カルメン (オペラ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 16:41 UTC 版)
概説
オペラ『カルメン』は、プロスペル・メリメの小説『カルメン』を元に、アンリ・メイヤックとリュドヴィク・アレヴィがリブレット(台本)を作り、ビゼーが作曲した4幕もののオペラである[1]。音楽(歌)の間をレチタティーヴォではなくメロディのない台詞でつないでいくオペラ・コミック様式で書かれていた。
1875年3月3日、パリのオペラ=コミック座で初演された[1]。初演は不評であった[2]が、その後の客入りと評判は決して悪くなく、ビゼーのもとには『カルメン』のウィーン公演と、そのために台詞をレチタティーヴォに改めたグランド・オペラ版への改作が依頼された。この契約を受けたビゼーだったが、持病の慢性扁桃炎による体調不良から静養中の6月4日、心臓発作を起こして急死してしまう。そこで友人である作曲家エルネスト・ギローが改作を担当してウィーン上演にこぎつけ、それ以降フランス・オペラの代表作として世界的な人気作品となった。リブレットはフランス語で書かれているが、物語の舞台はスペインである。そのため日本では役名の「José」をスペイン語読みで「ホセ」と書きあらわすが、実際はフランス語読みで「ジョゼ」と発音して歌われる。音楽もハバネラやセギディーリャなどスペインの民族音楽を取り入れて作曲されている。
近年では、音楽学者フリッツ・エーザーがビゼーのオリジナルであるオペラ・コミック様式に復元するとして、1964年にアルコア社(Alkor-Edition)から出版した「アルコア版」による上演も行われる。現行の主要な版は原典版のほか、オペラ・コミック版、グランド・オペラ版、メトロポリタン歌劇場版がある。ギロー版はフランス語ネイティブ以外のキャストでも台詞に訛りがつくのを避けられることもあり、現在でも使用されている。
2000年代初めには決定版ともいうべきミヒャエル・ロート(de:Michael Rot)による校訂版が作られており、一応の完成(A:自筆譜)から初演時点、初版などの各時点とその周辺の成立時点ごとに全てが併記されており、指揮者や演出家などのプランナーが自由に取捨選択することが可能な版となっている。校訂報告も簡潔な文章で、表になっていて非常に読みやすいものとなっている。日本では桐朋学園大学図書館が所有していて、閲覧や各地の図書館との連携によって貸出可能である。
- ^ a b c d e "カルメン". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2023年10月8日閲覧。
- ^ 中野京子『印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ』NHK出版、2011年、16頁。ISBN 978-4-14-088350-1。
- ^ Sulcas, Roslyn (2015年7月23日). “Review: Suspense and Charisma in ‘The Car Man’ in London” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2020年3月23日閲覧。
- ^ 三宅幸夫. "カルメン". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2023年10月3日閲覧。
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- ^ "マッツ エック". 日外アソシエーツ「現代外国人名録2016」. コトバンクより2023年10月3日閲覧。
- ^ “エック振付「カルメン」”. 東京バレエ団. 2023年10月3日閲覧。
- ^ a b "カルメン・ジョーンズ". デジタル大辞泉プラス. コトバンクより2023年10月3日閲覧。
- ^ <「カルメン」顔寄せコメント>
- ^ “ミュージカル『カルメン』”. 天王洲 銀河劇場. 2023年10月3日閲覧。
- ^ “Calli(カリィ) ~炎の女カルメン~”. 天王洲 銀河劇場. 2023年10月5日閲覧。
- ^ “「Romale」開幕、松下優也が花總カルメンへの狂おしい愛を表現”. ステージナタリー (2018年3月23日). 2023年10月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 60年史別冊 1974, p. 105.
- ^ a b c 90年史 2004, p. 297.
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- ^ “ミュージカル・プレイ『激情-ホセとカルメン-』”. 宝塚歌劇公式ホームページ. 2023年10月5日閲覧。
- ^ “バウ・ロマンス『FREEDOM ミスター・カルメン』”. 宝塚歌劇公式ホームページ. 2023年10月5日閲覧。
- ^ “バウ・ロマンス『FREEDOM ミスター・カルメン』”. 宝塚歌劇公式ホームページ. 2023年10月5日閲覧。
- ^ a b “市川ぼたん&中村橋之助らWキャストで挑む、「今回ならでは」の日本舞踊カルメン”. ステージナタリー (2018年6月22日). 2023年10月5日閲覧。
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