『聖アポロニアの殉教』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 07:42 UTC 版)
「ヤーコブ・ヨルダーンス」の記事における「『聖アポロニアの殉教』」の解説
アントウェルペンの聖アウグスティヌス教会には3点の祭壇画があった。どれも1628年に制作されたもので、もっとも大きなルーベンスの『聖母子を礼拝する聖者』を中心にして、アンソニー・ヴァン・ダイクの『法悦の聖アウグスティヌス』とヨルダーンスの『聖アポロニアの殉教』がその両横に配置されていた。ヨルダーンスの『聖アポロニアの殉教』が主題としているのは、拷問にあいつつも信仰を捨てることなく炎に飛び込んで死を選んだという3世紀のキリスト教の聖人アポロニアで、そのエピソードが多くの群衆とともに劇的に描かれている。ルーベンス、ヴァン・ダイク、ヨルダーンスは当時のアントウェルペンでもっともすぐれたバロック画家である。この3名が同時に共同作業を行ったのはこの聖アウグスティヌス教会から依頼を受けた祭壇画制作時の一度きりで、3名ともそれぞれの作品テーマに関連した作品を描き上げた。ルーベンスの祭壇画には聖人に囲まれた聖母マリアが、ヴァン・ダイクとヨルダーンスの祭壇画には聖母マリアを褒めたたえる聖人が描かれている。描かれている殉教と修道僧的暮らしを通じて、聖人たちの肖像が観る者を天国と神の世界へと招き入れるかのような連作だった。
※この「『聖アポロニアの殉教』」の解説は、「ヤーコブ・ヨルダーンス」の解説の一部です。
「『聖アポロニアの殉教』」を含む「ヤーコブ・ヨルダーンス」の記事については、「ヤーコブ・ヨルダーンス」の概要を参照ください。
- 『聖アポロニアの殉教』のページへのリンク