風
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風害
風による災害は風害と総称される。低気圧によるものが多いため水害と併発することも多く、まとめて風水害と呼ばれることがある。
風害の最も大きな原因は低気圧による強風であり、なかでも台風に代表される熱帯低気圧は非常に強い風を引き起こす。こうした強力な低気圧は海にも影響を及ぼし、海面の吸い上げによって高潮を引き起こす。海水面が高くなる高潮と異なり、高波はその名の通り波が高くなることで、低気圧による強風によって発生する[53]。こうした高潮・高波は堤防や港湾の破壊、侵食、浸水、船の座礁を引き起こす[54]。このほか、ダウンバーストや竜巻なども大きな被害をもたらす。竜巻は持続時間こそせいぜい1時間程度と短く被害範囲も狭いが、時速は50km程度と速い上風速は時速400kmにも達するため、進路上にある地域に甚大な被害を与える[55]。竜巻の発生が特に多いのは北アメリカ大陸であるが、それ以外の世界各地でも発生している。
寒冷地では冬季に吹雪が吹くことがあり、視程障害(ホワイトアウト)によって交通障害などを引き起こす[56]。砂漠における砂嵐も同様に、視程障害や呼吸困難などをもたらす。また、東北地方の太平洋側で夏に北東から吹き込むやませのように、風が冷気を呼び込んでその地方に低温と冷害をもたらすような場合もある。
他の自然災害と同様、風害の発生が予測される場合、いくつかの国では政府が警報を発表し警戒を促す。日本ではこの業務は気象庁が担当しており、警戒水準によって強風注意報、暴風警報、そして暴風特別警報の3段階が存在する。また吹雪の場合は風雪注意報と暴風雪警報が、高波の場合は波浪注意報と警報が発表される[57]。
注釈
出典
- ^ 出典:広辞苑
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