飾緒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/15 10:10 UTC 版)
軍人以外でも、国境警備隊や沿岸警備隊といった準軍事組織の構成員、或いは警察官や消防官等の公務員の制服にも使用され、民間でも制服や舞台衣装の飾りとして用いられる事がある。
概要
飾緒が示す意味は国や時代によって異なる。正装や礼装のアイテムとして着用される場合は、地位や役職、資格、所属する部隊や兵科(兵種)を示すこともあり、勲章の略章であることもある。役職を示すものとしては副官用と駐在武官用の飾緒が多くの国の軍隊に共通しており、これらは常装に着用されることも多い。式典時の服装に単なる装飾として着けられる場合もあり、儀仗兵や軍楽隊の式典服に多く見られる。
18世紀、ナポレオン時代のフランス陸軍で誕生したものといわれ、元は地図に書き込みをする要のある副官やメモを頻繁に取る必要のある伝令将校が、鉛筆やチョークなどの筆記具を吊るしておく為のものだったという説がある。馬上で指揮を執ることが多かったナポレオンが、鉛筆を片手でも扱いやすいように、また誤って落とすことがないようにと考案したものであるともされる(鉛筆もまたナポレオンがコンテに命じて考案させたものである)。その名残とされているのが、胸前部に垂らす紐の先端に付けられている石筆(ペンシル)と呼ばれる飾り金具であり、古い時代の飾緒では実際にこの部分が鉛筆になっている例がある。しかし、それ以外にも馬の手綱やメジャー、あるいはマスケット銃の火皿の火薬滓をかき出すための金具が起源という説もあり、詳細は判然としない。
装着方法
以下に海上自衛官の副官飾緒装着要領を海上幕僚監部からの通知文書(海幕総第3603号(昭和56年8月6日))[1]に基づき以下に示す。
- 上衣の右肩袖付上部を約4センチメートル切り開き、内側でボタンにより飾緒の取付部を固定する。
- 飾緒の短い細ひもの輪に右腕を通す。
- 飾緒の長い三つ編みひもは、右肩後方から右脇下を経て上衣の前部に回す。
- 飾緒の長い細ひも及び短い三つ編みひもの輪は、直接上衣の前部に回す。
- 上衣の前部に回すひも類をまとめて、第1種夏服上衣(立襟)にあっては第1ボタンに、第2種夏服上衣(ワイシャツ型)にあっては第2ボタンに、その他にあっては右えり裏側に取り付ける。
旧陸海軍将官の正装・礼装用飾緒、参謀および皇族王公族附武官用飾緒、副官用飾緒(海軍のみ)、陸上・航空自衛隊の防衛駐在官及び副官用飾緒、陸上自衛隊将官の礼服用飾緒の着用法は上記海上自衛隊の方法と同じである。飾緒を着用する被服には右肩の袖部縫い目に切れ込を入れ、裏地部分に隠しボタンを付す。
日本はフランス軍の飾緒を参考にしたため、この装着方法はフランス式とも言える。
フランス
前記の理由から、礼装用等の飾緒は上記の#装着方法とほぼ同じである。詰襟軍服に着用する際、前部に回すひも類をまとめずに別々のボタンに取り付ける場合もある。
また勲章的なものとして、表彰を受けた部隊の将兵が着用する飾緒状のフラジェール(Fourragère)がある。例えば、レジオン・ドヌール勲章受章部隊の隊員は赤色の飾緒を着ける資格を有する(下記の写真の通り、異なる種類の勲章―例えば第二次世界大戦従軍章も―を受けている場合は色違いの複数本の飾緒が着用される)。
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リベラシオン勲章のフラジェール
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レジオン・ドヌール勲章のフラジェール
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レジオン・ドヌール勲章と第二次世界大戦従軍章、両方のフラジェールを着けた第1猟兵落下傘連隊隊員
飾緒と同じ種類の言葉
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