ドット積 ドット積の概要

ドット積

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/28 09:05 UTC 版)

定義

代数的定義

2つのベクトル a = [a1, a2, ..., an]b = [b1, b2, ..., bn] のドット積は下記のように定義される[1]

幾何的定義

n 次元ユークリッド空間 の幾何学的ベクトル(有向線分から位置の概念を取り除いたもの)a, b に対して、a · b

と定めるとこれは一つの実数を定める。ただし θ はベクトルを有向線分と見なしたときに a, b成す角であり、‖ · ‖ベクトルの大きさ(対応する有向線分の長さ)である。これはすなわち、有向線分 ba 方向へ正射影したものの大きさと a の大きさとの積である。これを におけるドット積あるいは標準内積という。

また一方で、ベクトルを a = [ax, ay, az], b = [bx, by, bz] のように成分表示した場合、(第二)余弦定理を用いることで

が成り立つことが示される。ゆえにこちらを定義とすることもある。

ノルム

ベクトルの自分自身とのドット積の(正の)平方根

ベクトルのノルムという。具体的にベクトルを a = [ax, ay, az] と成分表示してやれば

と書くことができる。これはベクトル a の "大きさ" である。

ドット積とノルムを使えば、2つのベクトル a = [ax, ay, az], b = [bx, by, bz] のなす角は

から求めることが可能である。逆にベクトルのなす角をこの式で定義すれば、その角はベクトルを有向線分と見なした場合のそれらの成す角そのものと一致する。

したがってドット積は(ノルムを通して)、通常のユークリッド空間における長さ、角度に一致する計量を矛盾なく定めるものである。つまり、 でユークリッドの幾何学を考えることと、ドット積を定めることとが等価であることがわかる。


  1. ^ S. Lipschutz, M. Lipson (2009). Linear Algebra (Schaum’s Outlines) (4th ed.). McGraw Hill. ISBN 978-0-07-154352-1 


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