コピーガード リージョンコード等について

コピーガード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/04 01:19 UTC 版)

リージョンコード等について

電機メーカーやコンテンツメーカーがビデオソフトなどを利用できる地域を制限することは、消費者の財産権知る権利幸福追求権に反すると考えられる。Blu-ray Discでは、現在主流のDVDとは異なり、リージョンコードこそあるものの日本のリージョンコードがアメリカと同じになっている。これからは、アメリカ国内でのみ販売されているコンテンツを、日本向けの機器で視聴が可能になる可能性もある。また、現在主流のDVDについても、一部のメーカーからはリージョンコードフリーのプレーヤーも販売されている。日本は2かALLとなる。

攻撃的なコピーガード

上記の通り、他人の著作物等に施されているコピーガードを回避してコピーを作成する事は違法行為であるが、違法である事を知りながらコピーガードを回避する一般消費者は依然として後を絶たない。そうした中、無許可での複製を防ぐために、ユーザーに断り無く秘密裏に監視ソフトをユーザーのパソコンに組み込んだり、不正を行った場合にユーザーのパソコンのデータを消去するような、攻撃的なコピーガードも登場した。前者の方法は多くの正規利用者にも影響が及ぶ。自己の権益保護のために他者の権利に損害を与えるような手段は自己防衛のためといえども自力救済を禁じた近代法の理念に反し、そのような行為は電子計算機損壊等業務妨害罪や電磁的記録毀棄罪などに問われる可能性がある。2011年の刑法改正で、このような攻撃的なコピーガードの作成および提供が不正指令電磁的記録に関する罪に問われることとなり、法が世論に追いついたことで、少なくとも日本においてはこのようなコピーガードはほぼ姿を消した。

WinGroove事件 [1][2]
シェアウェアソフトウェアシンセサイザWinGroove」に、不正に流通している特定のIDとパスワードを入力すると、ハードディスクのFATを消去しデータを読み出せなくしてしまうトラップが仕掛けられていた事件。なお、作者は試験的に作って組み込んだトラッププログラムを取り除かずに誤って公開してしまった事故と主張している。その後のバージョンのWinGrooveにはこのルーチンは実装されていない。
Vocal Cancel事件 [3]
シェアウェアの音声ファイル変換ソフト「Vocal Cancel」に、不正に流出していた特定のIDとパスワードを入力すると、トロイの木馬としての活動を開始するというトラップが仕掛けられていた事件。作者は意図的にこの機能を実装したことを認めている。
ソニーBMG rootkit事件 [4]
ソニー・ミュージックエンタテインメント (米国)のCDに入っていた、著作権管理ソフトウェアXPCにマルウェアの一種ルートキットが組み込まれていた事件。アメリカでは訴訟騒動にもなった。
EAによるSecuROM問題 [5][6]
ビデオゲーム開発大手のエレクトロニック・アーツ社が自社製品とその体験版にSecuROM技術を組み込み、それを利用するパソコンにおいてインストール回数が3回までに制限されたり、製品と同時にインストールされたSecuROMソフトウェア自体の削除が不能になったり、ポータブルデバイスおよびリムーバブルデバイスへのアクセスが出来なくなったというもの。また、訴状によればSecuROMはコンピュータの基幹部分にインストールをされ、当該コンピュータ端末の動作を監視、一定状況下での動作を制限したりコンピュータの処理能力を乗っ取り情報をエレクトロニック・アーツ社に送信しているとしている。

その他

デジタル放送における、いわゆるコピーワンス(B-CASを利用したスクランブル放送等)

BS 110度CS 地上デジタル共用B-CASカード

放送の録画を制限する法令はないが、制御信号のエンフォースメントを理由として無料放送で実施されているB-CASカードを用いたスクランブル放送は、結果的に受信機(TVや録画装置等)市場の大手家電メーカーによる独占を招いており、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)違反であるとの指摘がある。また、スクランブル放送開始後(いわゆるコピーワンス開始後)は株式会社B-CASと契約を締結しなければ一切の放送視聴が不可能(シュリンクラップ契約の締結により開封されたB-CASカードを機器に挿入しなければ、スクランブルが解除されない)であり、あまねく受信を義務付けた放送法への抵触など、数々の法令違反の可能性が指摘されている。詳しくは、B-CASを参照されたい。

ストリーミング配信

ストリーミングでは、ファイルをダウンロードしながら再生を行うため、基本的に受信したファイルは保存されない。主にダウンロード完了後の再生では大きな支障が出るライブ配信などで用いられるが、コピーガード目的でストリーミング配信限定とするケースも見受けられる。但し、超低速回線(〜1Mbps)では再生すらできない場合がある、フリーソフトなどによる回避手段が存在するなど、十分ではない点も多い。

創作コピーガード画面のインターネット・ミーム化

マリオパーティDS』のコピーガードを映したと主張する動画が投稿され、2020年末より話題を呼んでいる。これはほぼ創作動画であると結論付けられているが、この件をきっかけに、任天堂タイトルに海賊版対策を警告する架空のホラー演出を導入するネタはインターネット・ミーム化してきている。一方、この種のミームの存在から、過去のコピーガードについて実在するかどうかの裏付けの有無が取り沙汰され、その少なからずについてユーザーが面白がって創作したという疑念が抱かれるようになった[27]


注釈

  1. ^ (著作者若しくは著作権者又は実演家若しく著作隣接権者)以下同じ
  2. ^ 著作者人格権若しくは著作権又は実演家人格権若しくは著作隣接権。以下同じ
  3. ^ 著作物、実演、レコード、放送又は有線放送。以下同じ
  4. ^ なお、デジアナ変換される一部のCATVアナログ波再放送においても仕様上コピーガードが掛かるものがある。
  5. ^ 2018年(平成30年)12月30日施行のTPP11改正で、これに「出版権」が追加される。
  6. ^ a b c 著作物、実演、レコード、放送又は有線放送
  7. ^ 著作者の解散もしくは死後、または実演家の死後の人格的利益の保護(法60、法101の3)

出典

  1. ^ Apple and Adobe: The Roots and Reasons Behind Today's Situation
  2. ^ Some Windows Apps Make GRUB 2 Unbootable
  3. ^ 音楽配信メモ - なんでDVDコピーは「違法」なの!(日経クリック 2003年10月号)
  4. ^ 平成24年通常国会 著作権法改正等について 文化庁の見解”. 文化庁. 2012年7月13日閲覧。
  5. ^ リッピングソフトをアップロードしていた者を著作権法違反で初めて検挙及び、出版社従業員等を著作権法違反の幇助でも検挙”. JVA. 2015年8月19日閲覧。
  6. ^ ソニー、自社製プレーヤでも再生できないプロテクトでDVDを保護 Engadget Japanese 2007年4月20日
  7. ^ Digital Content Protection(HDCP公式サイト)
  8. ^ Intel: Leaked HDCP copy protection code is legit (cnet news - 2010年9月16日(英文)、2010年9月20日閲覧)
  9. ^ a b 不正コピー防止技術「HDCP」のマスターキー流出、Intelが調査 (ITmedia News - 2010年9月20日、同日閲覧)
  10. ^ a b 「HDMIやDVIの著作権保護に使われているHDCPは完全に崩壊している」と専門家が指摘 GIGAZINE 2013年2月20日
  11. ^ COPPが対応しているはずのドライバが、Hyper-Vが生きていると Microsoft
  12. ^ a b Windows 10ではSecuROMなど従来のDRM採用ゲームがサポートされないため一部の人気タイトルがプレイできないと判明 GIGAZINE 2015年8月19日
  13. ^ Windows 32bit UPDATEによるプロテクトエラー解決方法 SETTEC
  14. ^ Windows Vista 用セキュリティ更新プログラム (KB2779030)
  15. ^ Windows Vista 用 Internet Explorer 9 の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB2761465)
  16. ^ JVNDB-2012-005687 Microsoft Internet Explorer 6 から 10 における任意のコードを実行される脆弱性
  17. ^ 記録媒体複製用の複製装置、その方法、及びそのコンピュータプログラム SETTEC
  18. ^ ROOT - Copy Protection Technology - ウェイバックマシン(2004年4月14日アーカイブ分)
  19. ^ CD/DVD copy protection solutions”. StarForce. 2022年5月18日閲覧。
  20. ^ 下級生2の検証”. ベクターの作者ページ(Feldlotos). 2014年1月8日閲覧。
  21. ^ “君は「マニュアルプロテクト」を知っているか? 小島秀夫監督のゲーム作品に見る“認証の謎解き”:架空世界で「認証」を知る(2/2 ページ)”. ITmedia NEWS (アイティメディア). (2019年5月7日). https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/07/news011_2.html 2022年9月12日閲覧。 
  22. ^ JEITA - 民生用電子機器国内出荷統計 2006年・2005年比較
  23. ^ JEITA - 民生用電子機器国内出荷統計 2007年・2006年比較
  24. ^ <DVDレコーダー>普及進まず 操作の難しさなどで敬遠か 毎日新聞
  25. ^ 販売急落DVDレコーダー 本当に「必要なの」? J-CAST
  26. ^ なぜか日本よりゆるいアメリカのデジタルTVコピー規制
  27. ^ 任天堂が『マリオパーティDS』にて“恐ろしい海賊版対策”を施していたという噂が広まる。システムが海賊版ユーザーを罵りまくる AUTOMATON (2021年1月12日) 2021年3月22日閲覧。






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