『原論』の証明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 01:57 UTC 版)
「ユークリッドの補題」の記事における「『原論』の証明」の解説
『原論』では第7巻の命題30において、ユークリッドの補題が証明されている。『原論』にある証明はそのままでは意味を理解することが難しいので、Heath (1956, pp. 331f)にある証明を引用する。 命題19 もし四つの数が比例するならば,第1と第4の積は第2と第3の積に等しいであろう。そしてもし第1と第4の積が第2と第3の積に等しいならば,四つの数は比例するであろう。 命題20 同じ比をもつ2数のうち最小の数はそれと同じ比をもつ2数を,大きい数が大きい数を,小さい数が小さい数をそれぞれ割り切り,その商は等しい。 命題21 互いに素である2数はそれらと同じ比をもつ2数のうち最小である。 命題29 すべて素数はそれが割り切らないすべての数に対して素である。 命題30 もし二つの数が互いにかけあわせてある数をつくり,2数の積を何らかの素数が割り切るならば,それは最初の2数の一つを割り切るであろう。 証明 素数 c が ab を割り切るならば,c は a または b を割り切るであろう。c が a を割り切らないと仮定せよ。そうすれば,[命題29]より,c と a は互いに素である。ab=mc と仮定せよ。そうすれば,[命題19]より,c : a=b : m となる。そうすれば,[命題20]と[命題21]より,自然数 n≧1 があって,b=nc となる。したがって,c は b を割り切る。同様にして,c が b を割り切らないとき,c は a を割り切る。したがって,c は a または b を割り切る。これが証明すべきことであった。
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