2001年宇宙の旅 あらすじ

2001年宇宙の旅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 04:25 UTC 版)

あらすじ

人類の夜明け(THE DAWN OF MAN)

公式映画予告動画

人類が文明を築く400万年前(小説版では300万年前)、ホモサピエンスの祖先であるヒトザルが、荒野で飢えに苦しみながら生存競争を闘っていた頃。ある日、ヒトザルたちの前に黒い石板のような謎の物体「モノリス」が出現し、サルたちは驚きながらも恐る恐るそれに触れる。やがて一体のヒトザル(月を見るもの)がモノリスの知能教育により、動物の骨を道具・武器として使うことに目覚め、獣を倒して多くの肉を食べられるようになる。ヒトザルたちは、水場をめぐって対立する別のヒトザルの群れにも骨を武器として対戦し、敵のボスを殺害する。水場争いに勝利した「月を見るもの」が、歓びのあまり骨を空に放り上げると、これがカットつなぎで一瞬にして最新の軍事衛星に変わる(人類史を俯瞰するモンタージュとされる)[注 1]

モノリス

に人類が居住可能になった時代。アメリカ合衆国宇宙評議会のヘイウッド・フロイド博士は、月のティコクレーターで発掘された謎の物体「TMA・1」(Tycho Magnetic Anomaly, ティコ磁気異常1号)、通称「モノリス」(一枚岩)を極秘に調査するため、月面クラビウス基地に向かう。途中、宇宙ステーション5(小説版では「宇宙ステーション1号」)でソ連の科学者たちに会い懇談するが、「クラビウス基地が閉鎖されているが、いったい何が起きているのか」と質問され、フロイド博士は回答を拒む。

月面基地に着いたフロイド博士は、会議室で今回の事態の重要性について訓示し、TMA-1の発掘現場へ向かう。調査中、400万年ぶりに太陽光を浴びたモノリスは、強力な信号を木星(小説版では土星)に向けて発した。TMA-1は、あのヒトザルたちが月に到達するまでに進化したことを告げるセンサーだった。

木星探査計画 18ヶ月後(JUPITER MISSION)

宇宙船ディスカバリー号は木星探査の途上にあった。乗組員は船長のデヴィッド・ボーマンとフランク・プール隊員、出発前から人工冬眠中の3人の科学者と、史上最高の人工知能HAL(ハル)9000型コンピュータであった。

順調に進んでいた飛行の途上、HALはボーマン船長に、この探査計画に疑問を抱いている事を打ち明ける。その直後、HALは船のアンテナ部品=AE35ユニットの故障を告げるが、ボーマンがユニットを回収して点検すると、問題は見つからなかった。HALの異常を疑ったボーマンとプールは、その思考部を停止させることを決める。しかし、ふたりの密談を読唇して察知したHALが、それを阻止しようと乗組員の殺害を決行する。プールは船外活動中にポッドに衝突されて宇宙服を壊され、人工冬眠中の3人は生命維持装置を切られてしまう。別のポッドに飛び乗ってプールの救助に向かったボーマンは、遺体を回収して戻るが、HALに入船を拒絶され、止む無くプールの遺体を放し、ポッドのハッチを爆破してエアロックに突入する。

唯一生き残った乗員となったボーマン船長は、HALの思考部を停止させるべく、ユニットを取り外していく。HALは助命嘆願を繰り返すが、次第に知能を失い、遂には「デイジー」の歌を歌い始め、録音テープが失速するようにして止まる。すると、木星到着後に搭乗員全員に開示される動画が再生され、探査の真の目的であるモノリスの件をフロイド博士が語る。

木星と無限の彼方(JUPITER AND BEYOND THE INFINITE)

ディスカバリー号が木星の衛星軌道付近に到達すると、ボーマンは近くに浮かぶ巨大モノリスを発見する。ポッドに乗って接近して行くと、巨大モノリスは漆黒の闇に消え、そのあたりの空間から発した光の奔流がポッドを呑み込み、めくるめく異次元の光景が次から次へと押し寄せて来る。

やがて、閉鎖された王朝風の白い部屋にポッドごと到着すると、そこでボーマンは、年老いて行く自分自身を順々に発見する。遂には老衰してベッドに横たわるボーマンの前に、あのモノリスが現れ、彼がそれに向かって手を差し伸べると、光に包まれた胎児に変貌する。ボーマンは、人類を超越した存在=スター・チャイルドへと進化を遂げた。

そして胎児は太陽系へと戻り、地球を見下ろしながら、これから自分が成すべきことについて思いを巡らせるのだった[注 2]


注釈

  1. ^ 骨から直結されたのが、パンアメリカン航空(PAN AM)のマークをつけた宇宙船と勘違いされることがあるが、パンナム便は最初の宇宙船の後で出てくるので、骨と直接つながってはいない。
  2. ^ 続編の映画『2010年』冒頭によると、月のモノリス発見が1999年、ディスカバリー号内の出来事が2001年の出来事とされている。
  3. ^ 日本語字幕では「吸盤靴」と翻訳されている他、「磁力靴」とされている場合もある。
  4. ^ 現実世界では2001年以前の1991年に破産している。
  5. ^ 公開当時は「ケア・ダレー」と表記されていた。※どこで?
  6. ^ キューブリック監督の実の娘。
  7. ^ 公開当時は「カブリック」の表記だった。のちに「クブリック」となり、更に現在の「キューブリック」に落ち着いた。
  8. ^ それでもディスカバリー号の食事シーンで映るタブレットPC"Tele Pad"にはIBMのロゴが残っている
  9. ^ 結果的に2001年前に同社が何らかの憂き目によって、社名の変更や倒産した場合、途端に時代遅れの作品というリスクを避けられた。
  10. ^ 同じく1993年発売で冒頭曲「ファンファーレ」を収録したエリック・カンゼル指揮シンシナティ・ポップス・オーケストラによるテラーク・レーベルのアルバム「ハリウッド・グレイテスト・ヒッツ Vol.II(CD-80319,1992年12月録音)」の解説ではノースの未亡人から譲り受けたスコアを演奏に用いたという記述がある。
  11. ^ なお、ノースが本作のために書いたスコアは1968年の『栄光の座』、1974年の"Shanks"、1981年の『ドラゴンスレイヤー』に部分的ながら転用された。この3作はいずれもアカデミー作曲賞にノミネートされている。
  12. ^ フランク・ボーマン(Frank Borman)とデヴィッド・ボーマン(David Bowman)では若干スペルが異なる。
  13. ^ カラヤンの『ツァラトゥストラはかく語りき』セッション録音は3種あり、ベルリン・フィル版はいずれも映画の公開より後である。(1) ウィーン・フィル(英デッカ・レコード、1959年3月(32'45"))、(2) ベルリン・フィル(ドイツ・グラモフォン、1973年1月・3月(34'54"))(3) ベルリン・フィル(ドイツ・グラモフォン、1983年9月(35'57"))
  14. ^ a b 日本語のライナーノートでは「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」と誤記されている。
  15. ^ 10月8日から11日までを除く

出典

  1. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)251頁
  2. ^ a b 2001年宇宙の旅[吹替補完版]”. 2016年10月28日閲覧。
  3. ^ Baxter, John (1997). Stanley Kubrick: A Biography. New York: Basic Books. p. 200. ISBN 0-7867-0485-3. https://archive.org/details/stanleykubrickbi00baxt/page/200 
  4. ^ 1988年キネマ旬報社刊『キューブリック好き!』より。
  5. ^ マイケル・ベンソン著『2001 キューブリック クラーク』早川書房 P.73-74
  6. ^ マイケル・ベンソン著『2001 キューブリック クラーク』早川書房 P.78
  7. ^ マイケル・ベンソン著『2001 キューブリック クラーク』早川書房 P.80-89
  8. ^ マイケル・ベンソン著『2001 キューブリック クラーク』早川書房 P.111、115、133-134
  9. ^ 海洋堂の「ディスカバリー号」プロップ再現モデル、受注受付開始 - GAME Watch
  10. ^ 2001:キューブリック、クラーク ISBN 9784152098269
  11. ^ 2001: A Space Odyssey: Special Edition #60 (1968) (Uncut)”. LaserDisc Database. 2015年11月9日閲覧。
  12. ^ 指揮:ジェリー・ゴールドスミス、演奏:ナショナル・フィルハーモニー・オーケストラ
  13. ^ Music for 2001: A Space Odyssey (The Original Score by Alex North) - オールミュージック. 2015年11月9日閲覧。
  14. ^ シネマトゥデイの記事[1]
  15. ^ ワーナー ブラザース ジャパンの公式サイト[2]
  16. ^ ハヤカワ文庫SF旧版(SF243)17章 p. 123より「その背後の長いすらりとしたVの字は、原子炉の余剰熱を消散させる放射翼。(略)最大の推力で加速していたときにはサクランボウ色に輝いていた巨大な放射翼も、今では黒く冷たい」、29章 p. 191より「数千平方フィートの放射翼」
  17. ^ 『S-Fマガジン』1980年10月号の「スタジオぬえのスターシップ・ライブラリー」、『スタジオぬえメカニックデザインブック』では p.177
  18. ^ 2001: A Space Odyssey - オールミュージック. 2015年11月9日閲覧。
  19. ^ 「2001年宇宙の旅」オリジナル・サウンドトラック (東芝EMI): 1999”. 国立国会図書館. 2015年11月9日閲覧。
  20. ^ 製作50周年記念 『2001年宇宙の旅』70mm版特別上映 | 国立映画アーカイブ”. www.nfaj.go.jp. 2018年9月3日閲覧。
  21. ^ “映写技師の奮闘に拍手巻き起こる!「2001年宇宙の旅」70ミリ版上映がスタート”. 映画.com. https://eiga.com/news/20181006/10/ 2018年10月19日閲覧。 
  22. ^ “「2001年宇宙の旅」70ミリ版、全回満席で終了 10月19日からIMAX劇場上映スタート”. 映画.com. https://eiga.com/news/20181017/18/ 2018年10月19日閲覧。 
  23. ^ https://www.nytimes.com/2018/05/11/movies/2001-a-space-odyssey-christopher-nolan-cannes.html
  24. ^ “「2001年宇宙の旅」がUHD BD化。BDもリマスター。2週間限定でIMAX上映も”. AV Watch. https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1143979.html 2018年10月19日閲覧。 






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