博した。ここで定義する「ウルトラディスタンス」の自転車レースは、この初期のレース形式のみが該当する。これは、1人の自転車選手が6日間のイベントでどれだけの距離を走れるかを単純に試すものであったからだ。この形式はその後、2人1組のチームがリレー形式で走行するものへと変化した。さらに、レースはノンストップではなくなり、1日のうちの一部時間帯のみで行われるようになった。
ロードレース
プロによるロードレース
プロのロードレース黎明期には、今日よりもはるかに長いワンデーレースやグランツールのステージが数多く存在した。フランスのボルドー〜パリは、年間を通して開催されたワンデーのプロレースの中で最も長く、560キロメートル (350 mi)のコースで、1891年から1988年までほぼ毎年開催された。1988年以降、ワンデーのプロレースで最長となったのはポルトガルのポルト〜リスボンで、距離は330キロメートル (210 mi)であった。このレースは2004年を最後に開催されなくなり、それ以降はイタリアのミラノ〜サンレモが298キロメートル (185 mi)で最長のレースとなっている。
パリ・ブレスト・パリは、フランスで開催されたプロの自転車レースで、1,200キロメートル (750 mi)という大規模なコースを走るものであった。このレースは1891年から1951年まで、10年ごとにしか開催されなかったが、それ以降はブルベ(後述参照)として継続されている。
自転車ロードレースのグランツールでは、かつては現在よりもはるかに長いステージが設定されていた。
ツール・ド・フランス史上最長のステージは、1919年大会の482キロメートル (300 mi)である。この年、全15ステージのうちすべてのステージが300キロメートル (190 mi)を超える長さであった。
ジロ・デ・イタリア史上最長のステージは、1914年大会の430キロメートル (270 mi)であった。この年、全8ステージのうち5ステージが400キロメートル (250 mi)を超えていた。
ブエルタ・ア・エスパーニャは1935年に始まり、その第1回大会で史上最長のステージ310キロメートル (190 mi)が開催された。
現代のグランツールでは、200キロメートル (120 mi)を超えるステージは珍しくなっており、国際自転車競技連合(UCI)によって、ステージレースにおける個々のステージの距離上限は240kmと定められている。[1]
サポートのあるウルトラサイクリング・レース
自転車競技の主要な統括団体である国際自転車競技連合(UCI)が公認する、真の意味でのウルトラディスタンス・レース(300キロメートル (190 mi)を超えるもの)はもはや存在しない。
その代わりに、現代のウルトラディスタンスレースのほとんどは、世界ウルトラサイクリング協会(WUCA)に加盟している。これらのレースの中で最もよく知られているのがレース・アクロス・アメリカ(RAAM)であり、これはアメリカ合衆国を横断するノンストップレースで、通常4,800キロメートル (3,000 mi)以上の距離を走る。[2][3]
この形式のレースでは、選手は個人で走行し(ドラフティングや集団走行は禁止)、それぞれが少なくとも1台のサポートカーと、サポートスタッフのチームを伴う。この特定のレース形式は「ウルトラサイクリング」と称されることが多いため、全てのウルトラディスタンスの自転車レースをウルトラサイクリングと呼ぶのは不適切である。多くのウルトラサイクリングレースには、リレー形式で走行するチーム部門も含まれており、この場合は、本稿で用いている「ウルトラディスタンス・レース」の基準(個人が全距離を走破すること)を満たさない。
その他のウルトラサイクリングレースには、4,722キロメートル (2,934 mi)のレース・アクロス・ヨーロッパ(RACE)がある。ヨーロッパで最も古いウルトラサイクリングレース[要出典]とされるグロッカーマンは、1997年に初めて開催されたオーストリアの自転車イベントで、走行距離は1,000キロメートル (620 mi)である。また、レース・アクロス・ジ・アルプスは、距離こそ540km(340マイル)と比較的短いものの、獲得標高が13,000メートル (43,000 ft)を超えるため、主催者はこれを世界で最も過酷なワンデーレースであると主張している。[4]
レース・アクロス・ロシアは、2013年にモスクワからウラジオストクまでの9,200キロメートル (5,700 mi)を走るノンストップのチームリレーイベントとして初めて開催された。2015年にはレッドブル・トランス=シベリアン・エクストリームに名称が変更され、ソロ部門が設けられた。この際、ルートは15のステージに分割され、各ステージの距離は300キロメートル (190 mi)から1,400キロメートル (870 mi)に及んだ。[5]
ロードタイムトライアル
