ミタケスゲ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 07:21 UTC 版)
ミタケスゲ | ||||||||||||||||||||||||
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ミタケスゲ
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Carex dolichocarpa C.A.Mey. ex V.I.Krecz. |
特徴
全体に緑色の多年生草本[1]。茎は直立し、多少ともまとまった株になる。根茎は短い[2]。草丈は20-50cmで葉が花茎より短い。葉は葉幅が3-5mm、黄緑色をしており、わずかにざらつきがある。基部の鞘は黄褐色で、少しだけ細かい繊維状に裂ける。
花期は6-8月。花茎はほぼなめらかになっており、その中央付近より下に1-3枚の茎葉をつけている[3]。花序は総状に3-5個の小穂をつけ[3]、頂小穂は雄性、それ以下の側小穂は雌性で、頂生の雄小穂は次の雌小穂と密着してつくが、側小穂は下のものほど長い柄があり、互いにやや離れて着く。小穂の基部にある苞は鞘があり、葉身部は葉状に長く発達している。雄小穂は線形で長さ1-1.5cmで柄がない。雄花鱗片は淡褐色だが中肋の部分鮮やかな緑色をしており、先端は鈍く尖るか鋭く尖る。雌小穂は長さ1-1.5cmでほぼ球形、上のものはほとんど柄がないが下方のものは長い柄があり、いずれにしても直立して生じる[3]。雌花鱗片は淡い褐色で中肋が鮮緑色、先端は鈍く、あるいは鋭く尖る。果胞は雌花鱗片より著しく長く[3]、長さ10-13mmで成熟すると開出、つまり果胞の軸に対して立ち上がり、すると先の尖った果胞が放射状に突き出す形となる。果胞の形は披針形をしており色は黄緑色、稜間には多数の脈があり、全体に毛がなく、先端は長い嘴となってその縁には細かな鋸歯があり、口の部分には2つの歯状突起がある。また基部側ではスポンジ状の脚部がある。痩果は多少密着した形で果胞に包まれ、倒卵形で長さ2-3mmと果胞より遙かに短い。これはその分だけ花柱が長いことになる。また痩果の基部は短い柄となっている。柱頭は3本に分かれる。
和名のミタケは特定の山岳を指定するものではなく、深い山を意味する。
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小さいがまとまった株になる
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一面に繁茂する
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若い穂では果胞が反り返っていない
分布
寒冷地の湿原に生育するものとして知られ、日本では中部以北によく知られてきた。佐竹他編(1982)ではその分布は北海道と本州中部以北となっている[4]。しかしその後に調査が進むと、より以南の地に点在的に隔離分布していることが明らかとなってきた。星野他(2011)では本州では中部地方以北とともに岡山県が、それに九州の大分県が追加されている[5]。さらにその後に広島県、それに四国の愛媛県が産地として名が出るようになっている。岡山県、大分県ではそれぞれ生育地は1カ所のみであり[6][7]、愛媛県の記録に関しては現状が不明のようである[8]。
- ^ 以下、主として星野他(2011),p.484
- ^ a b c 勝山(2015),p.346
- ^ a b c d 大橋他編(2015),p.328
- ^ 佐竹他編(1982),p.150
- ^ 大橋他編(2015),p.328。ちなみに同年の勝山(2015)には九州が分布地にあがっているが、なぜか本州は『中部以北』になっている。
- ^ a b ミタケスゲ・大分県ホームページ[1]2019/08/29閲覧
- ^ 岡山県レッドデータブック[2]2019/08/29閲覧
- ^ 愛媛県レッドデータブック[3]2019/08/29閲覧
- ^ 井田他(2003)
- ^ 以下、星(1985)
- ^ 橘(1998),p.40
- ^ 冨士田(2014)
- ^ 日本のレッドデータ検索システム[4]2019/08/28閲覧
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