ダチョウ倶楽部 主なギャグ

ダチョウ倶楽部

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/07 04:33 UTC 版)

主なギャグ

計算された3人のコンビネーションで見せる芸が多く、内容はウケる・ウケないではなく、マンネリの美学の伝統芸とされる。リアクション芸は、ノリだけで行っているように見える裏側に「リアクションの際はカメラを凝視する」「限界の状況でも常に安全を確認、かつ最低限のマージンを取って芸に臨む」など緻密に計算されている。「一見つまらないようなギャグでも3人で行うと迫力があって面白く感じる」とも語っている。『アメトーーク』出演時のリアクション芸人講座など自分たちの芸について語る機会があると、リアクションシーン直前にカメラに写りこまない部分で行う準備・リアクション中の様々なテクニック・流れるようなフォーメーションを随所に織り込んでいることを解説している。

ギャグトークの展開が読めることを逆手にとり、オチを始める直前にメンバー以外の他者から「例の“キス”だろ?」などとツッコまれ、ギャグ不成立で「笑い」を誘う事例も見られる。特に有吉弘行などが使用する。

2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、「密」状態の回避が難しい熱湯風呂・キス芸・熱々おでん、など得意とするギャグは自粛している。後記のキス芸のように一部対策して継続する場合もある[10]

