労働安全衛生法 危険物及び有害物

労働安全衛生法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/05 13:20 UTC 版)

危険物及び有害物

GHS08,経口・吸飲による有害性
  • 製造等禁止物質(第55条)
  • 特定化学物質

ジクロロベンジジン、ジクロロベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるもの(第1類特定化学物質)を製造しようとする者は、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。厚生労働大臣は、この許可の申請があった場合には、その申請を審査し、製造設備、作業方法等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、この許可をしてはならない(第56条、施行令別表第三)。

爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの(第2類特定化学物質)又は上記厚生労働大臣の許可を必要とする物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に、以下の事項を表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。容器又は包装を用いないで譲渡し、又は提供する者は、所定事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない(第57条、施行令18条)。

  • 名称
  • 人体に及ぼす作用
  • 貯蔵又は取扱い上の注意
  • 上記のほか、厚生労働省令で定める事項
  • 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの

労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第1類特定化学物質(通知対象物)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない(第57条の2、施行令18条の2)。

  • 名称
  • 成分及びその含有量
  • 物理的及び化学的性質
  • 人体に及ぼす作用
  • 貯蔵又は取扱い上の注意
  • 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
  • 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存の化学物質として政令で定める化学物質以外の化学物質(新規化学物質)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査)を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。有害性の調査を行った事業者は、その結果に基づいて、当該新規化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない。厚生労働大臣は、この届出があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聴き、当該届出に係る化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、届出をした事業者に対し、施設又は設備の設置又は整備、保護具の備付けその他の措置を講ずべきことを勧告することができる。有害性の調査の結果について意見を求められた学識経験者は、当該有害性の調査の結果に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。ただし、労働者の健康障害を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。ただし以下の場合は届出は不要である(第57条の4、施行令18条の4)。

  • 当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質について予定されている製造又は取扱いの方法等からみて労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。
  • 当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、既に得られている知見等に基づき厚生労働省令で定める有害性がない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。
  • 当該新規化学物質を試験研究のため製造し、又は輸入しようとするとき。
  • 当該新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品(当該新規化学物質を含有する製品を含む。)として輸入される場合で、厚生労働省令で定めるとき。
  • 当該新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者が、厚生労働省令で定めるところにより、一の事業場における一年間の製造量又は輸入量(当該新規化学物質を製造し、及び輸入しようとする事業者にあっては、これらを合計した量)が100キログラム以下である旨の厚生労働大臣の確認を受けた場合において、その確認を受けたところに従って当該新規化学物質を製造し、又は輸入しようとするとき。

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第1類特定化学物質、第2類特定化学物質及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。事業者は、この調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない(第57条の3)。事業者は、調査を行ったときは、次に掲げる事項を、調査対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に周知させなければならない(規則第34条の2の8)。調査は、調査対象物を原材料等として新規に採用し、または変更するときに行う。

  • 当該調査対象物の名称
  • 当該業務の内容
  • 当該調査の結果
  • 当該調査の結果に基づき事業者が講ずる労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置の内容

  1. ^ 労働安全衛生関係法令集 平成23年度版
  2. ^ 労働災害防止計画について厚生労働省
  3. ^ 「労働安全衛生法のはなし」p.85
  4. ^ a b c 労働安全衛生法第29条に基づく指示・指導は、元方事業者が関係請負人の労働者に対して直接行ったとしても、労働者派遣事業の要件としての「業務の遂行に関する指示」には該当せず、労働者派遣法等に違反するもの(いわゆる偽装請負)とはされない。労働省告示及び適正な請負・業務委託に係る参考資料
  5. ^ 「労働安全衛生法のはなし」p.210
  6. ^ 「労働安全衛生法のはなし」p.213
  7. ^ 「労働安全衛生法のはなし」p.214






労働安全衛生法と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「労働安全衛生法」の関連用語

労働安全衛生法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



労働安全衛生法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの労働安全衛生法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS