封筒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 03:35 UTC 版)
歴史
ヨーロッパでは16世紀から17世紀にかけて封筒が使われはじめたと考えられているが、一般的に普及しはじめたのは1840年のイギリスの郵便制度改革によって重量0.5オンス(約13グラム)までの郵便料金が1ペニーと定められたころからと考えられている。それ以前は、枚数や距離によって料金が決められる方式であり、封筒も1枚と換算されたため、手紙は便箋むき出しのままこれを折りたたみ封蝋をした形で郵送されていた。しかし、枚数ではなく重量で料金が決められるようになると、封筒が急速に普及した。
日本では中世以前から書簡を送る際、今でいう便箋にあたる文字を書いた紙を何も書いていない白い紙(懸紙)で包む習慣があり、江戸時代には絵入りの便箋である絵半切を絵封筒と呼ばれる縦長の袋に入れる事例が既にあった[11]。
利用と書式
郵便物としての利用
日本では短い要件の場合は封書(便箋を封筒に入れたもの。手紙の形式のひとつ)ではなくはがき(封筒を用いず、用件を書いた厚紙一枚をそのまま送る。手紙の形式のひとつ)で済ませることが多いが、ヨーロッパやアメリカ合衆国などでは通常、はがきといえば観光地の絵はがき・写真はがきを指し、それ以外は短い用件であっても封書が使用される。たとえば、日本でいう年賀状に相当する欧米のクリスマス・カードなどのグリーティングカードは封筒に入れて送られる。このため、欧米の多くの国々では予め料額印面を刷り込んだ封筒が郵便局で販売されている。日本でもかつて明治時代および1947年以降、料額印面を刷り込んだ切手付き封筒が販売されていたが、需要が少ないため、1949年に発行されて以降、郵便料金が変更となった1954年以降は新しい発行はなく、「ものが入れられる便せん」であるミニレター(郵便書簡)のみの扱いとなっている。
郵便局は封筒の内側がそのまま便箋になっているミニレターを販売している。同様の形式で、海外宛航空郵便用のエアログラムもある。
国際的に航空郵便に使用する封筒は、4辺の端に赤と白と青の縞模様の入った封筒を使うことになっている。しかし強制ではなくあくまで任意であるため、国際航空郵便にも一般の封筒を使用することは可能である。また投函前に「PAR AVION」と書いたステッカーを貼り、航空郵便である事をはっきりさせる事が一般である。
封筒には中身の情報を保護をできるという利点があるが、近年ではシールを貼って通信面を覆うはがき(いわゆる圧着はがき)で代替されることも増えている。
書式
和封筒の場合にも洋封筒(横置き)の場合にも裏側をみて開封部がある側が上になる。洋封筒を縦置きに用いる場合には通常は右封じとする(左封じは弔事に用いられる)。和封筒や洋封筒(縦置き)の場合には表面右側から宛先の住所と氏名を記し、裏側の中央から左部に発信人の住所と氏名を記す。洋封筒(横置き)の場合には表面に宛先の住所と氏名、裏側下部に発信人の住所と氏名を記す。封筒に用いられる脇付は外脇付と呼ばれ「親展」や「至急」などがある。封緘部には「封」「緘」「〆」などを記す。切手を貼る位置は内国郵便約款によって定められている。
脚注
注釈
出典
- ^ 日本国語大辞典「ふうとう(封筒) 手紙・文書・書付などを封入する紙袋のこと。状袋(じょうぶくろ)ともいう。」
- ^ a b c d e f g h i j インフォメーション2 ハグルマ封筒
- ^ a b c d e f 部位の呼称とクルーズ洋長3封筒のベロについて / 封筒豆知識 パーソンズプラザ
- ^ a b c d e f g 封筒形状と名称の説明 新日本製袋
- ^ a b c d e f g h i j 封筒の貼り方 封筒屋どっとこむ
- ^ a b c d e f 貼り方の種類 いつつや
- ^ a b インフォメーション3 ハグルマ封筒
- ^ JIS S 5502(日本産業標準調査会、経済産業省)
- ^ Virginia Woolf, Mrs. Dalloway, The Hogarth Press, London, 1990「a large square piece of yellow cardboard」
- ^ 鈴木孝夫『日本語と外国語』岩波新書、1990年。
- ^ “逓信総合博物館ていぱーく 郵政資料館 所蔵品”. 逓信総合博物館. 2004年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月12日閲覧。
封筒と同じ種類の言葉
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