リング・フェンス
【英】: ring fence
1975 年の英国石油税法(Oil Taxation Act 1975)によって導入された概念で、所得税、法人税の目的上、英国内で行われる石油の採掘など上流部門に関連する活動を他の事業活動と区別するために設けられた。前者の活動は一般に「リング・フェンス (さく)内の事業」と呼ばれるが、法律で特にこの用語が使われているわけではない。地理的に分ける概念ではない点に注意を要する。通常は法人税法上、ある企業が被った損失は他の事業分野で得た利益で相殺することが認められるが、英国ではリング・フェンス内の利益でリング・フェンス外の損失を相殺することを認めていない。ただし、リング・フェンス内で発生した損失は、原則としてリング・フェンス内外いずれの利益によって相殺することも認めており、この制限は一方通行の措置となっている。さらにリング・フェンス内での課税所得を確実なものにするため、リング・フェンスを通過する石油はすべて市場価値(market value)にもとづき評価されることが定められている。したがって石油会社が系列内で任意の移転価格(transfer price)を設定することはできないことになる。リング・フェンスの概念が導入された背景には、下流部門あるいは石油外の事業での損失が石油の上流部門、特に北海の石油生産から得られる利益を減じることを防ぎ、北海からの膨大な石油収入を確保する政策があったものとみられる。英国以外でもデンマークが同様の概念を導入しており、法人税法上北海からの収益で他の陸上における活動による損失を相殺することを禁じている(ただし北海での損失を陸上の収益で相殺することは認められる)。 |

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