12時間および24時間ロードサイクリングタイムトライアルは古くから行われており、現在も一般的である。これらのイベントでは、制限時間内に可能な限り最長の距離を走破することを目指す。
現在の24時間レコードは、ベロモービルで1,200キロメートル (750 mi)以上である。通常ロードバイクでの24時間ロードレコードは、2021年7月16日にクリストフ・シュトラッサーがオーストリアのツェルトヴェークで樹立した1,026.21キロメートル (637.66 mi)である。この記録はWikipediaの自転車競技の記録一覧にも記載されている。
2014年、世界ウルトラサイクリング協会(UMCA)は、年間最多走行距離記録への関心を再燃させた。これは、12ヶ月間で可能な限り最長の距離を走破するというもので、最後に記録が樹立されたのは1939年のトミー・ゴッドウィンによる120,805キロメートル (75,065 mi)であった。2016年初頭、クルト・シーヴァーゲルがこの記録を破り、年間で122,433キロメートル (76,076 mi)、1日あたり335キロメートル (208 mi)を達成した。[6]
2017年には、アマンダ・コーカーがクルトの年間最多走行距離記録を更新し、365日で86,000マイル (138,000 km)以上の新記録を樹立した。[7]さらに彼女は、100,000マイルを最速で達成した記録も破り、その所要日数は約420日であった。
一部のウルトラディスタンスのタイムトライアルは、以下のような常設のモータースポーツ用サーキットで開催されている。
- バイク・セブリング(セブリング・インターナショナル・レースウェイ)
- ラート・アム・リング(ニュルブルクリンク)
- モンツァ12hサイクリング・マラソン(モンツァ・サーキット)
- サイクリング・ザントフォールト24h(ザントフォールト・サーキット)
- 24hバイサーキット・フェスティバル(カタロニア・サーキット)
- リボルブ24エンデュランス・サイクリング・チャレンジ(ブランズ・ハッチ、ザ・ベンド・モータースポーツパーク)
これらのコースは一般車両の通行がなく、路面も滑らかであるという特徴を持つ。
セルフサポートウルトラサイクリング & バイクパッキングロードレース
いくつかのレースは、ライダーが無支援で昼夜を問わず走行した、初期のプロ自転車レースの時代を彷彿とさせるもので、近年人気が高まっている。
この中でも最も人気があるのがトランスコンチネンタルレースで、ヨーロッパを横断する4,000キロメートル (2,500 mi)以上のコースを走る。このレースは、オフロードの米国イベントであるツアー・ディバイドに触発されて始まった。
他のウルトラサイクリングイベントと同様に一斉スタートで行われるが、バイクパッキングレースではドラフティングは禁止されており、全てのサポートが禁じられている。サポートカーはなく、ライダーはコース沿いの商業施設から必要な補給品や宿泊施設などを自力で調達するか、持参しなければならない。ただし、多くのイベントでは、見知らぬ人からの親切な行為、贈り物、その他の励ましといった「トレイルマジック」は許可されている。ただし、「マジック」が自転車を動かすような行為は認められない。
このカテゴリーの他の人気レースには、6,800キロメートル (4,200 mi)のトランス・アム・バイク・レースや、1,800キロメートル (1,100 mi)と比較的短距離ながら、ペルーのアンデス山脈で4,920メートル (16,140 ft)を超える標高を走行するインカディバイドなどがある。後者は、2019年にオマーン、フランス、ラオス、ペルー、ポルトガル、台湾で初めて開催された、標準距離1,000キロメートル (620 mi)のウルトラバイクパッキングレースシリーズ、バイキングマンの一部である。
ヨーロッパにおいては、トランシベリカ、スリー・ピークス・バイク・レース、レース・アラウンド・アイルランド、レース・アラウンド・ポーランドが、主要なフリー・ルート(非指定ルート)の無支援レースとして挙げられる。これらはいずれも2018年に創設され、1,500kmから3,000kmに及ぶ距離を走行する。
東南アジアにおいては、インドネシアのベントゥン・ジャワ、レース・アクロス・ジャワ、リンタン・フローレス、そしてジャワバリといったウルトラ・チャレンジが開催されている。マレーシアでは、ペニンシュラ・ディバイドのオールロード・カテゴリーが、舗装路93%と未舗装路7%で構成される1,500kmの距離と、14,000mから18,000mの獲得標高を特徴としている。
日本においては、ジャパニーズ・オデッセイが2,000kmを超えるようなコースのイベントとして2015年より開催されている。
ブルベ
ブルベ(ランドネまたはオダックスとも呼ばれる)は、一般的に競技性を目的としない非競争的なサイクリングイベントであり、個人の挑戦としての側面が強い。
これらのイベントは、ほとんどのウルトラサイクリングやバイクパッキングレースとは異なり、集団走行やドラフティングが制限付きで許可されている。補給や宿泊は、中間地点に設けられたチェックポイントで主催者から提供されることが多いが、チェックポイント以外でのサポート車両の利用は認められていない。
この種のイベントで最も有名なのが、フランスのパリ・ブレスト・パリ(PBP)である。このイベントでは、5,000人以上が1,200キロメートル (750 mi)のコースを90時間以内で完走することに挑戦する。ブルベ版は、かつて開催されていたプロレース(前述参照)から発展したもので、4年ごとに開催される。
世界中には、イギリスのロンドン・エディンバラ・ロンドンや、アメリカのカスケード1200など、1,000キロメートル (620 mi)から1,600キロメートル (990 mi)の類似イベントが多数存在する。また、200キロメートル (120 mi)、300キロメートル (190 mi)、400キロメートル (250 mi)、600キロメートル (370 mi)といった距離のブルベも日本を含めた世界中で数多く開催されている。
グランフォンド
グランフォンド(シクロスポルティーフとも呼ばれる)は、一般参加型のサイクリングイベントである。純粋な自転車レースに比べると競技性は低いものの、タイムが記録され、最速の参加者には賞品が授与されることもある。通常、主催者はルートの標識設置や補給所の提供など、全面的にサポートを行う。
「世界最長のグランフォンド」を自称するイベントは、プロレースのミラノ〜サンレモとほぼ同じルートをたどり、その距離は296キロメートル (184 mi)である。しかし、これより長い類似イベントは複数存在する。
- ボルドー〜パリは、1988年までプロレースとして開催され、2014年に610キロメートル (380 mi)のグランフォンドとして復活した。
- ノルウェーのスティルケプローヴェン・トロンハイム〜オスロは、543キロメートル (337 mi)の距離を走るレース兼グランフォンドである。
- ツール・デュ・モンブランは、フランス、スイス、イタリアを巡る山岳地帯を通過する、330キロメートル (210 mi)である。
- スイスのワイサム333は、さらにわずかに長い333キロメートル (207 mi)である。
- スペインのマヨルカ島を一周するマヨルカ312は312キロメートル (194 mi)である。
- イギリスのドラゴンライド・ウェールズのドラゴン・デビル版は305キロメートル (190 mi)である。
- スウェーデンのヴァッテルンルンダンは、ヴァッテルン湖を一周する315キロメートル (196 mi)である。
ニュージーランドにはレイク・タウポ・サイクル・チャレンジがある。
このイベントの標準的なグランフォンドは、タウポ湖を一周する160キロメートル (99 mi)のコースだが、1日で2周する320キロメートル (200 mi)のオプションもある(この場合、1周目にはサポートがない)。さらに、1日早くスタートして4周する640キロメートル (400 mi)のオプションもあり、こちらはよりランドネ形式のイベントに近い。
また、2年ごとに8周する1,280キロメートル (800 mi)のオプションも設定される。ただし、この形式では後続のサポート車両が必須となるため、ウルトラサイクリング形式のイベントに近い。
センチュリーライド
アメリカ合衆国では、100マイル (160 km)の組織的な「センチュリーライド」が一般的であり、その形式はグランフォンドとブルベの中間に位置する。
また、200マイル (320 km)の「ダブルセンチュリー」も数多く開催されており、シアトル・トゥ・ポートランド・バイシクル・クラシックは特に人気があるイベントの一つである。
さらに、ロサンゼルス・ホイールメン・グランドツアーのように、300マイル (480 km)や400マイル (640 km)のオプションを提供するイベントも存在する。
その他のサイクリングレコード
いくつかクラシックな長距離サイクリングルートでは、通常は同時にレースが行われるわけではないものの、タイム記録が保持されている。
- イギリスのランズ・エンド〜ジョン・オグローツは、約1,400キロメートル (870 mi)の距離がある。
- さらに長いものでは、アフリカのカイロ〜ケープタウンがあり、約11,000キロメートル (6,800 mi)に及ぶ。この記録は現在、スコットランドのエンデュランス・サイクリスト、マーク・ボーモントが保持している。[8]
この形式の記録で最も長いのが自転車世界一周記録で、自転車で29,000キロメートル (18,000 mi)を走行することに加え、その他の要件を満たす必要がある。2018年、スコットランドのエンデュランス・サイクリスト、ジェニー・グラハムは、無支援での自転車世界一周を124日10時間50分で完走した。2012年と2014年には、これらのルールに基づいたマススタートイベント「ワールド・サイクル・レース」が開催された。
グラベルサイクリング
