定常波
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 06:29 UTC 版)
定常波による現象
共振・共鳴
1次元波または平面波において、進行方向に対して垂直な2つの壁面(端)をつくることにより共振または共鳴とよばれる現象がおきる。この2つの端に挟まれた部分では、一方の端で反射された波が再びもう一方の端で反射される。この繰り返しにより振幅が非常に増幅された定常波ができる。このとき、ある特定の波長をもつ波動の場合のみ安定した定常波を得ることができる。そのため、特定の振動数でのみ振幅の大きな波をつくることができる。この振動数を固有振動数という。固有振動数のうち最も小さな振動数の振動を基本振動といい、特に音波の場合、基音という。この原理は楽器などに利用されている。
共振・共鳴においては、端が節もしくは腹となる。より具体的には、固定端の場合は節、自由端の場合は腹となる。 したがって、固有振動数νnは端に挟まれた部分の長さLとある一定の関係式を満たすが、どのような関係式を満たすかは両端の種類(固定端か自由端か)に左右される。
両側固定端・両側自由端の場合
両側とも固定端もしくは自由端の場合、両端とも節となるので定常波を起こす波長λnは以下の関係式を満たす。
一方の端が固定端、もう一方の端が自由端の場合、両端が節と腹となるのでλnは以下の関係式を満たす。
したがって
基本振動はn=1の場合である。
量子条件
ボーアの原子模型において、原子核を周回する電子は原子軌道上に定常波として安定して存在していると考えられている。
(ただしme、vn、rn、hはそれぞれ電子の質量、電子の速さ、軌道半径、プランク定数)
で表されているが、これにド・ブロイ波の式
を応用すると次式が得られる。
この式においてλeは電子の物質波としての波長である。これは前節で述べた閉曲線上での定常波の式を満たしており、すなわち電子は定常波として原子軌道上に安定して存在できることを意味している。
- 定常波のページへのリンク