アイゲイダイ人とミニュアース人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 08:22 UTC 版)
「ピューティア第四祝勝歌」の記事における「アイゲイダイ人とミニュアース人」の解説
ピンダロスはアイゲイダイ人に属する古き貴族の家系にあり、アイゲイダイ人はアイゲウスを名祖とする一族である。このアイゲウスは、テーセウスの父で伝説のアテーナイ王アイゲウスとは異なり、テーラ島の名祖となったテーラースの孫であるとされる。 アイゲイダイ人はスパルタの有力な氏族であり、またテーバイにあっても有力な氏族であった。ピンダロスの『ピューティア第四祝勝歌』でうたわれている内容の背景には、二つの伝承が存在している。ピンダロスの祖先であるアイゲイダイ人テーラースが、スパルタよりミニュアース人を率いて、三隻の船でテーラ島に移住したという伝承が一つである。他方、アルゴナウタイの一人エウパーモスが、帰路レームノス島で子孫を残し、この子孫がラケダイモーン(スパルタ)に移り、更にテーラ島に移住した(この移住に、テーラースが関係していることになる)。こうしてバットスの代になって、リビュアに移住し、キューレーネー市を創建したと云う神話伝承がある 。 しかし、二つの伝承・神話がどこかで混同があったとしても、一方で、アイゲイダイ人の貴族の一員であるピンダロスの祖先は、テーバイ、ラケダイモーン(スパルタ)、そしてテーラ島に移住した(そして更に、アイゲイダイ人たちはキューレーネーにも移住した)。また他方で、キューレーネーの王アルケシラオスの祖先はミニュアース人で、レムノース島よりラケダイモーンを介在してテーラ島に移り、そこからキューレーネーを創建し移住したことになる。 ピンダロスの一族であるアイゲイダイ人と、アルケシラオスの一族のミニュアース人は、それぞれに、ラケダイモーンよりテーラ島へ、そしてリビュアのキューレーネーへと移住していることになる。ピンダロスが『ピューティア第四祝勝歌』でアルゴナウタイの神話をうたう背景に、祝勝歌の依頼者であるアルケシラオス王の祖先の偉業と、ピンダロス自身の祖先の伝承が存在しているという事実がある。
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