会社分割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/01 00:00 UTC 版)
概要
会社分割は、企業の不採算部門の切り離しや、異なる企業の同一部門をお互いに分離・統合しスケールメリットを求める場合、あるいは持株会社化の際などに行われ、法人の事業部門の全部又は一部を、既存法人や新設法人に移転することとなる。
会社分割の種類
吸収分割・新設分割
吸収分割とは、既存の会社が、その事業に関して有する権利・義務の全部又は一部を分割して他の既存の会社に承継させる会社分割をいう。
新設分割とは、既存の会社が、その事業に関して有する権利・義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させる会社分割をいう。
物的分割・人的分割
物的分割とは、分割会社に対して承継会社や設立会社から対価が交付される会社分割をいう[2]。
人的分割とは、分割会社の株主や社員に対して承継会社や設立会社から対価が交付される会社分割をいう[2]。
物的分割と人的分割の混合形態として中間型分割がある[2]。なお、分割会社が分割後に解散する消滅分割を採用している国もある[1]。
これらの会社分割の形態はすべての国に存在するわけではない。2006年(平成18年)改正前の日本の商法では物的分割も人的分割も認められていたが、2006年(平成18年)5月1日施行の会社法の会社分割制度では、物的分割のみを規定している[2]。なお、日本の会社法でも全部取得条項付種類株式の取得や剰余金の配当を組み合わせることで人的分割と同様の結果を生じさせることができる[2]。
単独分割・共同分割
単独分割とは、分割会社が一社のみである会社分割をいう[3]。共同分割とは、分割会社が二社以上によって共同で行われる会社分割をいう[3]。
交付金分割
交付金分割とは、承継会社からの分割対価として金銭のみが交付されるものをいう[3]。
三角分割
三角分割とは、承継会社からの分割対価として親会社の株式が交付されるものをいう[3]。
無対価分割
無対価分割とは、吸収分割のうち、分割会社に対して事業の全部または一部に対する金銭等が交付されないものをいう[4]。
EU加盟国における会社分割
1982年の欧州連合(EU)による「物的会社の会社分割に関する第6指令」では、消滅分割と人的分割のみが規定されており、物的分割は規定されていない[5]。ただし、具体的な法律は各国に委ねられている。
フランスにおける会社分割
フランス法には物的分割の制度として会社の部分分離の制度がある[1]。また、会社分割とともに従来の分割会社が解散する消滅分割の制度も採用されている[1]。
ドイツにおける会社分割
ドイツ法には物的分割の制度として会社の分離の制度がある[1]。
- ^ a b c d e 森本滋 編『会社法コンメンタール 17 組織変更、合併、会社分割、株式交換等(1)』商事法務、2010年、238頁
- ^ a b c d e 森本滋 編『会社法コンメンタール 17 組織変更、合併、会社分割、株式交換等(1)』商事法務、2010年、241頁
- ^ a b c d 森本滋 編『会社法コンメンタール 17 組織変更、合併、会社分割、株式交換等(1)』商事法務、2010年、243頁
- ^ 森本滋 編『会社法コンメンタール 17 組織変更、合併、会社分割、株式交換等(1)』商事法務、2010年、244頁
- ^ 森本滋 編『会社法コンメンタール 17 組織変更、合併、会社分割、株式交換等(1)』商事法務、2010年、238-239頁
- ^ a b c d e 森本滋 編『会社法コンメンタール 17 組織変更、合併、会社分割、株式交換等(1)』商事法務、2010年、239頁
- ^ 会社分割:制度を悪用し架空会社 広島県警、容疑の男逮捕 200社以上売却か 毎日新聞 2013年2月25日
- ^ 会社分割制度悪用:架空会社22社、犯罪に 毎日新聞 2013年2月26日
- 会社分割のページへのリンク