ロードバイクレース黎明期には、道路のほとんどが未舗装であったため、レースも主に未舗装路、土道、グラベル(砂利道)で開催されていた。
その後、道路インフラの整備が進むにつれて、ロードバイクレースはほぼ全面的に舗装路で行われるようになった。しかし、21世紀に入ると、少なくとも部分的には技術の進歩を背景に、ロードバイクでグラベルを走行したり、レースを行うことが再び人気を集めている。
自転車機材の性能向上は、グラベルサイクリングの人気に最も貢献していると考えられている。これは、様々な分野の自転車の重要な特徴を一台の自転車に統合できるようになったためだ。
たとえば、グラベルバイクのフレームは、マウンテンバイクのゆったりとしたジオメトリを基礎としているが、マウンテンバイクよりも軽量で、速く、反応性が高い。また、長距離ライドでの快適性を高めるため、シクロクロスバイクとロードバイクの両方の特性を取り入れており、豪雨のような悪条件下でも走行できるようタイヤクリアランスが確保されている。
グラベルバイクの人気が高まったもう一つの理由は、その文化にある。グラベルレースでは、天候の変化が激しく、事前のトレーニングや準備が困難なコースが多いため、コーチや自転車整備士のチームを必要とすることはほとんどない。グラベルライダーは、レース中のペース維持よりも、コースを走りきることそのものに重点を置く傾向がある。これにより、道中での仲間意識が生まれ、ロードレースやマウンテンバイクレースには必ずしも見られない、楽しくてリラックスした雰囲気が醸成される。
最も長く、かつ有名な現代のグラベルバイクレースの一つが、アメリカ合衆国カンザス州エンポリア近郊のフリントヒルズで開催されるアンバウンド・グラベル(旧称:ダーティ・カンザ)である。このレースは200マイル (320 km)の距離を誇る。
2018年には350マイル (560 km)の「DKXL」が追加され、2013年には25、50、100マイルのコースも加わった。[9]
また、イギリスでは、イングランドのヘクサムで行われるダーティ・リーバーが、200キロメートル (120 mi)のオフロード・サイクリング・チャレンジとして知られている。
アンバウンド・グラベルは、近年のグラベルバイクの人気がいかに高まっているかを示す好例である。2006年には200マイルのレースに参加したライダーはわずか34名であったが、2019年6月には、抽選で選ばれた2,750名のライダーが「ダーティ・カンザ200」のスタートラインを越えた。また、主催者が他の距離カテゴリーを導入せざるを得なかったという事実は、グラベルバイクが「冒険」を重視するものであることを示している。[10]
マウンテンバイク
舗装路上でのイベントと同様に、マウンテンバイクのウルトラディスタンスイベントで最も人気があるのは、12時間および24時間タイムトライアルであり、世界中で数多く開催されている。
また、100マイル (160 km)のレースも多数存在する。マウンテンバイクの一般的な地形では、平均速度がロードバイクよりもはるかに遅いため、100マイル (160 km)を超えるレースは少ない。
バイクパッキングというジャンルは、ライダーが完全に自己支援で行う24時間マウンテンバイクレースから始まった(ロードベースのバイクパッキングイベントについては前述参照)。
オフロードのバイクパッキングイベントで最も有名で人気のあるものの一つが、ツアー・ディバイドである。これはロッキー山脈をカナダからアメリカを縦断し、メキシコ国境まで4,418キロメートル (2,745 mi)を走破する。
また、アラスカのイディタロッド・トレイル・インビテーショナルは、冬季にファットバイク(スノーバイク)で競われる1,000マイル (1,600 km)のレースである。[11]
ヨーロッパで最も人気のあるオフロードのバイクパッキングレースは、イタリア中部を舞台とする530キロメートル (330 mi)のトスカーナ・トレイルである。[12]同じくイタリアでは、ローマのコロッセオをスタートし、シエナ、フィレンツェ、ボローニャを経由してガルダ湖でゴールするイタリー・ディバイドが開催されている。このレースは、テクニカルなマウンテンバイクのセクションとグラベル(砂利道)のトレイルが組み合わされている。[13]
中央アジアでは、キルギスでシルク・ロード・マウンテン・レースが開催されている。このレースは天山山脈を舞台に、1,700km(1,056マイル)の距離を走破する。[14][15]
タイタン・デザートは、モロッコで開催される6日間のステージレースである。総距離は600キロメートル (370 mi)を超える。
オーストラリアでは、ジェシー・カールソンによって創設されたレース・トゥ・ザ・ロックが開催されている。これはアウトバックを走る無支援レースである。
コースと距離は毎年異なるが、通常はウルルをゴールとする。2018年大会は総距離3,500km(2,175マイル)で、タスマニアだけでなく南オーストラリア州の一部もコースに含まれた。
