「嗣信最後」
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『平家物語』巻第十一「嗣信最後」における継信の最期の様子を以下に簡略に示す(名の表記は「継信」とする)。 屋島の戦いにおいて、王城一の強弓精兵である平教経の矢先にまわる者で射落とされないものはなかった。なかでも源氏の大将である義経を一矢で射落とそうとねらったが、源氏方も一騎当千の兵たちがそれを防ごうと矢面に馳せた。真っ先に進んだ継信は弓手の肩から馬手の脇へと射抜かれて落馬した。義経は継信を陣の後ろにかつぎこませ、急いで馬から飛び下り手を取って、「この世に思い置くことはないか」と尋ねた。継信は「別に何事も思い置くべきことはない。しかし、主君が世の中で栄達するのを見ずに死ぬことが心に懸かることです。武士は、敵の矢に当たって死ぬことは元より期するところです。なかでも、源平の合戦に奥州の佐藤三郎兵衛継信という者が、讃岐の国屋島の磯で、主に代わって討たれたなどと、末代までの物語に語られることこそ、今生の面目、冥途の思い出です」と答えて亡くなった。義経は鎧の袖を顔に押し当てさめざめと泣き、近くに僧がいないか探させ、その僧に大夫黒という鵯越を行なった名馬を賜わり、継信を供養させた。継信の弟の忠信をはじめ、これを見た侍たちは皆涙を流し、「この主君のためなら、命を失うことは露塵ほども惜しくはない」と述べた。
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