ホワイトカラーエグゼンプション ホワイトカラーエグゼンプションの概要

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ホワイトカラーエグゼンプション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/27 07:45 UTC 版)

各国の労働法制において、労働時間の規制がなされていることを前提として、その規制の適用を免除し、または例外を認めることで、労働時間の規制を緩和することをいう。狭義には、労働時間そのものに関する規制についての緩和を指すものである。しかし、労働時間規制に付随する規制として、労働時間に応じた賃金の支払いの強制や、一定の時間を超えた超過時間について、割増賃金の適用義務化などが設定されていることから、広義にはこれらの適用の免除についても、本制度の範疇として理解される。

exception例外)との混同か「エクセプション」と書かれる場合もあるが、誤りである。日本では全労働者に適用される残業時間上限法案[注釈 1][2][3]、企業に労働者による年次有給休暇を毎年最低5日消化を義務化させる「高度プロフェッショナル制度」が成立した。

上記の残業時間上限規制法による保護下で、「高度プロフェッショナル制度」導入のための法律には、年収1,075万円を越えるが、座っていた時間で成果は決まらない専門職(為替ディーラーなど)を対象に、企業が脱時間給制度で働く専門職労働者には、年104日以上の休暇と共に2週間以上の連続休暇を取得させる義務などが盛り込まれた[4]

労働者が、成果よりも労働時間の長さが評価されるため発生する「ダラダラ残業[5][6]」、仕事が終わっても周囲を気にして帰れない「付き合い残業[注釈 2][7]」、企業が上記のような理由で発生する、多額の残業代予算確保のために基本給の賃上げを抑えるために、一部の労働者がする悪循環になっている「生活残業[5]」の結果として、G7の中で非製造業での最低の労働生産性[注釈 3][8]の改善のための制度として導入が検討されている[9][10]。。


注釈

  1. ^ 年間の残業時間を12で割ると月60時間以内に収まるようにすること、月45時間を超える月が年間で最多でも6つ以内なこと、上記の範囲内で一年の内で書き入れどきである最繁月とした一月(ひとつき)のみは、100時間未満までを前後月とも足して2で割ると60時間になる場合は認めるが、一人でも労働者への1年の残業が計720時間を越えると、経営者に刑事罰を与える法律のこと。
  2. ^ 上司や先輩や同僚や部下など周囲がまだ仕事を続けているために、自分の担当する仕事は終わったため定時に帰ろうと思っても、周囲を気にして帰宅と言えずに不必要な残業をしてしまう行為。
  3. ^ 日本の頭脳労働者の生産性は、労働の長さに関わらず、アメリカ合衆国の頭脳労働者の約半分である。
  4. ^ : cadres dirigeants

出典

  1. ^ [1]『河野慶三コラム』人事・総務の方へ| バイオコミュニケーションズ株式会社
  2. ^ [2]「島田法律事務所」
  3. ^ [3]「残業「月100時間未満」実現、企業にバトン 労使が合意、実効性確保へ罰則」
  4. ^ [4]「「脱時間給」法案を修正 連合と調整、制度化へ前進 」
  5. ^ a b http://zangyo-trouble.com/zangyo-faq01.html
  6. ^ http://www.sr-kawachu.jp/category/1510908.html
  7. ^ https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/35503 約7割の社会人が「付き合い残業」した経験あり! 「先に帰ると上司のイヤミが……」
  8. ^ http://www.bbc.com/news/business-34667380
  9. ^ [5]「未払い残業代請求対応労務管理対策室」
  10. ^ [6]
  11. ^ 労働政策研究・研修機構、島田陽一「ホワイトカラー・エグゼンプションについて考える : 米国の労働時間法制の理念と現実」『労働政策研究・研修機構』2006年3月、7頁。 
  12. ^ ILO 1号条約 工業的企業に於ける労働時間を1日8時間かつ1週48時間に制限する条約
  13. ^ 労働政策研究・研修機構 2005.
  14. ^ Wages and the Fair Labor Standards Act” (英語). アメリカ合衆国労働省. 2023年5月25日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g h Fact Sheet #17A: Exemption for Executive, Administrative, Professional, Computer & Outside Sales Employees Under the Fair Labor Standards Act (FLSA)”. アメリカ合衆国労務省. 2023年7月14日閲覧。
  16. ^ 労働政策研究・研修機構 2005, p. 172.
  17. ^ 労働政策研究・研修機構 2005, p. 85.
  18. ^ 労働政策研究・研修機構 2005, pp. 86–87.
  19. ^ a b c d 労働政策研究・研修機構 2005, p. 93.
  20. ^ a b 労働政策研究・研修機構 2005, p. 94.
  21. ^ 労働政策研究・研修機構 2005, p. 134.
  22. ^ “ フランスにおける残業時間の取り扱い”. https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07000259/france_zangyo.pdf 2017年7月11日閲覧。 
  23. ^ 森岡孝二『働きすぎの時代』(岩波新書、2005年
  24. ^ http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/n_america/us/data/0606nitibei1.pdf
  25. ^ ホワイトカラー・エグゼンプション 家庭だんらん法に 厚労相、言い換え指示
  26. ^ “ 万人に聞いた「残業する理由」、1位は「残業代がほしいから」”. ITmedia. (2017年3月2日). http://healthcare.itmedia.co.jp/hc/articles/1703/02/news085.html 2017年7月11日閲覧。 
  27. ^ “ 残業代目当ての「生活残業」の存在が示す日本の問題点と、その解決方法”. (2017年6月12日). https://mag.smarthr.jp/2017/06/seikatsu_zangyo_taisaku/ 2017年7月11日閲覧。 
  28. ^ 労働時間規制に特例 一部企業で実験導入検討
  29. ^ [www.asagaku.com/jkp/2014/6/0620.html “ 「残業代ゼロ」ってどんなこと?”]. 朝日小学生 新聞. (2014-06 -24). www.asagaku.com/jkp/2014/6/0620.html 2017年7月11日閲覧。 
  30. ^ 2014年5月8日午前0時NHK総合放送 時論公論「残業代ゼロの働き方とは?」
  31. ^ 産経新聞特集部 私もいいたい eアンケート ホワイトカラー・エグゼンプション
  32. ^ ジョブサーチ : YOMIURI ONLINE(読売新聞) Archived 2007年4月28日, at the Wayback Machine.
  33. ^ 日本経済団体連合会 (21 June 2005). ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言 (Report).
  34. ^ 厚生労働省:労働政策審議会労働条件分科会 第58回資料
  35. ^ 厚生労働省:労働政策審議会労働条件分科会 第67回資料
  36. ^ 厚生労働省:労働政策審議会労働条件分科会 第63回資料
  37. ^ 厚生労働省:労働政策審議会労働条件分科会 第64回資料
  38. ^ a b 厚生労働省 (2006-8-31). 労働契約法制及び労働時間法制に関する労使の主な意見. 厚生労働省 第60回労働政策審議会 労働条件分科会. {{cite conference}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  39. ^ http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/042/gaiyo.pdf
  40. ^ ホワイトカラーエグゼンプション導入に反対する決議
  41. ^ http://www.be.asahi.com/20070127/W17/20070116TBEH0031A.html
  42. ^ [7][リンク切れ]
  43. ^ 全労連:【談話】「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」と「労働契約法案要綱」の答申に抗議する
  44. ^ アーカイブされたコピー”. 2007年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年1月24日閲覧。


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