三八式歩兵銃 戦後

三八式歩兵銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 01:24 UTC 版)

戦後

フィンランド内戦にて使用され、戦後現在はヘルシンキ・Manege軍事博物館に展示されている三八式歩兵銃とフィンランド白衛軍の軍装

第二次大戦後、三八式歩兵銃の多くは九九式短小銃などとともに連合軍に接収され、大半は廃棄処分されたが、一部のものは警察予備隊が使用していた時期がある。また、全国各地の陸上自衛隊駐屯地内に併設され主に陸自が運営する資料館・史料館・記念館が、本銃を筆頭に多くの帝国陸軍の銃器・火砲軍服軍刀などを収蔵・展示している。

日本国外に流出した三八式歩兵銃は可動状態で一定数が現存しており、愛好家や博物館が収蔵しているほか、アメリカカナダではスポーツライフルとして流通している物もある。愛好家向けとして実射にはフィンランドのノルマ社が製造している6.5mmx50弾が主に使用されていて、一部は逆輸入され、競技用や狩猟用として正規に所持されているものも僅かに存在する一方、無可動実銃として処理を経て売られているものも存在する。

東南アジアでは、戦後も現地住民によって戦闘及び狩猟などに使われた例がある。2013年に読売新聞が報じたところによれば、ミャンマーの反政府武装勢力であるパオ民族解放機構(PNLO)において、三八式歩兵銃1丁が使用されていた。詳しい経緯は不明だが、現地の住民からPNLOに譲渡されたもので、7.62x39mm弾を装填できるような改造等が施されていた。読売新聞の取材に応じたPNLO将校は、この銃について「命中しやすく性能は非常に良い。政府軍と戦うための大切な武器だ」と評している[6]


注釈

  1. ^ 一部の海外輸出用は使用弾薬変更型有。
  2. ^ 終戦直後の連合軍に対する武装解除時、紋章をそのままに敵に渡すのは忍びないとした日本軍将兵の手により出来る限り紋章を削る行為がされていた。しかし全ての小銃の紋章を完全に削り取ることはできず、軽く傷をつけた物や無傷のものなど、個体差がある。アメリカの収集家間ではこの菊花紋章を「マム(Mum)」(Chrysanthemumの略)と呼称しており、マーケットにおいて「マム」の削り具合や傷の付け具合により価格は変動する(無傷な物ほど希少)。
  3. ^ 映画『拝啓天皇陛下様』では、古兵が内務班の銃架に並べられた本銃の引き金を次々と引いて状態を確認し、撃針が作動する金属音が鳴った、すなわち撃針を後退させたままにしていた新兵に制裁を加える場面がある。
  4. ^ 本銃の後継である九九式短小銃では、部品の互換性が実現された。

出典

  1. ^ 明治工業史. 火兵・鉄鋼篇”. 2020年4月4日閲覧。
  2. ^ The Rifles of China 1880-1950
  3. ^ 陸軍省兵器局銃砲課 『三八式小銃弾薬盒加修及四四式騎銃負革分数交換ニ関スル件』 大正5年 アジア歴史資料センター Ref:C02031956300
  4. ^ 大阪砲兵工廠 『防楯試験器トシテ三八式小銃三挺備附ノ件』 大正7年 アジア歴史資料センター Ref:C03011071800
  5. ^ 陸軍技術本部 『三八式小銃実包小付ノ件』 大正9年 アジア歴史資料センター Ref:C03011373300
  6. ^ 旧日本軍の三八式小銃、ミャンマーで今も現役”. YOMIURI ONLINE. 読売新聞社 (2013年3月19日). 2013年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月11日閲覧。
  7. ^ 昭和7年特許出願公告第2326号 改造自動銃 - 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
  8. ^ 試作一式テラ銃 - 25番
  9. ^ 日本特殊鋼製 教練用小銃 - 25番
  10. ^ Siamese Mauser Followup - the Type 66 Rifle - Forgotten Weapons
  11. ^ 第一軍の「兵器引継書」に見る終戦時の状況 - 日華事変と山西省
  12. ^ Japanese Rifles 1870 - 1945 - Carbines for Collectors






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