ハルゼヴィンケル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 16:27 UTC 版)
地理
位置
ハルゼヴィンケルは、北ドイツ低地のエムスザントエーベネ(エムス川沿いの砂地の土地)に位置している。これはミュンスターラントとオストヴェストファーレンとの境界部であり、トイトブルクの森から南に約 15 km のヴェストファーレン盆地(ミュンスターラント盆地とも呼ばれる)にある。
近くの大きな都市としては、南東に約 15 km 離れたギュータースロー、東に 25 km 離れたビーレフェルト、北に約 45 km 離れたオスナブリュック、西に約 50 km 離れたミュンスターがある。
地形のプロファイルは、非常に平坦で波打つ土地である。市内の最高地点はボームベルゲンの海抜 79.9 m で、最低地点はグレッフェン近郊のエムス川の谷の海抜 56 m である。本市に属す3つの地区ハルゼヴィンケル、マリエンフェルト、グレッフェンの中心部は、海抜 62 m から 68 m に位置している[4]。
市内を流れる最も大きな川はエムス川で、3つの市区の南側を流れている。最も長い区間市内を流れるルッター川、ロッデンバッハ川、アブロックスバッハ川、レーダー・バッハ川がいずれもエムス川に右岸側から合流する。これらよりも小さな川であるヴェステンバッハ川、タールグラーベン川、ヴェルプラーゲバッハ川は、上記のエムス川支流に流れ込んでいる。
地質学
地盤の下層には、炭層を主とする歴青炭岩盤(石炭紀後期)の粘土岩や砂岩が存在している。その上に厚さ約 1,500 m に達する中生代(白亜紀)の石灰岩と泥灰岩の層がある。この固い地層は氷期(白亜紀)の脆い岩の層で完全に覆われている。その下層に隠された氷期のエムス川の谷は 20 m の深さにまでおよぶ可能性がある。この脆い岩の層はヴュルム氷期の砂やシルトの堆積物で形成されており、表土の近くまで地下水で満たされている。いずれもエムス川に流れ込む小さな川の周辺では腐植土に富んだ砂や粘土質のシルトが見られる。
砂地の谷の比較的高い場所には、栄養分に乏しい乾燥しやすい土壌(ポドゾル)が広がっている。プラッゲ(腐植土の盛り土)を行うことにより現在では収穫率が改善されている。その下の層はしばしば地下水に満たされている(グレイゾル=ポドゾル)。低い場所や谷間では表土近くまで地下水が満ちており、そのため自然の緑地が形成されていたが、排水を行うことで大部分が耕作地として利用されている。エムス川やその支流の谷に沿って、比較的新しい、砂丘状に吹き上げられた細かい砂が見られる。こうした場所の土壌形成はまだ初期段階であり、疎らな松林が覆っている[5]。
ハルゼヴィンケルの市域は、地熱ゾンデによる地熱源やヒートポンプによる地熱採取については、「中程度」から「良好」な状態にある(右図参照)[6]。
市域の広がりと土地利用
「グローセ・ラントゲマインデ」(大きな田舎町)に分類されるハルゼヴィンケル市の面積は 100.59 km2 である。その多くの部分は農業用地か森林で、両者を合わせると市域の約 80.8 % を占める。住宅地と交通用地を合わせた占有率は約 14.5 % である。同じ州の同規模の他の自治体平均と比較すると農業用地の比率が約 13 % 高く、森林が 10 % 近く低い[7]。
南北軸の最大幅は約 9.5 km、東西軸のそれは 14.5 km である。市域の長さは 49.5 km である。
土地用途 | 面積 (km2) | 占有率 (%) |
---|---|---|
農業用地 | 65.31 | 64.9 |
森林 | 15.96 | 15.9 |
宅地、空き地 産業用地 |
9.19 | 9.1 |
交通用地 | 5.48 | 5.4 |
水域 | 2.62 | 2.6 |
スポーツ用地 および緑地 |
1.64 | 1.6 |
その他 | 0.39 | 0.5 |
隣接する市町村
ハルゼヴィンケル市は7つの市町村と境を接している。北のフェルスモルト、北東のハレ、東のシュタインハーゲン、南東のギュータースロー、南のヘルツェブロック=クラールホルツ、南西のベーレン、北西のザッセンベルクである。ベーレンとザッセンベルクはヴァーレンドルフ郡に、その他の市町村はいずれもギュータースロー郡に属す。
市の構成
ハルゼヴィンケル市は、ハルゼヴィンケル、マリエンフェルト、グレッフェンの3つの地区から構成されている。ハルゼヴィンケル地区が人口17,000人を超える最大地区である。地理的にも他の2つの地区の間に位置しており、上級の学校がこの地区にある。
次に大きな地区がマリエンフェルトである。ここにあったシトー会修道院が600年以上の長きにわたりハルゼヴィンケルの歴史に決定的な影響力を持っており、ほぼすべての農場がこの修道院に属していた。また、修道院長はハルゼヴィンケルとグレッフェンの司祭を指名する権利を有していた。1900年頃の鉄道建設以後、レムゼとエスターの2つの小集落は村落に成長し、マリエンフェルト全体の住民数は4,600人を超えた。1983年にマリエンフェルトは「我らの村が一番美しい」コンテストで金メダルを獲得した。第二次世界大戦後ギュータースロー空港周辺がイギリス軍に利用されるようになると、マリエンフェルトにも多くのイギリス人が定住した。2007年には 30軒以上のイギリス軍司令官の住居が地区の中心部に建設された。
