イアム・トンギとは? わかりやすく解説

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イアム・トンギ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/22 08:36 UTC 版)

イアム・トンギ
テネシー州ナッシュビルの音楽フェスに出演したトンギ(2025年)
基本情報
出生名 ウィリアム・ガイ・トンギ
生誕 (2004-09-01) 2004年9月1日(20歳)
アメリカ合衆国ハワイ州カフク
ジャンル レゲエ
職業 歌手
担当楽器 アコースティック・ギターウクレレ
活動期間 2020年-
公式サイト iamtongiofficial.com
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ウィリアム・”イアム”・ガイ・トンギ2004年9月1日[1] - )はアメリカ合衆国歌手。同国のオーディション番組アメリカン・アイドルシーズン21の優勝者[2]ハワイ州出身、太平洋諸島先住民族の出自を持つ初の優勝者となった。また、カントリー・ミュージックでない歌手としては3年ぶりの優勝である。また、同番組開始後に生まれた初の優勝者ともなった[3][4]

生い立ち

ハワイ州オアフ島出身[5]。2019年夏の時点では家族がワシントン州フェデラルウェイに住んでいて、フェデラル・ウェイ高校に通っていた[4]サモア人[6]、トンガ人[7]アイルランド人[4]の先祖がいる。末日聖徒イエス・キリスト教会の信徒[8][9]

五人兄弟の末っ子で、5年生の時にウクレレを習い始めた。13歳の時に父親からギターをプレゼントさており、アメリカン・アイドル出場時も同じギターを使用していた[10]

「アメリカン・アイドル」出場

オーディション

アメリカン・アイドルシーズン20のオーディションに参加したが、最初の審査で落選した[10]。その後母親が本人の知らぬ間にシーズン21へ応募しており、本人は当初乗り気ではなかったが、ライオネル・リッチーケイティ・ペリールーク・ブライアンの3名の審査員の前でパフォーマンスすることができた[11]

オーディション参加時には、ワシントン州へ移った理由を"Priced out of paradise(価格が高すぎて楽園から追い出された)"と語った。また、父ロドニーについて聞かれた際には目に涙を浮かべ、オーディションの数カ月前に亡くなったこと、自分に音楽を教えてくれた人だったことを語った[12]。彼は当初父の話をするつもりはなかった。自身の生い立ちを同情を呼ぶストーリーとして紹介したくなかったからである[13]

オーディションではジェームズ・ブラントの"Monsters"を演奏し、その演奏を父に捧げた。結果審査員全員からスタンディングオベーションを受け、全会一致でネクストラウンドへの進出が認められた[14][15]。オーディションの映像は瞬く間に話題を呼び、パフォーマンスからわずか2日間で11万2千人のフォロワーがトンギのInstagramをフォローした。また同じ動画は番組市場最も閲覧された動画となり、3カ月で1600万回再生された[12][13]

ハリウッド予選

アメリカン・アイドルのハリウッド予選に出場した際にギターが壊れてしまい、トンギは声を失った。審査員の前に出てきたときに彼は涙を流し、そのギターを使い続けることを亡き父と約束していたことを語った[16]。この出来事を後に振り返った彼は、これからは自分一人でやっていけることを父が教えてくれたのだと思うと語り、その後のラウンドではギター無しで出場した[11]

ジェームズ・ブラントとのデュエット

決勝の審査外パフォーマンスではジェームズ・ブラントと組み、最初のオーディションでも歌ったブラントの曲「モンスターズ」を二人で歌った。これに観客と審査員は感動し、涙を流した。トンギ自身も曲の途中で感極まったが、平静さを取り戻して歌唱を終えた。後のローリング・ストーンでのインタビューにこのように語っている。

「父はいつも私にいつか成功できると語ってくれ、そして自身はそれを見られないだろうとも語っていた。自分が舞台に上がったときに泣いていたのは、その時のことを思い出していたからだ。父は最初からそれを願ってくれていた[17]。」

