合板 特徴

合板

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/24 04:59 UTC 版)

特徴

  • 厚さ・サイズが豊富である。
  • あらゆる方向からの力に対して、高い抵抗力を発揮する。
  • 下地材として使われることが多く、仕上げには使われないため、外見はあまりよくないものが多いが、家具や内装材に使用するため、表面に木目の美しい仕上げ材を貼り付けた化粧合板も存在する。
  • 無垢材より安いが美しくないという欠点があるが、積層された断面を美しく仕上げることで付加価値を上げることもできる。
  • 無垢板では不可能な原木より幅広の板を作ることができる。
  • 面積が増すことにより無垢材よりも費用対効果が高くなる(ただし、狭い面積では合板のほうが高価である。)。
  • 合板を構成する薄板を曲げて張り合わせることで、無垢材より強く曲げることができる。また、円筒形に仕上げることも可能である。
  • 内装材に用いられるユリア樹脂などの接着剤は透明で見た目は良いものの、水に弱く、長時間曝露されると加水分解が進む。このため濡れる可能性がある場所では、防水処理をすることが欠かせない。短時間の濡れに対しては乾かせば問題ないが、木質層が吸水して波打つことがある。常時濡れるような箇所に、このような耐水性のない合板を使うのは禁忌である。
  • 接着剤の層を有するので、白蟻の食害には無垢板より強い。
  • 接着剤の層を有するので、水蒸気は透過しない(無垢板は水蒸気を透過する)。
  • 接着剤の層を有するので、多くの場合、製材品よりも単位体積あたりの重量が重い。

原木

日本において、合板の材料となる原木は輸入材が大部分を占めており、大規模な工場生産が始まってからは国産材はほとんど使われていない。熱帯雨林産のラワンやメランチといった広葉樹材がほとんどの時期もあったが、最近では原木の入手難からロシアカラマツニュージーランドラジアータパインといった針葉樹材を原料とするものが増えている。また、2001年までは、国産材の割合は140 - 200千m3、3 - 4%とごくわずかであった[11]が、2008年には2,137千m3、54%と、スギを主体として、合板の主要原料となっている[12]。国産材が使われていなかった理由としては、林業の衰退によって、入荷量を確保することが難しいことや、国産材の多くを占めるスギの性質は合板に向いていないことが挙げられるが、外国産針葉樹原木の先行き不透明感に加え、2002年からの林野庁の新流通システム事業による後押しなどが功を奏し、また、スギ向きの製造装置の導入や、各地での合板向け国産材原木の取りまとめなどにより、これらの課題は克服されつつある。

製造工程

合板の製造方法の概念図

合板を製造するには、最初にロータリーレースと呼ばれる装置を用いて原木から中間生成物である単板を作る必要がある。この装置は、原木丸太の中心を軸に回転させ、刃を当てるもので、丸太は大根のかつら剥きされて薄板となって出てくる。これを所定の長さでカットし、乾燥させることで単板が作られる。

木目の美しさを重視する家具用の合板の場合、スライサと呼ばれる装置を用いて、平削りによって単板を作ることもある。

次に、単板に接着剤を塗布し、通常は繊維方向を互い違いに重ねて単板の堆積物を作成する。この堆積物にホットプレスと呼ばれる装置を用いて熱と圧力を加えて、接着剤を完全に硬化させることで、合板が製造される。

(単板を繊維方向を同じ向きそろえて接着したものは、LVLと呼ばれる)

この製造工程では、ロータリーレースとホットプレス以外の機械装置は特に必須でないため、今でも発展途上国には、ほとんどの工程を手作業によって合板製造が行われているところがある。一方、先進国では機械化が発達し、例えばロータリーレースの改良により、これまで合板に不向きだった直径の小さな原木からも合板が製造できるようになってきている。


  1. ^ n.a. 著、日本建築学会 編『建築学用語辞典』岩波書店、1993年12月6日、665頁。 
  2. ^ 堀岡邦典「ごうはん 合板」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p232 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
  3. ^ 河村進, 大畑敬, 村田功二「斜行型合板を用いた耐力壁の面内せん断性能」『材料』第58巻第4号、日本材料学会、2009年、280-285頁、doi:10.2472/jsms.58.280ISSN 0514-5163NAID 1300001044352021年7月1日閲覧 
  4. ^ The Man Who Made It Happen ? Alfred Nobel”. 3833. 2012年5月3日閲覧。
  5. ^ 現代の合板は誰が発明したか ミサワホーム総合研究所 2017年9月3日閲覧
  6. ^ [1]
  7. ^ a b c d e FamilyHandyman, "Understanding Plywood Grades"
  8. ^ 合板の日本農林規格” (PDF). 農林水産省. 2020年2月6日閲覧。
  9. ^ 合板の日本農林規格の一部を改正する件 新旧対照表” (PDF). 農林水産省. 2020年2月6日閲覧。
  10. ^ 木材製品の規格と品質基準”. 日本貿易振興機構. 2020年2月2日閲覧。
  11. ^ (財)日本住宅・木材技術センター、2008年、木材需給と木材工業の現況(平成19年度版): 93-109。
  12. ^ 農林水産省大臣官房統計部、2009、平成20年木材統計
  13. ^ 木材工業ハンドブックから引用。監修者:独立行政法人 森林総合研究所
  14. ^ 関口洋嗣, 田中邦明「南極昭和基地第10居住棟パネル合板の経年変化と接着耐久性」『南極資料』第46巻2A、2002年9月、504-511頁、doi:10.15094/00009244ISSN 0085-7289NAID 120005510183 
  15. ^ インテリア・デザイン 段谷産業株式会社 耐久性合板 実用新案 1997年B27D 登録番号2558301号






合板と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「合板」の関連用語

合板のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



合板のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの合板 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS