ノンステップバス
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車両数・導入傾向
日本におけるノンステップバスの車両数は、本格的な量産大型ノンステップバス販売初年度の1997年は145台(0.2%)、2000年には1,289台(2.2%)、2010年には16,534台(27.9%)と、交通バリアフリー法制定の2000年以降、毎年1000-2000台前後の導入台数で推移し、2020年には29,489台(50.9%)に達し、全国での導入率が50%を超えた(括弧内の数字は乗合バス総車両数に占める割合)[26]。しかし、車両購入に関わるコストが高い為、経営の厳しい地方のバス会社ほど導入が進まない状況が長らく続いていた。また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の影響によるバス利用者減少で、公営を除く全国のバス事業者で新車の買い控えが起き、この年以降は年間の導入台数が大きく減少した。
2022年時点では、全国で30,117台(55.3%)が導入されているが、都道府県別では鳥取県が92.4%と最も導入率が高く、次いで東京都が89.8%、愛知県が88.5%、埼玉県が87.9%、沖縄県が83.6%と続き[26]、以前ほど都市部と地方での導入率に大きな格差は生じていない。これは、初期のノンステップバスが導入から10年以上経過したことで、大都市圏の事業者を中心に経年廃車が発生し、地方のバス事業者がこういった車両を中古車で大量導入し、ノンステップバス化を進めたケースが増えつつあることも要因とされるほか、元々地方は大都市圏に比べてバスの総車両数が少ないことから、ノンステップ化が一気に進んだためで、鳥取県や沖縄県などの地方が導入率で上位にいるのはそのためである。ノンステップバスの導入台数に関しては、依然として東京都が6,293台と最も多く、これは全国のノンステップバス導入率の約20%に相当する[26]。
一方、大都市圏であっても、西日本鉄道(西鉄バス)は車内段差や収容力などの関係から、メーカー純正ボディへ完全移行するまでは本格導入がなされていなかった為[27]、福岡県全体の導入率は37.6%と大都市圏の中では最も導入率が低い[26]。
また、東北地方では、車高が低いことで冬季に雪道で車体と路面が接触する恐れがあるというイメージから当初は導入が敬遠され、その後は市街地や幹線道路等の雪が少なく、除雪が進んでいる地域を中心に少しずつ導入が進んだものの、依然として積雪の多い地域での運行は厳しいという意見が事業者から根強く[28]、特に青森県、秋田県、岩手県の東北3県は全国と比較しても導入率が低い傾向にある[26]。実際に秋田県では当初、自治体がバス会社に委託したコミュニティバスに小型車3台が導入されただけで、秋田中央交通が2010年2月に導入するまで、一般の路線バスには1台も導入されていなかった。
ノンステップバス導入率100%を達成している事業者としては東京都交通局や小田急バスなどがある一方[29]、一切導入しない方針の事業者もあり、岡山県東部をエリアとする宇野自動車は2023年現在に至るまでノンステップバスの導入実績が無い。
注釈
- ^ 三菱ふそうトラック・バスでは、「ノーステップバス」とも称していた時期もあった。
- ^ 過去には京阪宇治交通(現・京阪バス)において男山営業所の出入口の勾配が極端に大きく、そのためノンステップバスを導入できなかったが、後に勾配を緩和して導入を行った。また山科営業所には過去よりワンステップバスはあるものの、営業所付近の道路状況から、同営業所には2007年度まで導入していなかった。導入後も道路の勾配の関係から、一部区間への走行は不可能である。
- ^ 長崎バスは2005年度に国土交通省標準仕様のノンステップバスを1台導入したが、坂の多い道路事情から、翌2006年度から床高さを標準仕様から上げる独自の仕様を採用した上で本格的な導入となった。
- ^ バス用の後輪に用いられる中間部分が低い特殊なホーシング・ユニットのこと。ZF社などが製作している。
- ^ 2005年以降は統合車種に移行している。
出典
- ^ a b “2章 ノンステップバスの特徴”. 国土交通省. 2021年1月27日閲覧。
- ^ “三菱ふそう大型路線バス「エアロスター」ノーステップバスにCNGエンジン搭載車を追加”. 三菱自動車工業 (2000年2月9日). 2020年9月7日閲覧。
- ^ “新型大型路線バス「エアロスター」を発表”. 三菱ふそうトラック・バス (2014年6月19日). 2020年9月7日閲覧。
- ^ “いすゞ、大型路線バス「エルガ」をフルモデルチェンジ”. いすゞ自動車 (2015年8月18日). 2020年9月7日閲覧。
- ^ 日野ポンチョ日野自動車
- ^ 標準仕様ノンステップバス認定車両の一覧国土交通省
- ^ 大型路線バスがノンステップ認定を取得いたしましたEV Motors Japan
- ^ 東北地方におけるノンステップバス導入促進について(報告書)平成24年3月作成 第1部 ノンステップバスの現況「2章 ノンステップバスの特徴」国土交通省東北運輸局
- ^ 『バスラマ・インターナショナル』通巻89号 p.24
- ^ 『バスラマ・インターナショナル』通巻106号 p.11
- ^ “連節バスのメルセデス・ベンツ「シターロ G」の新型を日本初公開”. トラベル Watch. (2016年10月13日)
- ^ “「国産連節バス」はダイムラーの牙城を崩せるか”. 東洋経済オンライン (2020年3月20日). 2024年2月19日閲覧。
- ^ “いすゞと日野、国産初のハイブリッド連節バスを共同開発”. いすゞ自動車 (2019年5月24日). 2020年10月31日閲覧。
- ^ “いすゞと日野、国産初のハイブリッド連節バスを共同開発”. 日野自動車 (2019年5月24日). 2020年10月31日閲覧。
- ^ “いすゞ、国産初のハイブリッド連節バス「エルガデュオ」を発売”. いすゞ自動車 (2019年5月27日). 2020年10月31日閲覧。
- ^ “日野自動車、大型路線ハイブリッド連節バス「日野ブルーリボン ハイブリッド 連節バス」を新発売”. 日野自動車 (2019年5月27日). 2020年10月31日閲覧。
- ^ “長い! 全長18m「連節バス」発売 いすゞと日野、2年かけ開発 街の風景変わる?”. 乗りものニュース. (2019年5月30日). オリジナルの2019年5月30日時点におけるアーカイブ。 2019年6月1日閲覧。
- ^ “日本初! 都営バスでフルフラットバスの運行を開始”. 東京都交通局 (2018年12月14日). 2018年12月22日閲覧。
- ^ “都バスの新顔「フルフラットバス」導入進む 人が中で詰まる路線バスの課題解決なるか”. 乗りものニュース (2019年5月26日). 2020年9月7日閲覧。
- ^ “誰もが利用しやすい路線バスの実現に向けた取組を進めます”. 東京都交通局 (2017年9月7日). 2020年9月7日閲覧。
- ^ “いすゞ、BEVフルフラット路線バス「ERGA EV」を世界初公開~カーボンニュートラルの実現を目指し、2024年度中の発売を計画~誰もが利用しやすい路線バスの実現に向けた取組を進めま”. いすゞ自動車 (2023年10月25日). 2024年2月14日閲覧。
- ^ “公共交通の電動化を推進する中型電気バスを販売決定”. ビーワイディージャパン株式会社. (2023年11月16日) 2023年11月19日閲覧。
- ^ 『年鑑バスラマ2017→2018』p.23「販売車型の動向」、ぽると出版、2017年12月20日発行。ISBN 978-4-89980-517-5
- ^ “BYD、低価格EVバスを日本で発売、鉄系電池で打倒ポンチョ”. 日経クロステック (日経BP). (2019年5月9日)
- ^ 滝上町の電気バス アジアスター社「オノエンスター」を見学 札幌市南区、2021年10月4日更新
- ^ a b c d e バス車両のバリアフリー化について(令和5年3月末現在) 国土交通省
- ^ “西鉄、路線バスをすべてノンステップに” (日本語). 日本経済新聞 電子版 2018年11月2日閲覧。
- ^ 東北地方におけるノンステップバス導入促進について(報告書)平成24年3月作成 第2部 アンケート調査等「2章 ヒアリング調査及び結果について」国土交通省東北運輸局
- ^ ノンステップバス導入率が高い乗合バス事業者ベスト30(平成31年3月31日現在)国土交通省
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