X線撮影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/04 09:02 UTC 版)
医療分野以外での利用
空港などでの手荷物検査(飛行機に乗る前にバッグやノートパソコンなどの手荷物を機械にくぐらせる)や、建築物や配管など構造物内部の非破壊検査の一環として放射線透過検査に利用されている[1]。また、ボディチェックを行う際に、後方散乱X線検査装置などが利用されることもある。
エックス線撮影を利用した捜査
荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について、捜査機関が、捜査目的を達成するため、荷送人や荷受人の承諾を得ずに、これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察し、その写真を疎明資料として捜索差押許可状を得て、これをもとに荷受人の受け取った宅配便荷物の中および同関係者の居室内から発見された覚醒剤等について、その証拠能力が刑事裁判で争われた。下級裁判所が覚醒剤を証拠として採用し、被告人に有罪判決を出したので被告人が上訴した。
この件で 最高裁判所第三小法廷平成21年9月28日決定 は、
- 「その射影によって荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上、内容物によってはその品目等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たるものと解される。そして、本件エックス線検査については検証許可状の発付を得ることが可能だったのであって、検証許可状によることなくこれを行った本件エックス線検査は、違法であるといわざるを得ない。」
本件覚せい剤等は、違法な本件エックス線検査と関連性のある証拠であるとすれば、違法収集証拠排除法則により、その証拠能力が否定されそうであるが、
- 「しかしながら、本件エックス線検査が行われた当時、本件会社関係者に対する宅配便を利用した覚せい剤譲受け事犯の嫌疑が高まっており、更に事案を解明するためには本件エックス線検査を行う実質的必要性があったこと、警察官らは、荷物そのものを現実に占有し管理している宅配便業者の承諾を得た上で本件エックス線検査を実施し、その際、検査の対象を限定する配慮もしていたのであって、令状主義に関する諸規定を潜脱する意図があったとはいえないこと、本件覚せい剤等は、司法審査を経て発付された各捜索差押許可状に基づく捜索において発見されたものであり、その発付に当たっては、本件エックス線検査の結果以外の証拠も資料として提供されたものとうかがわれることなどの諸事情にかんがみれば、本件覚せい剤等は、本件エックス線検査と上記の関連性を有するとしても、その証拠収集過程に重大な違法があるとまではいえず、その他、これらの証拠の重要性等諸般の事情を総合すると、その証拠能力を肯定することができると解するのが相当である。」とした。
- ^ a b c 戸田裕之. X線CT―産業・理工学でのトモグラフィー実践活用. 共立出版. ISBN 978-4-320-08222-9
- ^ 携帯型X線撮影装置 | プロダクトデータベース-メディカルオンライン-:
- ^ a b Unless otherwise specified in boxes, reference is:
- “Radiation Dose in X-Ray and CT Exams”. RadiologyInfo.org by Radiological Society of North America. 2017年10月23日閲覧。 - ^ Brisbane, Wayne; Bailey, Michael R.; Sorensen, Mathew D. (2016). “An overview of kidney stone imaging techniques”. Nature Reviews Urology (Springer Nature) 13 (11): 654–662. doi:10.1038/nrurol.2016.154. ISSN 1759-4812. PMC 5443345 .
- ^ Zhang, Zhuoli; Qi, Li; Meinel, Felix G.; Zhou, Chang Sheng; Zhao, Yan E.; Schoepf, U. Joseph; Zhang, Long Jiang; Lu, Guang Ming (2014). “Image Quality and Radiation Dose of Lower Extremity CT Angiography Using 70 kVp, High Pitch Acquisition and Sinogram-Affirmed Iterative Reconstruction”. PLoS ONE 9 (6): e99112. doi:10.1371/journal.pone.0099112. ISSN 1932-6203.
- ^ ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.236
- ^ ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.237
- 1 X線撮影とは
- 2 X線撮影の概要
- 3 医療分野での利用
- 4 X線撮影による医原病
- 5 医療分野以外での利用
- 6 脚注
X線撮影と同じ種類の言葉
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