最も小さく、農業を主体としたグレッフェン地区は市の西部に位置する。グレッフェンは長らく、聖ヨハネス教会を囲む住居群と多くの農園で構成されていた。第二次世界大戦後に古い村の中心部周辺に住宅地が整備され、現在は約 3,000人が住んでいる。
地区名 | 人口(人) (2015年1月1日現在)[8] |
ハルゼヴィンケル市区図 | |
---|---|---|---|
ハルゼヴィンケル | Harsewinkel | 17,177 | |
マリエンフェルト | Marienfeld | 4,606 | |
グレッフェン | Greffen | 3,037 | |
合計 | 24,820 |
気候
ハルゼヴィンケルは、温帯の中央ヨーロッパに属す。この街は亜大西洋性の海洋性気候地域に位置している。冬は大西洋の影響でおおむね穏和であり、夏はかなり暑い。年間を通して湿潤で、比較的平均した降水がある。長期の平均降水量は年間 704.5 mm で、ドイツ全土の平均 (700 mm) よりもほんのわずか多い。年間平均気温はおおよそ 9 - 9.5℃である[9]。
ハルゼヴィンケル(降水量)およびギュータースロー(気温)の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
日平均気温 °C (°F) | 1.3 (34.3) |
2.0 (35.6) |
4.7 (40.5) |
8.4 (47.1) |
12.9 (55.2) |
15.9 (60.6) |
17.2 (63) |
16.9 (62.4) |
13.7 (56.7) |
9.9 (49.8) |
5.3 (41.5) |
2.5 (36.5) |
9.2 (48.6) |
降水量 mm (inch) | 58.1 (2.287) |
41.7 (1.642) |
56.4 (2.22) |
53.9 (2.122) |
64.7 (2.547) |
67.4 (2.654) |
68.9 (2.713) |
59.2 (2.331) |
58.2 (2.291) |
48.1 (1.894) |
59.1 (2.327) |
68.8 (2.709) |
704.7 (27.744) |
出典:ドイツ気象庁 (DWD) [9] |
訳註
- ^ ドイツの地税および営業税の税率は全国共通の基本税率に地方自治体が定める賦課率を掛けた値となる。土地税の基本税率は用途によって異なり、土地税Aは 0.6 %、土地税Bは0.26 - 0.35%である。営業税の基本税率は 3.5 % である。従ってこの街の営業税率は 3.5 × 3.7 = 12.95 % である。(JETRO - 税制 およびドイツ ノルトライン=ヴェストファーレン州経済振興公社 株式会社エヌ・アール・ダブリュー ジャパン - 不動産税)
- ^ モッデンバッハタール川は、アブロックスバッハ川の支流である
- ^ 現在、オーバーリーガは5番目のリーグである。
出典
- ^ Bevölkerung der Gemeinden Nordrhein-Westfalens am 31. Dezember 2021 – Fortschreibung des Bevölkerungsstandes auf Basis des Zensus vom 9. Mai 2011
- ^ Max Mangold, ed (2005). Duden, Aussprachewörterbuch (6 ed.). Dudenverl. p. 390. ISBN 978-3-411-04066-7
- ^ Auf Schildern steht „Die Mähdrescherstadt“, Die Glocke on line 2013年7月3日付け(2016年7月9日 閲覧)
- ^ Hansewinkel - Geographische Daten(2016年7月9日 閲覧)
- ^ Geowissenschaftliche Gemeindebeschreibungen NRW - Harsewinkel(2016年7月9日 閲覧)
- ^ Erdwärme nutzen: Geothermie-studie liefert Planungsgrundlage(2016年7月9日 閲覧)
- ^ a b c d e f g Information und Technik Nordrhein-Westfalen: Kommunalprofil Harsewinkel, Stadt(2016年7月9日 閲覧)
- ^ Kreis Gütersloh: Der Kreis Gütersloh Zahlen Daten Fakten 2015, 2015
- ^ a b Deutscher Wetterdienst(2016年7月9日 閲覧)
- ^ Landgemeindeordnung für die Provinz Westfalen 1841
- ^ Der Altkreis Warendorf im Zweiten Weltkrieg 1939 – 1945. Warendorf 1996.(2016年7月10日 閲覧)
- ^ Martin Bünermann, Heinz Köstering: Die Gemeinden und Kreise nach der kommunalen Gebietsreform in Nordrhein-Westfalen. Deutscher Gemeindeverlag, Köln 1975, ISBN 3-555-30092-X.