上島死去後、肥後・寺門の2名体制になったが、下記のギャグはそのまま引き継いだ。また、第三者を上島役にしてボケさせるパターンも生まれている。

  • 聞いてないよォ」(1993年流行語大賞大衆部門・銀賞)
    • グループの知名度を広めた「お笑いウルトラクイズ」で生まれたギャグである。収録開始の直前でも企画内容の詳細を知らされておらず、収録中の仕打ちが過酷であったことから、寺門が思わず口にした「聞いてないよォ」のひとことから生まれた。その後、同番組の企画が過激かつ過酷さを増すと、実際の受傷事故などを防ぐために番組の企画会議から参加した。定番化した頃には、あらかじめ知っていたのに3人が声を揃えて白々しく吐くギャグ、として認知された。「どうぞどうぞ」など他のギャグが広く知られると、テレビのバラエティ番組で披露する機会が減少したが、イベントやCMなどで披露した[11]
    • 織田信長」(高橋英樹主演)への客演時にも、出演シーン(長篠の戦いに際し野戦築城の材を担いで行軍する場面)での台詞に反映されている。
  • 「(上島)俺は絶対やらないぞ! (肥後)お前やらないの?じゃあ俺がやるよ! (寺門)いやここは俺がやるよ! (上島)……じゃあ俺がやるよ。 (肥後&寺門)どうぞどうぞ!
    • 熱いおでんを食べるなどの過酷な企画を誰がやるか決める時のギャグ。「ナイナイナ」(テレビ朝日)の企画で偶発的に生まれた。
    • 逆さバンジージャンプなどのスタントを担当する者を決める際、ナインティナイン石塚英彦らとともにこのギャグを演じる。当時はいわば「ナイナイナ」限定のギャグだったが、「ナイナイナ」終了後は他の芸人とも一緒にやるようになった。また上島の代表的な芸として認知されているため、上島しかいない場合でも他の芸人やタレントから彼に対して振られる(=上島にスタントをやらせるために行う)こともしばしばある。
    • たまに「俺は絶対やらない」の代わりに「俺は○○じゃない」(○○には人物名が入ることが多い)というフレーズを使い、その後同じような流れでいったために最後の「どうぞどうぞ」がかなり不自然な形になり、上島が「使い方が違う!」とキレる変形パターンも披露している。ダチョウ倶楽部のメンバー以外との絡みでよく発生する展開である。
    • この「どうぞどうぞ!」を数回繰り返した後、周りの「俺がやるよ」を飛ばして上島が単独で「じゃあ俺がやるよ」と発言し「どうぞどうぞ」と譲られ「結局俺かよ!」とキレるパターンもある。
    • その演者を選ばないギャグの汎用性の高さと「最後にやらせる人さえ決まっていればいい」というオチのわかりやすさからか、上島以外の芸人やアイドルグループのトークなど、ダチョウ倶楽部が居なくても半ば「お約束」として用いられる。一般人も巻き込み100人以上で行なったこともある。
    • 2011年3月11日東北地方太平洋沖地震東日本大震災)において、食糧やガソリンなどの物資を買い占めせずに被災者に譲ろう、という趣旨でインターネット上などでこのギャグが取り上げられ、先に『節電』の趣旨で取り上げられていた新世紀エヴァンゲリオンの『ヤシマ作戦』に倣い『ウエシマ作戦』と呼ばれるようになる。
  • 訴えてやる!
    • (おもに有吉・土田などから理不尽な扱いを受けて)上島がキレて床に帽子を叩き付けた後、指を指しながら吐き出す台詞。バリエーションには「告訴するぞ!」がある。「聞いてないよォ」と同様に一世風靡したギャグだが、近年は上島が自身ネタ紹介的に披露する程度。キレてから帽子を取り出して一度被ってから行うパターンや、なぜかこのギャグを長く引っ張って出し惜しみする、というパターンもある。
  • 「(肥後と寺門)テレビテレビ!カメラ回ってる!!(三人)すいません、取り乱しました
    • 「訴えてやる!」とのコンボで使うことが多い。これを行うことで、その場を丸く収める。上島が単独出演する場合などは、上島本人が「すみません」と納めて自己完結する。
  • クルリンパ
    • 上島の芸。クルリンパと言いながら、叩き付けた帽子を手際よく頭にのせる。「訴えてやる!」等との合わせ技。ただし本人もいつ使っていいのか分からないことを後輩に漏らしている。発展技としては逆回転する「パラリンク」がある。
  • 「(上島)押すなよ!押すなよ!絶対に押すなよ!
    • 上島が熱湯風呂に入る時の決まり文句で、「押すなよ」は準備中、「絶対に押すなよ」は準備完了(押してくれ)の合図である。初出は上島が熱湯兄弟の長男も務めた「スーパージョッキー」(日本テレビ)の名物企画「熱湯コマーシャル」。
    • 上島の解説では、このセリフを言う直前に肥後・寺門に指を出し、その指の本数分「押すなよ」と言ったら2人が押すという時もある。
    • 肥後と寺門が本当に押さず、しばらく経ってから上島が「押せよ!」とキレるパターンもある。その派生として「押せよ!」とキレるのがわかっている芸人は言っている途中に押す。
    • 現在では熱湯以外のシチュエーションにおいても、「〜するな」という文句が暗に「〜しろ」と示しているものとし、お笑いにおける暗黙の了解の一つとして用いられている。
    • これには続きがあり、上島が熱湯風呂に突き落とされ溺れ助け出された後、仰向けにされ、心臓マッサージの要領でおなかをさすられると、噴水のように水を口から出す。そして目を覚ました後不意に立ち上がり、カメラに向かって一言ネタでオチをつける。なぜか「ハッピーターン」が使われやすい[注 1]
    • たけし軍団で『スーパージョッキー』で共演していた東国原英夫(当時:そのまんま東、以下:東)によると、『アイドルパンチ』(テレビ朝日)から『スーパージョッキー』にうつったころ、熱湯風呂の原型ともいえる「人はお風呂に何℃まで我慢して入れるか」という企画を行った際、ビートたけしの一番弟子でもある東が一番熱い状態の風呂に入る羽目に。しかし、東の意向とは関係なく、たけしが押してくるため、「(自分の間で入りたいから)押さないでください、押さないでください」といったところ、たけしに「押せってことだろ?」と突き落とされたのが原型だという。ダチョウ倶楽部が行って広まって以降は前述通り「暗黙の了解=お約束」のようになっているが、当時の東からすれば「マジだった。本当に自分の間で入りたかっただけ。」なのだという[12]
