地方公務員 地方公務員の概要

地方公務員

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 22:32 UTC 版)

地方公務員には労働契約法労働組合法労働関係調整法最低賃金法のすべてが適用されない。労働基準法においては労働組合に関する条項が適用されない。

勤務形態による区別

基幹業務

  • 任期の定めのない常勤職員 (フルタイム)
  • 任期付職員 (フルタイム/パートタイム), 最長5年
    • 高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者をその者が有する当該高度の専門的な知識経験又は優れた識見を一定の期間活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事させる場合には、条例で定めるところにより、職員を選考により任期を定めて採用することができる[3]
  • 再任用職員 (フルタイム/パートタイム)

臨時の業務

  • 特別職非常勤職員 - 以下すべてを満たす必要がある(法3条三)[4]
    1. 専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職
    2. 当該知識経験等に基づき非専務的に公務に参画する労働者性の低い職
    3. 助言、調査、診断等を行う職
  • 会計年度任用職員(一般職非常勤職員)
    • フルタイム/パートタイム。[4]
    • 任命権者は、会計年度任用職員の採用又は任期の更新に当たつては、職務の遂行に必要かつ十分な任期を定めるものとし、必要以上に短い任期を定めることにより、採用又は任期の更新を反復して行うことのないよう配慮しなければならない。
  • 臨時的任用職員(いわゆる22条職員)[5] - 6か月以内。更新は1度のみ。
    • 常時勤務を要する職に欠員を生じた場合に限定され、緊急のとき、臨時の職に関するとき、又は採用候補者名簿がないとき。
    • 主に、教師の欠員によって募集されている。

職による区別

地方公務員には一般職特別職がある。

一般職地方公務員

一般職は、特別職に属する職以外の一切の職をいう(地方公務員法第3条第2項)。一般職の職員には、地方公務員法に規定する一般職の職員に関する任用、職階制、給与、勤務時間その他の勤務条件、分限及び懲戒、服務、研修及び勤務成績の評定、福利及び利益の保護並びに職員団体等に関する規定が適用される。

なお、次の職員には地方公務員法以外に特別の法律が設けられている。

特別職地方公務員

特別職とは次に掲げる職である。(地方公務員法第3条第3項)法律に特別の定めがある場合を除き、特別職である公務員には地方公務員法は適用されない(地方公務員法第4条第2項)

  • 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする職
  • 地方開発事業団の理事長、理事及び監事の職
  • 地方公営企業の管理者及び企業団の企業長
  • 法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会(審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの【註:実務上は非常勤特別職と呼ぶ】
  • 臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職
  • 地方公共団体の長、議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定するもの
  • 非常勤の消防団員及び水防団員の職
  • 失業対策事業又は公共事業のため公共職業安定所から失業者として紹介を受けて地方公共団体が雇用した者で、技術者、技能者、監督者及び行政事務を担当する者以外のものの職

職員の任用(公務員の任命)

任用

任用とは、任命権者が特定の人を特定の職につけることである。職員の任用は、地方公務員法の定めるところにより、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基いて行わなければならない。職員の職に欠員を生じた場合においては、任命権者は、採用、昇任、降任又は転任のいずれか一の方法により、職員を任命することができる。

欠格条項

地方公務員法16条の規定により、以下の者は条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。

  1. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
  2. 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
  3. 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第五章に規定する罪を犯し刑に処せられた者
  4. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

また、上の条項(2.を除く)に該当するに至った時は、条例に特別の定がある場合を除いてその職を失う(28条)。

成年被後見人又は被保佐人を欠格条項とする規定については、採用時に試験や面接等により適格性を判断し、その後、心身の故障等により職務を行うことが難しい場合においても病気休職分限などの規定が既に整備されていることから、令和元年6月14日に公布された「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」によって削除されることとなった。

任命権者

職員の採用・昇任・降任・転任・免職・懲戒などの人事権は、法律又はこれに基づく条例・規則・規定に従い、地方公共団体の長のほか、議会の長、行政委員会代表監査委員警視総監、道府県警察本部本部長消防長消防団長地方公営企業の管理者等に与えられている。これらの者を任命権者という。

成績主義

成績主義とは、採用、昇任、転任及び降任のすべてがその職員の能力の実証に基づいて行われなければならないという考え方のことである。これは、猟官主義(猟官制・スポイルズシステム)に対立する制度であり、政治的介入や党派的利益を排除し、行政の安定性、能率性を確保することを目的とする。すなわち、成績主義を導入することで、政治と行政を分離し、職員に、中立的な立場から、住民福祉の向上のために全力を挙げることを求め、またそれを可能とする環境を確保しようとしているのである。

なお、成績主義に反して任用を行った者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される。

職員の採用

地方公共団体が職員を採用する場合、それぞれの地方公共団体ごとに競争試験を行う。一般的に区分は上級(大卒程度)、中級(短大卒程度)、初級(高卒程度)に分かれる。区分は地方公共団体により異なり、学歴制限が設けられていることもある。人事委員会が置かれる地方公共団体については人事委員会が、人事委員会を置かない地方公共団体については任命権者が競争試験を行う(⇒公務員試験)。

人事委員会を置く地方公共団体における競争試験による職員の任用については、試験ごとに任用候補者名簿(採用候補者名簿・昇任者候補者名簿)を作成する。任用候補者名簿には、採用試験又は昇任試験において合格点以上を得た者の氏名及び得点がその得点順に記載されている。任用候補者名簿は、人事委員会の議決により確定し、その後は、原則として、いかなる変更又は訂正も行うことはできない。

人事委員会は、作成した任用候補者名簿のうちから任命権者に採用すべき者1人につき高点順の志望者5名を提示し、任命権者はこの中から所要の職員を採用する。

職員の選考

職員の採用・昇任については、原則として競争試験によらなければならないが、人事委員会の定める職について人事委員会の承認があった場合に限り例外的に選考が行われる。

選考が行われるのは、

  • 選考によって十分適格者が得られる場合
  • 競争試験によって適格者を得ることが困難と思われる場合

に限られる。

人事委員会を置かない地方公共団体においては、職員の採用・昇任について、競争試験によるか選考によるかは任命権者にゆだねられている。


  1. ^ 公吏”. コトバンク. 2021年1月16日閲覧。
  2. ^ 刑事訴訟法239条2項「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」の「官吏」は、国家公務員を意味し、「公吏」は、地方公務員を意味する。
  3. ^ 地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律
  4. ^ a b 自治行政局公務員部長 (2020-21-21), “会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知),総行公 第 196号” (プレスリリース), 総務省, https://www.soumu.go.jp/main_content/000724653.pdf 
  5. ^ 地方公務員法第22条
  6. ^ 総務省 地方公共団体別給与等の比較
  7. ^ 大阪市 国と地方の公務員給与比較の問題点について
  8. ^ 例として消防団員になる場合。「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」第10条に基づき、上長は職務に支障が出ない限り承認しなければならない。この場合、本人は一般職職員で且つ特別職職員となる。


「地方公務員」の続きの解説一覧




地方公務員と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

地方公務員のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



地方公務員のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの地方公務員 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS