「金文」との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/09 22:12 UTC 版)
金文体において注意すべきは、漢字書体である「金文」との関係である。往々にして金文体の「腰高で縦長」という特徴が、全ての金文に見られるものであるかのごとく説明されることがあるが、これは大きな間違いである。 むろん、金文体と類似する「腰高で縦長」の金文は存在する。しかし、このような書体を常用していたとみられるのは中山国などごく一部で、それ以外では主に越など南方の国々において、「鳥虫篆」と呼ばれる類似の形の縦長の文字が武器類を飾る装飾文字として用いられていたにすぎない。むしろ「金文」といった場合、鈍く均一な太さの線で描かれたものが一般的である(右図参照)。 また金文体の漢字の字形は、楷書体の存在を前提にしている。金文から楷書体の間は金文→篆書体→隷書体→行書体→楷書体と4度も変遷している上、隷書体への変化の際に「隷変」と呼ばれる字体の大変化が起こっているので、両者の字形が同一になろうはずもない。 このようなことからも、金文体はあくまで「金文」のうち現代人のセンスに合った字形を意図的に選び、その要素を利用して作られた現代の装飾書体であり、これをもって古代の漢字書体としての「金文」を語ることは出来ないことを理解する必要がある。 なお制作会社のダイナコムウェア側でも、この金文体を「(金文を)参考にデザインした」と説明しており、漢字書体としての「金文」をきちんと理解し、同一では有り得ないと割り切った上で制作していることを暗ににおわせている。
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