  • ヤー!!」(登場時の掛け声として多用。掛け声と同時に、両手を斜め前に出すが一方の手を短くしズラす)
  • ムッシュムラムラ」(目の前に水着美女が居た際、拝むように放つ。元は関敬六のギャグ)
  • つかみはOK!」(あまりウケないギャグをやった後に行うが、初めからこのネタを言うためにその前のギャグが存在することすらある。初の冠番組のタイトルにもなる。元々は笑福亭笑瓶の発言で生まれた)
  • みんな仲良く脇(和気)・アイ!アイ!
  • 金貸してくれ!
  • (「バカじゃないの?」などと言われた後、怒ったような感じで)「何?バカ?」 (急にバカっぽく)「はは〜ん、バカだなぁ!」(元はWけんじのネタから来ている)
  • ごめ〜んチャイチャイチャイニーズ
    • ウンナンの気分は上々の企画で生まれたギャクで、作ったのは上島である。元々はテンションが低いギャクがったのだが、居酒屋の店員に披露したときは、多少テンションを上げて披露したがあまり受けなかった。しかし、現在では何かミスして謝罪する場面に多用されるギャグとなっている。
  • ストッピング!
    • スーパージョッキーのコーナー、「どうですか〜?お客さん」の中で生まれたギャグで、商品紹介のために移動式セットがスタジオに入場する際に、誘導をしていた3人がタイミングを合わせ、叫んでセットを止める。天才てれびくんでは、てれび戦士達がダチョウ倶楽部の3人を呼び出す時の合言葉として、前述の「ムッシュムラムラ」と合わせ、「ムッシュムラムラ、ストッピング!」と叫んでいた。
  • この○○(料理名)は甘からず、辛からず、かといって美味からず」→「まずいんじゃね〜かよっ!
    • 上島がグルメ企画などで、味の感想を求められた時のために作られたギャグ。以前、自動車雑誌「J's Tipo」で別人による同じネタが掲載されたが、そのときのオチは「もう食うな!!」だった。
  • ヨゴレでごめーんねっ
  • カットしないでね
    • 連続でネタを披露する際に、次のネタに移るタイミングで挟む。
  • あれ、いつの間に
    • 熱湯風呂などを用意された際に「企画をやるなら、あらかじめ告知してくれなくては困る」という趣旨の発言をしながらも服を脱ぎ、その下にはすでに水着が装着されている。現在では「聞いてないよォ」が使われなくなり、こちらのパターンが多い。
  • そんなお前にチェックメーイト!
    • このギャグもいつ使うべきなのか分からず、未だ手探りである。
  • 上島竜兵○歳、代表作これと言ってなし
  • ナイスネイチャー!
    • 寺門がネイチャージモンとして相手を褒めるときに使う褒め言葉。対語は「バッドネイチャー
  • フェー!フェー!フェー!」(上島が行うフェーフェーおじさんネタ)
  • 殺す気か!
    • グレードアップさせたものとして「殺せー!」がある。
    • このギャグに加えて前述の「訴えてやる!」とセットで使われることも多い。
  • ジャンプ芸
    • 何らかの理由で上島が怒り、足を地面に叩き付けると、その衝撃(?)で周りの芸人がピョンと軽く飛び上がる、というもの(「となりのトトロのパクリだった」と上島本人はカミングアウト済)。最初は周りの数人が飛び、何度か繰り返して飛び上がる人数を増やしてゆく。状況によってはスタジオにいるスタッフや観客も飛び上がり、最後にダチョウ倶楽部の3人で「ご協力ありがとうございました」と言うパターンもある。「どうぞどうぞ」と同じく汎用性の高いギャグ。誰もジャンプせずに上島がキレる、というパターンも存在する。
  • キス芸
    • 上島が他のメンバー、主に肥後・出川・カンニング竹山などと1対1の口論になり、ヒートアップして互いに相手に詰め寄るが、何故かキスをしてしまい、和解して丸く収まる、という流れ(土田や有吉には詰め寄っても拒否される、というパターンもある)。
    • 2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、キスの直前にメンバー(肥後など)がアクリル板を2人の間に差し出し、アクリル板越しにお互いが口づけをするという対策が取られていた[10]
  • ケンカ芸
    • ひな壇や多くのタレントがいる時に使われ、上島が怒り出して相手の下へ詰め寄っていき、周囲がケンカを止めようと取り囲んでいると、いつの間にか上島が下着一枚になっており、カメラに向かって、なぜか「ハッピーターン」などの一発ギャグで締める流れ。変形パターンとしては、取り囲みの解除が早すぎて脱いでいる最中の姿を見られる、といったものも存在する。「どうぞどうぞ」やジャンプ芸と共に汎用性も高く、司会者が続けざまに他のタレントに振るときもある。
  • やってくれたな!
    • 上述のジャンプやケンカなど周囲の暗黙の協力で行われるギャグにおいて、「ジャンプしない」「取り囲み解除が早い」等、周囲が故意に成立させず、結果上島がスベった空気になり、キレる。
  • ポイントゲッター!
    • 両手で乳首を引っ張るポーズ。
  • 熱々(あつあつ)おでん芸
    • 鍋で煮込まれているおでんを使った一連のギャグ。寺門が上島を羽交い締めにし、肥後が熱いおでん種を食べさせようとする。しらたきを食べさせると思わせて、頬につけられた上島が熱がる(上島はおたまを使って冷やそうとする)、玉子を口に入れ、あまりの熱さに吐き出す、など。このおでんはマネージャーが毎回調理しており、おでんの材料・温度・具材の位置は状況に応じて微妙に変えているという[注 2]
  • 友達で〜き〜た〜♪
    • キス芸の発展形。「クレラップ」のCMソングのパロディ。相手に殴り掛かる振りをして肩を組み交わして歌う。