- ^ Stephanie Reekers: Die Gebietsentwicklung der Kreise und Gemeinden Westfalens 1817–1967. Aschendorff, Münster Westfalen 1977, ISBN 3-402-05875-8, S. 241.
- ^ Gesetz zur Neugliederung der Gemeinden und Kreise des Neugliederungsraumes Bielefeld (Bielefeld-Gesetz)(2016年7月13日 閲覧)
- ^ Harsewinkel - Katholische Kirchengemeinde(2016年7月14日 閲覧)
- ^ Harsewinkel - Evangelische Kirchengemeinde(2016年7月14日 閲覧)
- ^ ノルトライン=ヴェストファーレン州データ管理・統計局: Schüler an allgemein bildenden Schulen in NRW nach der Religionszugehörigkeit(2016年7月14日 閲覧)
- ^ Statistisches Landesamt Nordrhein-Westfalen: Gemeindestatistik des Landes Nordrhein-Westfalen: Bevölkerungsentwicklung 1816–1871. Düsseldorf 1966, S. 176.
- ^ Statistisches Landesamt Nordrhein-Westfalen: Gemeindestatistik des Landes Nordrhein-Westfalen: Bevölkerungsentwicklung 1871–1961. Düsseldorf 1964, S. 340–341.
- ^ Statistisches Landesamt Nordrhein-Westfalen: Die Wohnbevölkerung in den Gemeinden Nordrhein-Westfalens 1970: Ergebnisse der Volkszählung am 5月27日 1970. Düsseldorf 1972, S. 38.
- ^ Landesamt für Datenverarbeitung und Statistik Nordrhein-Westfalen: Sonderreihe zur Volkszählung 1987 in Nordrhein-Westfalen, Band 1.1: Bevölkerung, Privathaushalte und Erwerbstätige. Düsseldorf 1989, S. 110.
- ^ Landesdatenbank NRW(2016年7月15日 閲覧)
- ^ ノルトライン=ヴェストファーレン州選挙管理局: 2014年のハルゼヴィンケル市議会議員選挙結果(2016年7月15日 閲覧)
- ^ ノルトライン=ヴェストファーレン州選挙管理局: 2004年のハルゼヴィンケル市長選挙結果(2016年7月15日 閲覧)
- ^ ノルトライン=ヴェストファーレン州選挙管理局: 2009年のハルゼヴィンケル市長選挙結果(2016年7月15日 閲覧)
- ^ Bürgermeisterin kandidiert 2014 erneut, Die Glocke online 2013年10月8日付け(2016年7月15日 閲覧)
- ^ ノルトライン=ヴェストファーレン州選挙管理局: 2014年のハルゼヴィンケル市長選挙結果(2016年7月15日 閲覧)
- ^ Stadt Harsewinkel - Stadtwappen(2016年7月15日 閲覧)
- ^ Gewerbesteuerhebesatz für Harsewinkel, Die Mähdrescherstadt(2016年7月17日 閲覧)
- ^ Kolping Theater Harsewinkel(2016年7月17日 閲覧)
- ^ LWL Geodaten Kultur: Klostergarten Marienfeld (Kulturlandschaft) (2016年7月19日 閲覧)
- ^ Harsewinkel - Vereine(2016年7月19日 閲覧)
- ^ TWE-Strecke: Kreistag stimmt für Reaktivierung des Personennahverkehrs(2016年7月20日 閲覧)
- ^ Rainer Holzkamp: Neue Konkurrenz für die TWE(2016年7月20日 閲覧)
- ^ Euroradweg R1(2016年7月20日 閲覧)
- ^ Der Picknicker(2016年7月20日 閲覧)
- ^ 100 Schlösser Route(2016年7月20日 閲覧)
- ^ EmsRadweg - der Erlebnis-Radweg(2016年7月20日 閲覧)
- ^ Claas(2016年7月21日 閲覧)
- ^ Harsewinkel - Grundschulen(2016年7月22日 閲覧)
- ^ Förderverein der August-Claas-Schule Harsewinkel e.V.(2016年7月22日 閲覧)
- ^ Städtische Realschule Harsewinkel(2016年7月22日 閲覧)
- ^ Gesamtschule Harsewinkel(2016年7月22日 閲覧)
- ^ Gymnasium Harsewinkel(2016年7月22日 閲覧)
- ^ Erich Kästner-Schule(2016年7月23日 閲覧)
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