観世音寺 文化財

観世音寺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/09 07:56 UTC 版)

文化財

国宝

梵鐘(国宝)
  • 梵鐘(工芸品)
    奈良時代。京都・妙心寺鐘、奈良・當麻寺鐘等とならぶ日本最古の梵鐘の一つと考えられている。本鐘の正確な鋳造年次は不明であるが、戊戌年(西暦698年)の銘を有する妙心寺鐘と同じ木型を用いて鋳型を造った兄弟鐘と推定されている。妙心寺鐘と観世音寺鐘とは、龍頭(最上部のフック部分)や、上帯・下帯(じょうたい・かたい)の唐草文のデザインが異なるが、鐘身全体の寸法・形状などは細部まで一致している。観世音寺鐘には銘文はないが、笠形の上面に「天満」、口縁部の下面に「上三毛」などの文字が陰刻されている。鐘は現在も鐘楼に懸けられている[21]。明治37年2月18日、当時の古社寺保存法に基づき旧国宝(現行法の重要文化財に相当)に指定、昭和28年11月14日、文化財保護法に基づき国宝に指定[22]。鐘の音は日本の音風景百選にも選ばれている。また菅原道真大宰府にて書いた詩で「都府の楼には纔に瓦の色を看る 観音寺にはただ鐘の声をのみ聴く」と詠じられている[23]

重要文化財

(以下の諸像のうち、聖観音立像と阿弥陀如来立像以外は宝蔵に安置)

  • 木造観音菩薩坐像(聖観音坐像) 像内に藤原重友、重□(近)、紀為延等の造像結縁交名の記がある
    旧講堂本尊。解説は既出。
  • 木造馬頭観音立像 像内に大仏師真快、明春等、上座威儀師暹増等の造像結縁交名の記がある
    旧講堂所在。解説は既出。
  • 木造不空羂索観音立像 像内に貞応元年八月十四日、行事良慶、大仏師僧琳厳の造立銘がある (附:像内納入品 紙本墨書不空羂索神呪心経、紺紙金字法華経巻第七、塑像頭部残片4箇、塑像心木)[24]
    旧講堂所在。解説は既出。
  • 木造十一面観音立像 像内に延久元年七月、□□師賀斐講師暹明等の造像結縁交名の記がある
    旧講堂所在。解説は既出。
  • 木造十一面観音立像 附 紙本墨書仁治三年九月廿七日造立記1巻
    旧講堂所在。解説は既出。
  • 木造阿弥陀如来坐像 - 旧金堂本尊。解説は既出。
  • 木造十一面観音立像 - 旧金堂所在。平安時代。
  • 木造四天王立像 - 旧金堂所在。平安時代。
  • 木造大黒天立像 - 旧金堂所在。平安時代。大黒天像としては日本最古に属する。後世の福徳神としての大黒天像と異なり、険しい表情に造られている。
  • 木造吉祥天立像 - 旧金堂所在。平安時代。
  • 木造兜跋毘沙門天立像 - 旧金堂所在。平安時代。
  • 木造地蔵菩薩立像 - 旧金堂所在。平安時代。
  • 木造地蔵菩薩半跏像 - 旧金堂所在。平安時代。
  • 木造観音菩薩立像(聖観音立像) 像内に大仏師良俊等の造像結縁交名の記がある
    旧金堂所在。現在、講堂に安置。解説は既出。
  • 木造阿弥陀如来立像 - 旧金堂所在。平安時代。九州国立博物館に寄託。
  • 石造狛犬 2躯 - 鎌倉時代。
  • 木造舞楽面 3面(陵王1、納曽利2)
  • 天蓋光心 - 九州国立博物館に寄託

国の史跡

  • 観世音寺境内及び子院跡(附 老司瓦窯跡) - 昭和45年9月21日指定[25]

福岡県指定有形文化財

  • 金堂及び講堂 - 昭和32年8月13日指定[26]

  1. ^ 金堂本尊は阿弥陀如来(現在は宝蔵に安置)、講堂本尊は聖観音であるが、天台宗九州西教区のサイトにある観世音寺の紹介ページ 観世音寺, http://www.tendai924.com/kanzeonji/ によると、宗教法人観世音寺の規則上の本尊は、現在宝蔵に安置されている聖観音坐像(旧講堂本尊)であるという。なお、現在講堂に安置されているのは上述の聖観音坐像とは別の、立像の聖観音像である。また、上述のサイトによれば、創建当初の本尊は不空羂索観音で、平安時代後期に聖観音が本尊になった。
  2. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 12.
  3. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 18.
  4. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 13.
  5. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 26.
  6. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 40.
  7. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 72.
  8. ^ a b 九州歴史資料館(2006), p. 79.
  9. ^ 金堂内のかつての仏像安置状況の写真は『観世音寺大鏡』に掲載されている(参照:国立国会図書館デジタルコレクション、211コマなど)
  10. ^ 講堂内のかつての仏像安置状況の写真は『観世音寺大鏡』に掲載されている(参照:国立国会図書館デジタルコレクション、15コマなど)
  11. ^ 境内の説明は(九州歴史資料館(2006), p. 50-67)による。
  12. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 70.
  13. ^ a b 九州歴史資料館(2006), p. 72-81.
  14. ^ a b 九州歴史資料館(2006), p. 75,80.
  15. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 73.
  16. ^ a b 九州歴史資料館(2006), p. 75,80,81.
  17. ^ 猪川和子 1957, p. 2129.
  18. ^ 猪川和子 1960, p. 35.
  19. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 75,81.
  20. ^ 九州歴史資料館(2006), p. 77.
  21. ^ 杉山洋『梵鐘』(『日本の美術』355号)、至文堂、1995、pp.20 - 23
  22. ^ 『国宝・重要文化財大全 別巻』(所有者別総合目録・名称総索引・統計資料)、毎日新聞社、2000
  23. ^ 五木寛之『百寺巡礼 第十巻 四国・九州』
  24. ^ 像内納入品のうち経典2巻は1994年、盗難に遭っている(文化庁文化財保護部監修『文化財保護行政ハンドブック 美術工芸品編』(ぎょうせい、1998)、p.128、による。)
  25. ^ 文化財>史跡(太宰府市ホームページ)。
  26. ^ 文化財>建造物(太宰府市ホームページ)。






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