太陽系 構造と組成

太陽系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 14:04 UTC 版)

構造と組成

太陽系の全体的な概観 画像上部の太陽、惑星、準惑星、衛星の大きさは実際の比率で描かれている。画像下部には、実際の距離の比率で描かれた図がある。衛星については主なもののみ、主惑星の傍に描かれている。

太陽系の主成分は全質量の99.86パーセントを占める太陽で、太陽系内のすべての天体を重力的に留めている[38]。残りの質量のうち、99パーセントは4つの巨大惑星が占めている。残りの天体(4つの岩石惑星、衛星、小惑星、彗星など)は全体の0.002パーセントにも満たない[注 9]

太陽系の惑星は、地球とほぼ同じ軌道平面上を公転しているが、彗星や太陽系外縁天体は、黄道面に対して大きく傾いた軌道を描くことが多い[42][43]。太陽を公転するほぼすべての天体は、北極から見て反時計回りで公転しているが[44]ハレー彗星のような例外も存在する。

太陽系の全体構造は時折、小惑星帯以内の4つの岩石惑星が公転している領域と、カイパーベルト以内の4つの巨大惑星が公転している領域に区別されることがあり、岩石惑星と小惑星帯を含む領域は内太陽系英語: The inner Solar System)、小惑星帯を超えた、4つの巨大惑星を含む領域は外太陽系英語: The outer Solar System)と呼ばれる[45]。カイパーベルトが発見されるようになってからは、カイパーベルトはそれらとは異なる、新たな領域として認識されるようになった[46]

太陽系の8つの惑星の大きさを比較したイラスト。

太陽系内の多くの惑星は、周囲を公転している衛星を持ち、太陽系において二次的な構造をなす。また、4つの巨大惑星は周囲を公転する小天体からなる環を持っている。大きな衛星のほとんどは自転と公転が同期(潮汐固定)しており、片方の面を常に惑星に向けている。

太陽系の惑星はほぼ黄道面上を公転している。太陽に近いほど、公転速度は速くなる。
(上は内太陽系、下は外太陽系)

ケプラーの法則では、太陽を公転する物体の軌道について示されている。この法則によると、太陽を公転している物体は太陽をひとつの焦点として、楕円で公転している。太陽に近い(軌道長半径が小さい)物体は、より太陽の重力の影響を受けるため、高速で公転するようになる。楕円軌道では、公転するたびに軌道が変化し、太陽にもっとも接近する位置は近日点、もっとも離れる位置は遠日点と呼ばれる。惑星の軌道はほぼ円形だが、小惑星や彗星、太陽系外縁天体は極端な楕円軌道になっていることが多い[11]。こうした天体の軌道は数値モデルを用いて予測することができる。

太陽は太陽系全体の質量のほとんどを占めているが、角運動量については約2パーセントしか占めていない[47][48]。木星をはじめとする惑星の質量、軌道、太陽からの距離の組み合わせが、太陽系全体の角運動量の大部分を占め、彗星もそれに貢献しているとされている[47]

太陽系のほぼ全体を構成する太陽は、約98パーセントが水素とヘリウムからできている[49]。それ以外の構成のほとんどを占めている木星と土星も、おもに水素とヘリウムからできている[11][50][51]。太陽系内では、太陽からの熱と光圧によって組成に差が生じており、原則、太陽に近い天体は融点の高い物質、遠い天体は融点が低い物質から構成されている[52]。これらの物質が凝固する可能性のある境界線を雪線(フロストライン)という。たとえば、太陽系でのの雪線は、火星軌道と木星軌道の間になる[7]

内太陽系の天体は、先述の通りおもに岩石で構成されており[53]、主成分はケイ素ニッケルなどの原始惑星系円盤内でも、固体として存在していた高融点化合物である。木星型惑星の木星と土星は、原始惑星系円盤内では気体として存在していた水素、ヘリウム、ネオンなどの低融点で蒸気圧の高い物質で構成されている。よって現在では、太陽系内の位置によって、物質の形態が固体か液体か気体かは変化するが、原始惑星系円盤が存在していたころは、固体と気体の物質しか存在しなかったとされている[54]。それに対して、多くの衛星や天王星、海王星、そして太陽系外縁天体には氷が多く含まれている[53][55]。この氷と気体が混ざったものを揮発性物質英語版と呼ぶ[56]

規模

地球から太陽までの距離を基準とした単位を天文単位英語: astronomical unit、au)と呼び、1 auは約1億5000万 kmに相当し、太陽の半径は0.0047 au(70万 km)となる。最大の惑星である木星は5.2 au(7億8,000万キロ)離れており、もっとも遠い海王星は30au(45億キロ)離れている。

いくつか例外はあるが、太陽から離れるに従って、惑星同士の間隔は広くなっていく。たとえば、水星と金星は0.33au離れているが、木星と土星は4.3au、天王星と海王星は10.5au離れている。こうした惑星の太陽からの距離の関係を数式化する試みがなされ、代表的なものとしてティティウス・ボーデの法則がある[57]。しかし、こうした説は科学的根拠は示されておらず、現在では受け入れられていない。

太陽系の相対的なスケールを人間規模で示そうとするモデルもあり、規模が小さなものとしては太陽系儀などがあるが、複数の都市や地域にまたがっている巨大なものもある[58]。このような太陽系のモデルとしてもっとも大規模なスウェーデン・ソーラー・システムは、ストックホルムにある直径110メートルのストックホルム・グローブ・アリーナを太陽に見立てており、たとえば木星はこのスケールに従うと、直径7.5メートルの球体で、約40キロ離れたストックホルム・アーランダ国際空港内にそのオブジェが設置されている。現時点で設置されているもっとも遠いオブジェは、直径10センチの球であるセドナで、約912キロ離れている[59][60]

太陽から海王星までの距離を100メートルとすると、太陽の直径は3センチになり、巨大惑星はいずれも3ミリ以下の大きさになる。地球を含めた岩石惑星は、この縮尺に従うと0.3ミリ以下の大きさにしかならない[61]。一方で、太陽の直径を1メートルとすると、地球は107メートル、海王星は3.2キロ離れていることになる[62]

実際の距離の比率で描かれた太陽系のおもな天体(天体の大きさの縮尺と距離の縮尺は同じではない)。






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