MOTHER (ゲーム)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/31 03:50 UTC 版)
システム
基本システム
- 移動時に、上下左右方向だけでなく、斜め方向にも移動できる[注 1]。
- 町とフィールドは同じ尺度で描写されている。これは当時のRPGで一般的だった、フィールド上にある町のシンボルに重なると町のマップに切り替わるという構成とは異なるものである。基本的には町の中では敵は出現しない。
- 主人公たちは、バット・フライパン・エアガン・ナイフなどの道具を武器に、コイン・腕輪・ペンダントを防具に用いる。また、敵との戦闘で経験値を得てレベルが上がることで「PSI」と呼ばれる超能力を会得する。このPSIが一般的なRPGにおける魔法に相当し、攻撃用、回復用など様々な種類がある。一般的なRPGでいうところのMPにあたる、PSIを消費する際に消費する数値は、PP(サイパワー)と称する。
- 冒険データのセーブは、町の店の中などに設置されている公衆電話や黒電話から主人公の父親(パパ)に電話をかけることで行う。公衆電話は、1ドルを支払うか、アイテム「テレホンカード」を用いることで利用できる。
町の施設
町には多数の建物が建っているが、すべての建物が中に入れるわけではなく、中に入れない建物もある。上部が丸いドアのついた建物と、看板のある建物は中に入ることができる。
- デパート - 様々なアイテムを販売している高層の店。1階ではキャッシュディスペンサー、公衆電話があるほか、返品(アイテム売却)も受け付けている。
- ハンバーガーショップ - オレンジジュース、フライドポテト、ハンバーガーを販売している(いずれもHP回復効果がある)。
- ホテル - 宿泊費を支払いHPとPPを全回復させることができる。
- 病院 - 有料で毒状態や風邪状態(徒歩移動中にダメージを受ける状態)を治療したり、意識不明(HPが0の状態)のキャラクターをカムバック(復活)させたりできる。
- ヒーラーの家 - 有料でPPの回復や石化状態(行動不能状態)の治療の施しを受けることができる。
- JACKの店 - 小規模の町で様々なアイテムを販売する店。デパートと違いアイテムの返品はできない。
このほか、町によって、町役場、小学校、ライブハウスなどの施設がある。
移動手段
以下の手段を用いることで、現在地から離れた場所へ素早く移動できる。
- パラダイス鉄道
- 多くの町を結ぶ大陸横断鉄道。駅で距離に応じた運賃を支払って乗車し目的の町まで行くことができる。
- テレポーテーション
- これまで訪れた町へ瞬時に移動できるPSI。使用すると高速で助走し始め数秒後に目的地へ転移する。助走中に障害物にぶつかると失敗し黒焦げになる(ダメージは受けない)。十字キーで助走方向を変えることができる。
- めのうのつりばり
- マジカント(後述)に一瞬で移動できるアイテム。
- パンくず
- アイテム「パン」は、食べるとHPを回復できるが、「つかう」ことで「パンくず」になる。以降、フィールド上を歩く際にはこのパンくずを撒き続け、後にこのパンくずを辿って使い始めた場所まで戻ることができる。パンくずはキャラクターごとに1つだけ所持でき、それぞれ別の場所で用いることができる。使用中に上記の3つの移動手段をとった場合は効果が消えてしまう。
戦闘
フィールドやダンジョンを歩いていると一定確率で敵に出会い、画面が切り替わって戦闘が開始される(ランダムエンカウント方式)。
各キャラクターの行動を入力したあと、ステータスの一つ「スピード」(素早さ)の値が大きいキャラクター(敵味方含む)から順番に行動する。また、「オート」を選択するとキャラクターの行動をコンピュータに任せることができる。
敵に勝利した際には、「○○はわれにかえった」や「○○はおとなしくなった」など敵の種類により異なるメッセージが表示される。戦闘後には経験値を得られるが、一般のRPGとは異なり、お金はその場では得られない。倒した敵の種類と数に応じて主人公の銀行口座にパパからお金が振り込まれ、それを各地にあるキャッシュディスペンサーなどから引き出すことで使用できるようになる。まれに戦闘後に敵がアイテムを落とすことがある。
主人公たち全員が意識不明あるいは石化状態になると全滅になる。本作では全滅した際、ドラゴンクエストシリーズのように所持金を半分にした上で全滅直前の状態で再開するか、ファイナルファンタジーシリーズのように前回のセーブデータに戻るか、プレイヤーが選択することが可能である。全滅後にもう一度チャレンジするかどうか尋ねられたときに「はい」を選ぶと前者となり、主人公だけが復活し、所持金が半分に、主人公のPPが0になった状態で最後にセーブした場所からゲームが再開される。「いいえ」を選ぶと後者となり、タイトル画面が表示され、前回セーブ以降のプレイはすべて無効となる。
戦闘時のコマンドは以下のようになっている。
- たたかうは装備している武器で通常の物理攻撃を行うコマンド。
- PSIは習得しているPSI(超能力)を使用するコマンド。他のコンピュータRPGの呪文・魔法コマンドに相当する。PSIを使用することによりそのPSIに応じたPPを消費する。PSIを使えないキャラクターのコマンドウィンドウには表示されない。
- グッズはアイテム使用コマンドで、持っているグッズ(アイテム)の中から1つ選んでグッズを使う。おともだち専用のグッズもある。
- チェックは敵の能力や弱点を調べる。
- オートを選択するとオートバトルモードとなり、プレイヤーキャラクターが自動的に行動する。Bボタンを押すことで解除できる。
- ガードは防御コマンドで、防御をして受けるダメージを減らす。
- にげるを選択すると戦闘から逃げる。成功するとは限らない。各メンバーが個別に本コマンドを選択することができ、誰か1人でも成功すると全員が逃げ出すことができる。
