演劇集団キャラメルボックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 03:27 UTC 版)
来歴
1985年(昭和60年)、早稲田大学の演劇サークル「てあとろ'50」出身の成井豊や加藤昌史らが結成した[2][3]。名称は成井が学生時代に書いた戯曲『キャラメルばらーど』に由来する。結成当初は「社会人劇団」として年2回公演を行い、3年目の1988年(昭和63年)からはプロとして年間3〜4公演を行うようになる[2]。
1991年(平成3年)2月2日 キャラメルボックスの運営母体を「株式会社ネビュラプロジェクト」として法人化。社長に加藤が就任する。
1995年(平成7年)、当時劇団員の上川隆也がNHKドラマ『大地の子』に出演して注目を浴び、観客動員数が増加した[2][4]。動員数は1990年(平成2年)冬に1万人、1998年(平成10年)夏に4万人を記録したが[4]、2001年(平成13年)頃から劇団所属外の脚本家の作品にシフトしていったことから、ファンの離反を招くことになった。さらに、2008年(平成20年)に発生したリーマン・ショックや上川の退団、2011年に発生した東日本大震災により、観客数が減少したと同時に、2006年1月期に10億1000万円だった売上高が、2008年1月期の年売上高は約7億4800万円に落ち込み、最終赤字を計上、債務超過に転落。2018年1月期には売上高約5億円にまで落ち込むなど採算が悪化[5][6]。
2012年(平成24年)、CSC(キャラメル・サポーターズ・クラブ)結成20周年。
2015年(平成27年)、劇団結成30周年を迎えた。DMM.comにて公演映像の配信サービスを開始した[7]。その一方で、同時期から給与や退職金の未払いが発生していた。その状況下でも、劇団員はノーギャラで舞台に立ち続けた[8]。
経営改善の見込みが立たないことから、2018年(平成30年)末に脚本を担当していた成井が加藤に対して活動休止を打診[6]。2019年(令和元年)5月31日に、この日をもって活動を休止すると発表[9]。また、同日までにネビュラプロジェクト社が債務整理を弁護士に一任し、自己破産申請の準備に入った[10]。同年6月19日に東京地方裁判所から、キャラメルボックスエンタテインメントとネヴァーランド・アーツの2社と共に破産手続開始決定を受けた[1][6][11]。加藤自身も破産手続開始決定を受けた[12]。債権者の内、65人がキャラメルボックスの関係者で、関係者の労働債権総額は、劇団員45名が6318万円、スタッフ20名が1億3461万円となっている[8]。
ネビュラプロジェクトは、破産費用不足のため2019年(令和元年)9月24日に東京地方裁判所から破産手続廃止決定を受け[13]、2019年10月29日に法人格が消滅した[14]。
ネビュラプロジェクトの破産手続開始後における加藤の消息は不明となっていたが、加藤は2020年春にラーメン店グループ「ムタヒロ」の運営会社であるグレートスマイルの広報室長に就任した[12]。成井も2020年(令和2年)1月に新たな活動拠点として「成井硝子店」を立ち上げた[15]。
2021年(令和3年)6月3日、活動の再開を発表し、12月に復活公演として『サンタクロースが歌ってくれた』が上演された。
- ^ a b c TSR速報 (株)ネビュラプロジェクト東京商工リサーチ 2019年6月25日
- ^ a b c d e f 加藤昌史. “劇団について”. キャラメルボックス. 2021年6月27日閲覧。
- ^ “ぴあポイント体験記|キャラメルボックス体験レポート”. 2020年8月11日閲覧。
- ^ a b c 林尚之 (2017年7月15日). “悲しみではなく幸せの涙、キャラメルボックスの舞台”. 日刊スポーツ. 2017年7月18日閲覧。
- ^ “俳優の上川隆也氏が所属していた劇団、運営会社が破産へ”. 帝国データバンク. (2019年6月4日)
- ^ a b c “データを読む 「演劇集団キャラメルボックス」、観客動員数の落ち込みで破産を決意”. 東京商工リサーチ. (2019年6月27日)
- ^ “DMM.comでキャラメルボックスの公演映像が配信開始”. シアターガイド (2015年11月20日). 2015年11月25日閲覧。
- ^ a b “データを読む キャラメルボックス、給与未払いでも舞台に立ち続けていた”. 東京商工リサーチ. (2019年7月1日)
- ^ “キャラメルボックスが活動休止を発表”. ステージナタリー. (2019年5月31日)
- ^ “TSR速報 (株)ネビュラプロジェクト”. 東京商工リサーチ. (2019年6月4日)
- ^ “データを読む 「演劇集団キャラメルボックス」、関連会社2社も破産”. 東京商工リサーチ. (2019年6月27日)
- ^ a b “元・演劇集団キャラメルボックス製作総指揮・加藤昌史がラーメングループ「ムタヒロ」の運営会社で再出発”. エンタメ特化型情報メディア スパイス. (2020年4月1日)
- ^ “【自己破産】破産者 株式会社ネビュラプロジェクト”. 自己破産・特別清算・再生データベース. (2019年10月7日)
- ^ “株式会社ネビュラプロジェクト”. 国税庁法人番号公表サイト. 2020年8月11日閲覧。
- ^ “成井豊、新活動拠点「成井硝子店」を設立「ガラスのように美しい芝居を作ることが目標」”. エンタステージ. (2020年1月6日)
- ^ “川崎悦子”. BEATNIK STUDIO. 2015年11月18日閲覧。
- ^ 文藝春秋『別冊文藝春秋 2011年11月発行第302号』文藝春秋、2012年11月1日発行、99 - 103頁より引用
- ^ “サンシャイン劇場35周年記念公演キャラメルボックス2013スプリングツアー『ナミヤ雑貨店の奇蹟』”. 演劇集団キャラメルボックス. 2013年2月5日閲覧。
- ^ “キャラメルボックス2018サマーツアー『エンジェルボール』”. 演劇集団キャラメルボックス. 2018年7月5日閲覧。
- ^ 続編の公演が予定されていたが、2019年5月31日の劇団活動休止に伴い延期となった。
- ^ “演劇集団キャラメルボックス2017年スプリングツアー『鍵泥棒のメソッド』”. 演劇集団キャラメルボックス. 2016年11月24日閲覧。
- ^ “西川浩幸プロフィール”. 演劇集団キャラメルボックス. 2012年9月20日閲覧。
- ^ “人気劇団キャラメルボックス、活動再開へ”. 産経ニュース (2021年6月3日). 2021年6月4日閲覧。
- ^ キャラメルボックス・サポーターズ・クラブの皆様へ重要なお知らせキャラメルボックス・サポーターズ・クラブ運営事務局
- ^ “キャラメルボックス・オーナーズ・クラブ”. 演劇集団キャラメルボックス. 2015年5月20日閲覧。
- ^ キャラメルボックス・アンバサダー公式ページ
- ^ “キャラメルボックスチャンネルinニコニコ動画”. ニコニコ動画. 2015年11月18日閲覧。
- ^ 放送局側の方針変更が理由で、その経緯は加藤昌史のブログやホームページにて説明された。
固有名詞の分類
日本の劇団 |
冨士山アネット 劇団ふぁんハウス 演劇集団キャラメルボックス アンコン商事 東京サンシャインボーイズ |
- 演劇集団キャラメルボックスのページへのリンク