泰山 泰山と仏教について

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泰山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/28 13:59 UTC 版)

泰山と仏教について

泰山や周辺には仏寺も見られる。決して多くはないが、霊巌寺、普照寺、竹林寺と由緒が正しいものが多い。中でも霊巌寺は、創建が前秦ともいわれ、代には天下の四絶(中国を代表する4つの寺院)の一つに数えられている。日本からも曹洞宗の僧侶が多く留学にここを訪れた。霊巌寺には及ばないが、普照寺も宋代に高麗人の満空禅師が建立したものとして名高い。

歴史的には、泰山と仏教との関係は、五胡十六国時代竺僧朗が隠遁したことに始まる。『水経注』『魏書釈老志』『冥祥記』『高僧伝』などの同時代史料によれば、仏図澄門下の僧朗は、前秦皇始元年(351年)に泰山の琨瑞谷(金輿谷)に隠棲し、それによってこの谷は朗公谷と呼ばれるようになったとされる。前秦の苻堅後秦姚興後燕慕容垂南燕慕容徳らの五胡の覇主らの尊崇を受け、北魏道武帝も僧朗に対して師礼をとったという。

北魏代、その朗公谷に建てられた朗公寺は、帝室の保護を継続して受け、それが東魏北斉にまで継承された。また、その周辺に建てられたのが、霊巌寺や神宝寺などの諸寺である。霊巌寺の開基については、仏図澄が清水を湧き出させた地であるとか、竺僧朗ゆかりの地に建てられたという伝承が見られる。

泰山と儒教について

孔子が泰山を訪れていたことから、泰山には孔子にまつわる名所や孔子廟が作られている。宋代には孫復を初めとする泰山学派と呼ばれる儒学者達が西南の麓、五賢祠に移り住み大いに栄えたという。

泰山地獄

後漢『博物志』には泰山で人間の寿命がいかほどかをはかることが出来るという。『後漢書』烏桓伝に「死者の霊魂は泰山へ行く」記述がある。しかし、こういった泰山と死者の世界が結びついた文献は漢代以前に見えない。 しかし、仏典には泰山地獄を扱うものが多い。仏教での地獄は、インドの原語でニラヤNiraya(奈犂)、ナラカNaraka(奈落)で漢訳に意訳すると地底の牢獄つまりは地獄としたものである。仏教伝来初期、仏典の漢訳をする際にわかりやすくするために中国のある事物や語彙を借用した。原語のニラヤ・ナラカは通じ難いと判断し、泰山がインドの須弥山に匹敵する高山であり、泰山神が魂魄を召すという俗説に便乗して地獄が泰山にも存在することを牽強した。三国時代から魏晋時代に連れて漢訳仏典にはしばしば「太山地獄」「太山王」「太山の鬼」「太山畜生餓鬼」「太山焼煮の処」「太山湯火の毒」などの地獄を泰山に付会した用語が出てくる。[6]また、仏典には「泰山が崩れるような懺悔」という言葉があり、山が体を表現して、大きい山を太山に統一。泰山を周知していることからこの言葉が生まれたとされる。現在の苦悩と死後の葛藤の軽減にこういった考えをするようになったのではないかとされる。[7]

登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。

  1. ^ TAISHAN UNESCO GLOBAL GEOPARK (China)” (英語). UNESCO (2021年7月27日). 2023年2月3日閲覧。
  2. ^ 中華人民共和国国務院 (1982年11月8日). “国务院批转城乡建设环境保护部等部门关于审定第一批国家重点风景名胜区的请示的通知” (中国語). 北京法院法規検索. 2023年2月5日閲覧。
  3. ^ 泰安市泰山景区”. www.mct.gov.cn. 中華人民共和国文化観光部 (2021年7月22日). 2023年2月3日閲覧。
  4. ^ Mount Taishan” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年4月28日閲覧。
  5. ^ 泰山风景名胜区管理委员会 泰山古树名木认养专栏 泰山认养古树名木介绍”. tsgw.taian.gov.cn (2021年5月21日). 2023年4月28日閲覧。
  6. ^ 澤田瑞穂; 窪徳忠 (1982,3.30). 中国の泰山. 世界の聖域. 講談社. p. 68. ISBN 4-06-143299-0 
  7. ^ 田中文雄 (2002.12.25). 仙鏡往来. 道教の世界. 春秋社. p. 123-130. ISBN 4393312716 


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