ブラントも演奏について語っている。

「私はアメリカン・アイドルでトンギと一緒に歌い、そして彼が涙を流した時、彼が父を亡くした瞬間の絶望に気づいた。そして次の歌詞は『わたしは明かりをともす。私が最後だ。私が明かりをともす。君の心にはもう暗闇はない』だった。それはすなわち最も近い家族を失ったときの気持ちを想像した瞬間であり、それを実際に経験できた。いろんな意味で私はあの時あのステージで歌詞のとおり一緒に体験していたのだと思う[18]。」

論争

トンギの優勝に対して、アメリカン・アイドルの視聴者は2つの意見に割れた。彼を称賛する意見と、彼が同情を呼んだだけで勝利したのだと批判する意見である[19]。準優勝者のミーガン・ダニエルはトンギを擁護し、「彼が優勝者にふさわしいし、彼は非常に謙遜でかつ才能にあふれている」と語った[20]。トンギもまた次のように語っている。「自分がまさか優勝できるとは思っていなかった。誰が優勝していたとしても私は幸せだったと思う[11]。」

反響

トンギはハワイレゲエグループ「コロヘ・カイ」の曲「クール・ダウン」を決勝での曲に選んだ。地元ハワイのアーティストや音楽プロデューサー達はこれを称賛し、島の音楽が全国区になったことを喜んだ。「コロヘ・カイ」のフロントマンであるロマン・デ・ペラルタは次のように語った。

「(アメリカン・アイドルの視聴者たちは)我々の文化やバイブスを届けることのできない人たちだった。トンギの選曲が私たちのおんがくを届けるための道筋をつけてくれた[21]。」

ハワイ先住民のアーティスト、キミエ・マイナーもこう語っている。

「私たちのようなアーティストがメインストリームの音楽業界で売り出されているのはあまり見かけません。ですから、イアムが『アメリカン・アイドル』に出演し、このプラットフォームを持ったことで、私たちの音楽に対する大きな需要があることを皆に示すことができたのです。AAPIのアーティストがこの音楽業界で平等に競争力を持ちながらも、私たちの文化に忠実であり、島の生活、伝統、そして「オハナ」を体現していることを世界に示してくれたのです[22]。」

トンギもまたこのジャンルの音楽を「アメリカン・アイドル」の視聴者たちに見せられたことを感謝し、このように語っている。

「私は自分の島や自分の出身地、ハワイの人たちをみんなに見せたかったのです。だから島の音楽をリストに入れました。なぜならこの音楽は非常に美しいのに、多くの人はそれを知らず、島の人たちだけが知っていたからです[22][23]。」

またトンギは、ポリネシア人が音楽キャリアを追及することについて、このようにも語っている。

「ポリネシア人の中には私よりも上手な人がたくさんいるけれども、彼らは世界で挑戦することを過剰に恐れている。それがポリネシアのやり方なんだ。恥をかきたくないし、自分たちの文化には誇りがある。それを馬鹿にされたくないから、自分のやり方に留まろうとするんだ[17]。」

脚注

  1. ^ American Idol: Who Is Iam Tongi? Where Does Iam Tongi Live Now?”. AverageBeing (2023年5月23日). 2023年5月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月24日閲覧。
  2. ^ Lee, Diane S. W. (2023年5月21日). “Kahuku-born Iam Tongi crowned American Idol winner” (英語). Honolulu Star-Advertiser. 2023年5月23日閲覧。
  3. ^ Chery, Samantha (2023年3月23日). “Genre-bending high schooler from Hawaii makes 'American Idol' history”. The Washington Post. https://www.washingtonpost.com/arts-entertainment/2023/05/23/iam-tongi-pacific-islander-hawaii-american-idol/ 
  4. ^ a b c Who is Iam Tongi? 5 facts about the Season 21 'American Idol' winner” (英語). The Enquirer. 2023年5月23日閲覧。
  5. ^ 'American Idol' Winner Iam Tongi Jokes His Family Keeps Him Humble: 'They Don't Only Cheer for Me'” (英語). People. 2023年5月23日閲覧。
  6. ^ Iam Tongi crowned American Idol winner” (英語). Samoa Observer. 2025年4月15日閲覧。
  7. ^ Iam Tongi named New American Idol Champion”. Matangi Tonga (2023年5月22日). 2023年5月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月24日閲覧。
  8. ^ His 'American Idol' audition went viral. Now, this teen is the Season 21 winner”. Deseret News (2023年5月21日). 2023年5月25日閲覧。
  9. ^ ケイトリン・バンクロフト (2023年6月12日). “信仰と家族に影響されて―「アメリカン・アイドル」の優勝者,イアム・トンギ”. 末日聖徒イエス・キリスト教会. 2025年6月19日閲覧。
  10. ^ a b Bronson, Fred (2023年4月30日). “Meet 2023's American Idol Top 10 Contestants” (英語). billboard.com. 2023年5月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月24日閲覧。
  11. ^ a b c Houghton, Cillea (2023年5月26日). “American Idol Winner Iam Tongi Opens Up About His Father's Impact and Wanting to "Represent My People" in Music”. American Songwriter. 2023年5月27日閲覧。
  12. ^ a b Sienra, Regina (2023年5月23日). “Iam Tongi Wins American Idol Following an Emotional Duet of "Monsters" With James Blunt” (英語). biography.com. 2023年5月25日閲覧。
  13. ^ a b Piccotti, Tyler (2023年5月22日). “How Iam Tongi's Late Father Influenced the American Idol Winner During the Competition” (英語). biography.com. 2023年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月24日閲覧。
  14. ^ Fishman, Scott (2023年5月22日). “American Idol Winner Iam Tongi Speaks Out on His Journey & Honoring His Late Dad” (英語). TV Insider. 2023年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月24日閲覧。
  15. ^ Houghton, Cillea (2023年2月20日). “Iam Tongi Hits a Nerve with American Idol Audition Dedicated to His Late Father”. American Songwriter. 2023年5月25日閲覧。
  16. ^ Iam Tongi, 18, credits his mom and late dad for his American Idol win”. npr.org (2023年5月25日). 2023年5月27日閲覧。
  17. ^ a b Mier, Tomás (2023-05-23). American Idol Winner Iam Tongi on How He Brought the Judges to Tears”. Rolling Stone. https://www.rollingstone.com/tv-movies/tv-movie-features/american-idol-iam-tongi-interview-winner-james-blunt-monsters-hawaii-father-death-katy-perry-lionel-richie-luke-bryan-1234740658/ 2023年5月29日閲覧。. 
  18. ^ Lorge, Melinda (2023年8月25日). “"'American Idol' Winner Iam Tongi And James Blunt Share Full-Circle Moment With Release Of New Duet"”. musicmayhem.com. 2023年8月29日閲覧。
  19. ^ Hobbs, Jack (2023年5月22日). “American Idol fans claim competition 'rigged' as Iam Tongi named winner” (英語). New York Post. 2023年5月27日閲覧。
  20. ^ Barbuti, Angela (2023年5月27日). “American Idol runner-up Megan Danielle breaks silence on claims show was 'rigged' for Iam Tongi” (英語). New York Post. 2025年6月18日閲覧。
  21. ^ Tamashiro, Kristy (2003年5月22日). “Iam Tongi puts island music on the map with 'American Idol' win”. khon2.com. 2023年6月1日閲覧。
  22. ^ a b Ordonio, Cassie (2023年5月31日). “Here's what Iam Tongi's win means for Pacific Islander musicians”. hawaiipublicradio.org. 2023年6月9日閲覧。
  23. ^ Kaholokula, Lei U'i (2023年5月25日). “Iam Tongi reflects on his American Idol journey -- and his music career dreams”. kitv.com. 2023年6月6日閲覧。

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