フィンガーライム フィンガーライムの概要

フィンガーライム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 15:22 UTC 版)

フィンガーライム
果皮が緑色のフィンガーライム
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: ミカン属 Citrus
: フィンガーライム C. australasica
学名
Citrus australasica
F.Muell.
シノニム
  • Citrus australasica var. sanguinea F.M.Bailey
  • Microcitrus australasica (F.Muell.) Swingle

果実は食用で、商業栽培に向けた開発中である[1][2]

概要

高さは、2-7 mである。葉は小さく、長さ1-6 cm、幅3-25 mmで毛はなく、頂部に向けて鋸歯がある。花は白色で、花弁は白色で、長さ6-9 mmである。果実は円筒形で、長さは4-8 cmであり、若干曲がっていたり、ピンク色や緑色等の様々な色を持つこともある[1]

栽培と利用

歴史

初期の入植者はこの果物を食べており[3]、農業のために開墾する時にもこの木を残しておいた。植民地の植物学者は、柑橘類の代替品が他にないため、栽培する必要があると提案した[3]

需要の増加

赤色のフィンガーライムとその砂じょう

フィンガーライムは、グルメなブッシュ・フードとしても人気が出てきている。球形の砂じょうは「森のキャビア」とも呼ばれ[4][5]、添え物とされたり、様々な料理のレシピに用いられる。新鮮な砂じょうを噛むと、ピリッとした風味が急速に口中に広がる。果汁は酸味があり、ライムに似ている。フィンガーライムから、マーマレードピクルスを作ることもある。皮は乾燥してスパイスとして用いる[1]

フィンガーライム果実の商業利用は、1990年代中盤に野生の果実を用いた高級マーマレードから始まった。2000年までに、レストランで販売されるようになり、また生のまま輸出された[1]

果実の需要の高まりを受けて、オーストラリアでは、商業栽培されるようになった。

病気

10セント硬貨 (オーストラリア)と並べた2つのフィンガーライム

栽培では、他の柑橘類とほぼ同様に育つ。作付け期の害虫駆除が必要な害虫や病気の対象となりうる。これらには、カイガラムシケムシタマバチ立ち枯れ等がある。ミバエの研究で、フィンガーライムはミバエの宿主にはならないと結論付けられているため、輸入国の検疫リスクにはならない。

1970年代以降の研究により、自然選択されたフィンガーライムは、根の疫病を引き起こすエキビョウキン属のPhytophthora citrophthoraに強い耐性を持つことが示され、病気耐性のある台木の開発のためのフィンガーライムとの交配プログラムが行われた。2020年、フィンガーライムを用いたカンキツグリーニング病の対策法確立のための研究が開始された[3][6]

オーストラリア連邦科学産業研究機構は、フィンガーライムと標準的な柑橘類を交配した雑種の開発も行っている。これらの雑種により作られた多くの品種は、明るい桃色から深い青緑色まで、幅広い色の果実をつける。フィンガーライムは、柑橘類の中で、最も幅広い色になると考えられている果肉(砂じょう)の色は、淡いライムグリーンや淡いピンク、珊瑚色、スカーレット等である。

分類

歴史的には、フィンガーライムはミカン属に分類されていたが、ウォルター・テニソン・スウィングルによる体系では、ミカン属が7つに分割され、フィンガーライムはミクロシトラス属という新属に分類された[7]。しかし、その後の研究で、スウィングルにより分割された属を再統合し、フィンガーライムをミカン属に戻すという考えがより広く合意されている。[8]


  1. ^ a b c d Citrus pages, Native Australian Citrus, Citrus australasica”. users.kymp.net. 2021年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月10日閲覧。
  2. ^ Mueller, Ferdinand von (April 2, 1858). Fragmenta phytographiæ Australiæ /. v.1 1858-59. Auctoritate Gubern. Coloniæ Victoriæ, Ex Officina Joannis Ferres. オリジナルのNovember 1, 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20221101234119/https://www.biodiversitylibrary.org/item/7218 2020年4月2日閲覧。 
  3. ^ a b c Low, Tim, Wild Food Plants of Australia, ISBN 0207143838[要ページ番号]
  4. ^ Karp, David (2009年12月23日). “Finger lime: the caviar of citrus”. Los Angeles Times. オリジナルの2015年5月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150531222314/http://articles.latimes.com/2009/dec/23/food/la-fow-marketwatch18-2009dec23 2015年6月1日閲覧。 
  5. ^ Star, Tamborine Mountain Daily. “Nature's 'Little Pearls', The Exotic Finger Lime” (英語). www.tamborine-daily-star.com. 2018年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年6月25日閲覧。
  6. ^ Allen, Greg (2020年7月27日). “Exotic Australian Fruit May Help Save Florida's Citrus Industry”. NPR. https://www.npr.org/2020/07/27/895775625/exotic-australian-fruit-may-help-save-floridas-citrus-industry 2020年7月28日閲覧。 
  7. ^ Citrus australasica F.Muell. — The Plant List”. www.theplantlist.org. 2018年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月10日閲覧。
  8. ^ Jorma Koskinen and Sylvain Jousse. “Citrus Pages / Native Australian varieties”. free.fr. 2015年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月11日閲覧。


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