アダマールの予想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 21:18 UTC 版)
アダマール行列の理論に関する最も重要な未解決問題は、その存在性についてである。アダマール予想とは、任意の正整数kに対して4k次のアダマール行列が存在するというものである。 1867年のシルベスターによる生成法では、2k次のアダマール行列が得られた。12次と20次のアダマール行列は、アダマールによって1893年に求められた。 その後、1933年にレイモンド・ペイリーが、4を法として3と合同であるような任意の素数冪qについて、q+1次のアダマール行列を生成する方法を示した。彼はまた、4を法として1と合同であるような素数冪qについて、2(q+1)次のアダマール行列を生成した。彼の生成法は有限体を用いたものである。アダマール予想はペイリーの業績から生じたものと考えるべきかも知れない。シルベスターとペイリーの手法を組み合わせても4k次のアダマール行列が生成できない最小の次数は92(k=23)である。92次のアダマール行列は、バウメルト、ゴロム、ホールが計算機を用いて1962年に生成した。彼らはジョン・ウイリアムソンの手法を用いて計算を行い、これはさらに多くの次数の行列を生成することにも成功した。現在では、アダマール行列を生成する多くの手法が知られている。 2004年6月21日、Hadi KharaghaniとBehruz Tayfeh-Rezaieは428次のアダマール行列を生成したと発表した。この結果、まだ生成されていないアダマール行列の最低次数は668となった。
※この「アダマールの予想」の解説は、「アダマール行列」の解説の一部です。
「アダマールの予想」を含む「アダマール行列」の記事については、「アダマール行列」の概要を参照ください。
- アダマールの予想のページへのリンク