合板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/24 04:59 UTC 版)
耐久性
耐久性は、しばしば無垢材と比較検討される。各種協会の自主検査などによって、接着剤の種類にも寄るが20年程度は規格内の強度が保たれる事例が多いとされている[13]が、20年以降の耐久性を証明する報告はなく、概ね20-30年前後が寿命と考えられている。合板の劣化には水分が大きく関与しており[14]、近年では耐久性を高めるために、接着剤を浸透させた木材を使用した商品なども開発[15]されている。
主な用途
様々な用途にもちいられている。主な用途だけでも、下記のような事例を挙げることができる。
- ひとつには構造材(壁、床、屋根などの下張材)として用いられ、建物の強度を高め、耐震性も高める。構造材として用いられた場合は一般に、完成後は壁紙や化粧板の下に隠れて見えなくなってしまうので一般の目には触れにくいが多用されている。たとえば内壁の「面」を作る材料として用いられ、一枚一枚の合板は、柱など軸組構造などにビスで縫い付けられることによって、トラス構造・三角形の構造とは別に負荷を受けて、軸組構造が地震によって揺れて平行四辺形状に変形することを防ぎ、耐震性を高める。床材として用いられる合板も構造材の一種で、合板を敷き詰めて、床の上に乗ることになる家具や人の重さに耐える丈夫な「面」をつくる。その場合にも、一般には合板で床構造を作った上に、さらに上に美麗な床材を敷き詰めることになり、合板はその下に隠される。屋根では屋根の軸組みなどの上に合板で丈夫な「面」を作る。その合板の面の上にプレート類や瓦類を並べてゆくので、合板はやはりその下に隠れることになる。
- もうひとつは化粧合板を用いて仕上材として用いる方法。建物の壁・床・天井などの表面に用いる用途。
また住宅まわりでは、積雪地域では使われなくなった建物の窓が冬季に雪の圧力で割れるのを防ぐ、台風が多い地域では飛来物から窓を護る、など
公共の建物では体育館やコンサートホールなどの建築材料として多用されている。
楽器・音楽関連では下記のものなど(合板の技術は無垢材や集成材を使うより低コストとされているが、必ずしもそうではない場合がある。)。
- アコースティック・ギターのボディの曲面(共鳴箱の側面)、エレクトリック・ギターのボディ材、ピアノのボディの主要な材料(高級なスタインウェイのグランドピアノから普及版のアップライトピアノまで幅広く)など。
- ドラムなど円筒形のシェルは合板で作られる事が多い。
- スピーカーユニットの箱の材料
スポーツ関連の中では下記が衆目を集めやすい。
- 卓球のラケットの材料、跳び箱の踏み切りで使うロイター板
- スケートボードのen:Vert rampの材料
軍事用途では、
- 小火器の銃床や銃把
- 掃海艇の船体
- 機雷の中には船体の金属材質に磁気的に反応し爆発するものがあるので、掃海艇の中には主に木材で造られるものがあり、そこに合板(マリン合板)も使われる。
- 高速魚雷艇の船体
- 飛行機の機体
- 「木製の驚異」と称されたデ・ハビランド モスキート爆撃機、ソ連の航空機向けデルタ合板など
等々、特殊な用途や少量使われる用途などまで挙げてゆくと、合板の用途には際限が無い。
生産量・消費量
2006年に世界各国で生産された合板は、7,430万m3。国別では、生産量は、多い順に中華人民共和国、アメリカ合衆国、マレーシア、インドネシア、ブラジル、日本。消費量の多い順は中華人民共和国、アメリカ合衆国、日本である。
アメリカ合衆国
国内の旺盛な需要に応えるため、19世紀から大規模な工業的生産体制が整えられてきたこと、ロッキー山脈を代表する森林地帯を抱えることから、合板の一大生産・消費地の座を占めてきた。原材料となる針葉樹の資源が減少傾向にあることや、安価な輸入合板に押され、生産量は年々漸減傾向にあるが、2005年時点の国内生産量は1,365万m3を誇り、世界第2位の座を確保している。
中華人民共和国
旺盛な建設需要に対応するため、合板の製造量は年々拡大し続けている。原材料は、ロシアからの北洋材が中心ではあるが、東南アジアからの南洋材も用いられている。国内産のポプラなどは、若干併用される程度。2006年の国内生産量は2,500万m3であり、国内需要を満たすばかりではなく、アメリカ合衆国や日本などへ向けて、830万m3が輸出されている。