出典

  1. ^ 【速報】ダチョウ倶楽部・上島竜兵さん死去”. FNNプライムオンライン. フジテレビジョン (2022年5月11日). 2022年5月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  2. ^ ダチョウ倶楽部もクビに 出る杭は打たれるが何も失わない
  3. ^ 肥後克広、ダチョウ倶楽部の元メンバーを告白「近藤芳正さんっていう役者の方が」”. エンタメRBB(iid) (2018年5月27日). 2021年10月18日閲覧。
  4. ^ 関西テレビマルコポロリ』2021年5月23日放送
  5. ^ a b ダチョウ倶楽部 苦楽40年「もう一花」かなわず…計り知れない悲しみ”. スポーツニッポン (2022年5月15日). 2022年5月15日閲覧。
  6. ^ 電撃ネットワーク・南部虎弾 心臓移植そして、生体腎移植…「先がないと思ったときに」”. 東スポ (2022年3月27日). 2022年3月27日閲覧。
  7. ^ 上島竜兵さん密葬しめやかに 肥後、ジモンが追悼「天才芸人上島が最後にしくじりを…」”. スポニチアネックス (2022年5月14日). 2022年5月16日閲覧。
  8. ^ 9月11日(金)”. カンテレ(関西テレビ放送) (2020年9月11日). 2020年10月4日閲覧。
  9. ^ 35周年ダチョウ倶楽部 存続の秘訣は野心のなさ「『1回だけやろう』が良かったのかも」”. Sponichi Annex (2020年9月12日). 2020年9月12日閲覧。
  10. ^ a b 上島竜兵さんが死の前に語った「コロナ禍の笑い」 触れあい制限され「俺としては商売あがったり」”. 東洋経済オンライン (2022年5月11日). 2022年5月13日閲覧。
  11. ^ キンライサー、サービスの全国拡大と共に新CMにダチョウ倶楽部×アン ミカを起用!”. PRTIMES (2021年10月1日). 2022年5月13日閲覧。
  12. ^ 出典:週刊プレイボーイ2020年第31・32合併号「令和に語り継ぎたい昭和・平成芸能伝 東国原英夫」pp.156
  13. ^ a b c d e f ダチョウ倶楽部 - オリコンTV出演情報
  14. ^ ゴムパッチンや熱湯風呂を疑似体験できる番組「求む!4人目のダチョウ倶楽部」”. お笑いナタリー (2016年12月28日). 2018年1月15日閲覧。
  15. ^ 吉井和哉×ダチョウ倶楽部! コラボ曲がバッジ型音楽プレイヤー「PLAYBUTTON」で数量限定発売 - CDJournal.com ニュース”. 2012年4月10日閲覧。

注釈

  1. ^ 同番組内の「ガンバルマン」のコーナーでたけし軍団が挑戦したのが元祖。
  2. ^ 80年代にフジテレビ系で放送されていた「オレたちひょうきん族」内のコントコーナータケちゃんマンで、ビートたけし片岡鶴太郎に向けておでんの具を顔に付けたのが元祖。


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