- 最終ボスとの戦闘の途中からうたうコマンドが登場する。
注釈
- ^ 森のやや木の間隔が広い場所では、斜め移動することで、木の間をすり抜けるように移動できる。これを使わないと行けない場所がある。
- ^ 仲間に加わっていても意識不明の場合はストーリーを進められない。
- ^ おんなのこ・もうひとりのおともだちは仲間に加えなくてもクリアが可能である。
- ^ この墓のグラフィックは、ファミリーコンピュータ版では十字架を模したデザインだが、『MOTHER1+2』では別のデザインに変更されている。
- ^ 例:「なぜ、鎧・兜・盾に剣という装備でなくてはならないのか」、「なぜ主人公は勇者でなくてはならないのか」
- ^ 例:「平凡な日常の中でポルターガイストが発生して冒険が始まる」、「普通の少年が身の丈だけでモンスターに立ち向かう」
- ^ もともと糸井は喘息をかかえており、症状をしのぐために『スーパーマリオブラザーズ』を遊んでいた。
- ^ 例:「ボロのバット」や「とびきりのフライパン」などアイテムの等級を子どもが使うような平易な言葉にする。[27]
- ^ 正確には、マゼンタ100%とイエロー100%を合わせた「金赤」という色に黒を数%混ぜたもの[5]。
- ^ 2000年にNINTENDO64版『MOTHER3』が開発中止となったことで髙田は制作から離れ、後の2006年に発売されたゲームボーイアドバンス版『MOTHER3』のロゴは髙田の草案を元に整えられた[34]。
出典
- ^ a b c 「5月10日号特別付録 ファミコンロムカセット オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第9号、徳間書店、1991年5月10日、175頁。
- ^ a b “Earthbound Beginnings for Wii U - Nintendo Game Details”. Nintendo of America. 2017年2月9日閲覧。
- ^ a b “EarthBound Beginnings”. Nintendo UK. 2017年2月9日閲覧。
- ^ a b “MOTHER|Wii U”. 任天堂. 2017年2月9日閲覧。
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- ^ a b “『MOTHER』『MOTHER2 ギーグの逆襲』が「ファミリーコンピュータ&スーパーファミコン Nintendo Switch Online」で本日追加。プラチナポイント交換グッズも登場。”. 任天堂 (2022年2月10日). 2022年2月10日閲覧。
- ^ a b “Nintendo Switch Onlineに『MOTHER』と『MOTHER2 ギーグの逆襲』が追加。糸井重里氏からファンに向けたメッセージも公開【Nintendo Direct】”. ファミ通.com. KADOKAWA (2022年2月10日). 2022年2月10日閲覧。
- ^ 『百科』, p. 30.
- ^ 『百科』, p. 40.
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- ^ 『百科』, p. 42.
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- ^ “MOTHER 主人公達”. 任天堂. 2017年2月9日閲覧。
- ^ 『百科』, pp. 18–19.
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- ^ 『百科』, pp. 22–23.
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- ^ a b c d e f g h i j “若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春『MOTHER』編”. 電ファミニコゲーマー (2017年10月26日). 2023年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月8日閲覧。
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- ^ a b “第2回 真っ赤なパッケージが生まれた理由|『MOTHER』のロゴの地球はなにが元になっているのか?”. ほぼ日刊イトイ新聞 (2022年7月28日). 2023年12月11日閲覧。
- ^ “第3回 『MOTHER』のロゴの地球マークは|『MOTHER』のロゴの地球はなにが元になっているのか?”. ほぼ日刊イトイ新聞 (2022年7月29日). 2023年12月11日閲覧。
- ^ a b “第5回 『MOTHER』のデザインの強さ|『MOTHER』のロゴの地球はなにが元になっているのか?”. ほぼ日刊イトイ新聞 (2022年7月31日). 2023年12月11日閲覧。
- ^ a b “MOTHER まとめ [ファミコン]/ ファミ通.com”. KADOKAWA CORPORATION. 2015年3月21日閲覧。
- ^ a b 池谷勇人「ユーゲーが贈るファミコン名作ソフト 100選」『ユーゲー 2003 Vol.07』第7巻第10号、キルタイムコミュニケーション、2003年6月1日、25頁、雑誌17630-2。
- ^ a b 飯田和敏「20th Anniversary 僕たちの好きなファミコン100」『CONTINUE』Vol.13、太田出版、2003年12月18日、9 - 59頁、ISBN 9784872338225。
- ^ a b 『ファミコン通信』第16・17合併号、アスキー、1989年8月4日。
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