エベレスティング
距離ではなく獲得標高の最大化を目指す挑戦も存在する。
エベレスティングとは、同じ坂道を何度も上り下りし、獲得標高の合計がエベレストの高さである8,848メートル (29,029 ft)に達するまで走り続けるというチャレンジである。また、24時間以内など、特定の時間内で達成した獲得標高の最大値を競う記録も存在する。[16]
エベレスティングは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが拡大し、ワールドツアーが中止になった際、退屈したプロの自転車選手たちが坂道を求めて挑戦し始めたことで、より広く世間の注目を集めるようになった。[17]
脚注
- ^ Hood. “The mapmakers: Creating the Tour de France route”. Velonews. Competitor Group, Inc.. 2016年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月5日閲覧。
- ^ “Race Across America”. RAAM. 2024年8月26日閲覧。 “RAAM”
- ^ Gruebele, M. (2016). MASTERS RAAM. Champaign-Urbana, Illinois: HB Publishing. p. 178. ISBN 978-0692775387
- ^ “15. Race across the Alps, 26. Juni 2015”. Race Across The Alps. 2016年1月16日閲覧。
- ^ Wynn (2015年5月27日). “The world's toughest bike race: 9200km across Siberia”. Cycling Weekly. Time Inc. (UK) Ltd.. 2016年1月16日閲覧。
- ^ MacMichael (2016年1月22日). “Kurt Searvogel awarded Guinness World Record for distance cycled in a year”. road.cc. Farrelly Atkinson Ltd.. 2016年1月23日閲覧。
- ^ Simon MacMichael (2017年4月15日). “Amanda Coker breaks Kurt Searvogel's Year record - with 40 days to spare”. road.cc. 2017年6月6日閲覧。
- ^ “Fastest bicycle journey from Cairo to Cape Town (male)”. Guinness World Records 2018年9月12日閲覧。
- ^ “Dirty Kanza website”. Dirty Kanza. 2020年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月8日閲覧。
- ^ “Why Dirty Kanza 2019 Could Be the Best Yet”. Bicycling (2019年5月29日). 2023年5月20日閲覧。
- ^ “ITI”. ITI. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “Home”. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “Bikepacking and gravel roads in italy”. italydivide. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “Silk Road Mountain Race”. Silk Road Mountain Race. 2025年9月6日閲覧。
- ^ “Silk Road Mountain Race”. The Mountain Races. 2024年12月16日閲覧。
- ^ Long (2020年7月4日). “Everything you need to know about Everesting: How to do it and the current record holders”. Cycling Weekly. 2021年2月23日閲覧。
- ^ “Subscribe to The Australian | Newspaper home delivery, website, iPad, iPhone & Android apps”. www.theaustralian.com.au. 2021年2月23日閲覧。
外部リンク
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