地方公務員 職員の任用(公務員の任命)

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地方公務員

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/17 10:14 UTC 版)

職員の任用(公務員の任命)

任用

任用とは、任命権者が特定の人を特定の職につけることである。職員の任用は、地方公務員法の定めるところにより、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基いて行わなければならない。職員の職に欠員を生じた場合においては、任命権者は、採用、昇任、降任又は転任のいずれか一の方法により、職員を任命することができる。

欠格条項

地方公務員法16条の規定により、以下の者は条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。

  1. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
  2. 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
  3. 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第五章に規定する罪を犯し刑に処せられた者
  4. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

また、上の条項(2.を除く)に該当するに至った時は、条例に特別の定がある場合を除いてその職を失う(28条)。

成年被後見人又は被保佐人を欠格条項とする規定については、採用時に試験や面接等により適格性を判断し、その後、心身の故障等により職務を行うことが難しい場合においても病気休職分限などの規定が既に整備されていることから、令和元年6月14日に公布された「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」によって削除されることとなった。

任命権者

職員の採用・昇任・降任・転任・免職・懲戒などの人事権は、法律又はこれに基づく条例・規則・規定に従い、地方公共団体の長のほか、議会の長、行政委員会代表監査委員警視総監、道府県警察本部本部長消防長消防団長地方公営企業の管理者等に与えられている。これらの者を任命権者という。

成績主義

成績主義とは、採用、昇任、転任及び降任のすべてがその職員の能力の実証に基づいて行われなければならないという考え方のことである。これは、猟官主義(猟官制・スポイルズシステム)に対立する制度であり、政治的介入や党派的利益を排除し、行政の安定性、能率性を確保することを目的とする。すなわち、成績主義を導入することで、政治と行政を分離し、職員に、中立的な立場から、住民福祉の向上のために全力を挙げることを求め、またそれを可能とする環境を確保しようとしているのである。

なお、成績主義に反して任用を行った者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される。

職員の採用

地方公共団体が職員を採用する場合、それぞれの地方公共団体ごとに競争試験を行う。一般的に区分は上級(大卒程度)、中級(短大卒程度)、初級(高卒程度)に分かれる。区分は地方公共団体により異なり、学歴制限が設けられていることもある。人事委員会が置かれる地方公共団体については人事委員会が、人事委員会を置かない地方公共団体については任命権者が競争試験を行う(⇒公務員試験)。

人事委員会を置く地方公共団体における競争試験による職員の任用については、試験ごとに任用候補者名簿(採用候補者名簿・昇任者候補者名簿)を作成する。任用候補者名簿には、採用試験又は昇任試験において合格点以上を得た者の氏名及び得点がその得点順に記載されている。任用候補者名簿は、人事委員会の議決により確定し、その後は、原則として、いかなる変更又は訂正も行うことはできない。

人事委員会は、作成した任用候補者名簿のうちから任命権者に採用すべき者1人につき高点順の志望者5名を提示し、任命権者はこの中から所要の職員を採用する。

職員の選考

職員の採用・昇任については、原則として競争試験によらなければならないが、人事委員会の定める職について人事委員会の承認があった場合に限り例外的に選考が行われる。

選考が行われるのは、

  • 選考によって十分適格者が得られる場合
  • 競争試験によって適格者を得ることが困難と思われる場合

に限られる。

人事委員会を置かない地方公共団体においては、職員の採用・昇任について、競争試験によるか選考によるかは任命権者にゆだねられている。


注釈

  1. ^ 刑事訴訟法239条2項「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」の「官吏」は、国家公務員を意味し、「公吏」は、地方公務員を意味する。
  2. ^ 例として消防団員になる場合。「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」第10条に基づき、上長は職務に支障が出ない限り承認しなければならない。この場合、本人は一般職職員で且つ特別職職員となる。

出典

  1. ^ 公吏”. コトバンク. 2021年1月16日閲覧。
  2. ^ 地方公務員の任期付採用制度について』(プレスリリース)総務省https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/tanjikan_kinmu/pdf/080718_1_si9.pdf 
  3. ^ a b 自治行政局公務員部長『会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知),総行公 第 196号』(プレスリリース)総務省、2020-21-21https://www.soumu.go.jp/main_content/000724653.pdf 
  4. ^ 総務省 地方公共団体別給与等の比較
  5. ^ 大阪市 国と地方の公務員給与比較の問題点について






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