ロシア
シベリアの森林資源を有するロシアでは、古くから木材産業が主力産業の一つとされていた。しかし、多くは丸太などの素材生産であり、合板などの付加価値を付けた生産品は、2000年代以降に活発になった。2008年の国内生産量は260万m3と、中国などと比べて桁が1つ低いが、北洋材に高い関税を掛ける(2009年以降は80%)など、原料段階で合板の価格形成や生産量の面で主導権を握ろうとしていることが特徴。今後は生産量が高まるものとみられている。
第二次世界大戦中には航空機に使用する高品質な金属を節約するため、デルタ合板が開発された。
インドネシア
国土の多くが熱帯雨林で占められているため、古くから木材生産が活発に行われてきたが、1985年に自国の資源保護と産業育成のため、丸太の輸出を禁止。以後、合板など付加価値を付けた製品の製造輸出に注力してきた。現在、生産量で世界第4位の座を占めている。 日本向けの輸出も多い。
日本
日本では、合板の利用法としては、家具や造作材、コンクリートの型枠としての利用が主であったが、構造用合板として住宅の壁や床に利用されるようになってから、需要が拡大した。最近では12mm以上の厚物合板が床に利用される例が増えてきている。
2004年時点の国内生産量、輸入量、および広葉樹・針葉樹合板のシェアを示す(単位:1000m3)。
広葉樹合板 | 針葉樹合板 | 合計 | |
---|---|---|---|
国内生産量 | 999 | 2,150 | 3,149 |
輸入量 | 4,350 | 130 | 4,480 |
合計 | 5,349 | 2,280 | 7,629 |
以上のように、合板生産は日本国外への移転が進んでいるが、国内生産においては針葉樹合板の生産が非常に多くなっており、インドネシアやマレーシアなどからの輸入合板については広葉樹合板の輸入がほとんどを占めている。
- ^ n.a. 著、日本建築学会 編『建築学用語辞典』岩波書店、1993年12月6日、665頁。
- ^ 堀岡邦典「ごうはん 合板」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p232 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
- ^ 河村進, 大畑敬, 村田功二「斜行型合板を用いた耐力壁の面内せん断性能」『材料』第58巻第4号、日本材料学会、2009年、280-285頁、doi:10.2472/jsms.58.280、ISSN 0514-5163、NAID 130000104435、2021年7月1日閲覧。
- ^ “The Man Who Made It Happen ? Alfred Nobel”. 3833. 2012年5月3日閲覧。
- ^ 現代の合板は誰が発明したか ミサワホーム総合研究所 2017年9月3日閲覧
- ^ [1]
- ^ a b c d e FamilyHandyman, "Understanding Plywood Grades"
- ^ “合板の日本農林規格” (PDF). 農林水産省. 2020年2月6日閲覧。
- ^ “合板の日本農林規格の一部を改正する件 新旧対照表” (PDF). 農林水産省. 2020年2月6日閲覧。
- ^ “木材製品の規格と品質基準”. 日本貿易振興機構. 2020年2月2日閲覧。
- ^ (財)日本住宅・木材技術センター、2008年、木材需給と木材工業の現況(平成19年度版): 93-109。
- ^ 農林水産省大臣官房統計部、2009、平成20年木材統計
- ^ 木材工業ハンドブックから引用。監修者:独立行政法人 森林総合研究所
- ^ 関口洋嗣, 田中邦明「南極昭和基地第10居住棟パネル合板の経年変化と接着耐久性」『南極資料』第46巻2A、2002年9月、504-511頁、doi:10.15094/00009244、ISSN 0085-7289、NAID 120005510183。
- ^ インテリア・デザイン 段谷産業株式会社 耐久性合板 実用新案 1997年B27D 登録番号2558301号
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