「防災機能」について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/03 06:47 UTC 版)
文車の背景として火災などからの災害から蔵書・文書を守るという点が挙げられることがある。ただし、文車に特殊な防災機能が付与されていた訳ではない。災害が発生した場合、文車を外部に搬出して避難させることになるが、その時に普段邸宅に着けたままの状態にしていた文車が破損して動かせない場合や文車を牽引するために必要な牛や人間が確保できなければ退避もままならなかった。安元の大火の際には源雅頼が持っていた6輛の文車を避難させようとしたところ、うち3輛の車輪が破損して役に立たず、その3輛は文庫とともに焼失したことが雅頼の友人であった九条兼実の日記『玉葉』安元3年4月29日条に記されている。また、実際に文車を搬出出来たとしても所蔵されている蔵書・文書が持つ紙の重さでは移動速度は限定されていた。このため、隣近所の範囲の火災では文車による避難は有効であったが、大規模な火災や戦乱では避難が間に合わず、あるいは避難先にも被害が及んで文車ごと失われてしまう場合もあった。
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