イソアワモチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/15 08:06 UTC 版)
イソアワモチ | |||||||||||||||||||||
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三浦半島和田長浜の長さ約4cmのイソアワモチ。左が頭部。
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Peronia verruculata (Cuvier, 1830)>[2] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
イソアワモチ (磯粟餅) [3] | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
a kind of sea slug 中名 石磺 (shí huáng) |
形態
体長約7cm、最大で10cmを超える平たいナメクジ状の体を持ち、前方左右の触角の先に眼がある(柄眼:へいがん)。内臓は肉帯(notum)で覆われ、背面の突起の上にも外套眼がある[4] [5]。水中では背面後方の樹枝状えら突起で呼吸し、水上では肛門のすぐ後ろにある呼吸孔から空気呼吸を行う[6][7][8]。イソアワモチ類は、大きさや色などは多様なため外観から種を判別することは難しく、消化腺上の腸管の巻き方のちがいや、遺伝子解析によってイソアワモチ属の種の区別ができる[9]。雌雄同体で、肛門のすぐ右に雌性の生殖孔をもち、頭部右側に雄性生殖突起をもつ[8][10]。
生態
イソアワモチは、干潮時に岩礁の穴からはいだして藻類を食べたり繁殖行動を行い、水没時までに穴に戻る。春から夏にかけて集団で摂餌し交尾する。交尾の際に、オスとして行動するときは積極的で、メスの役割の時には消極的になる[11]。初夏から秋に、緑藻や紅藻の上にひも状の卵塊を産卵する。プランクトン栄養型である[12]。冬2月には死亡した個体が見られる[13]。
分布
房総半島以南の本州太平洋側からアフリカ東岸にかけてのインド-西太平洋の、主に潮間帯の岩礁上に分布する[6][14]。生息する海域によって5つの遺伝子群に分かれる[15]。福江島以南では10cm程度の大型になる個体が見られる[16][17]。
人との関係
沖縄では「ホーミ」、奄美では「コウム」と呼ばれ、みそ炒めにして食用とされる[18][19]。
- ^ 佐々木 2010 p.103
- ^ “Peronia verruculata”. WoRMS (2020年10月2日). 2022年6月18日閲覧。
- ^ 玉置泰司 (2002年). “みずべの生き物図鑑 イソアワモチ”. 2022年6月18日閲覧。
- ^ 上島 励「イソアワモチ科」『日本近海産貝類図鑑 第二版』、奥谷喬司(編著)、東海大学出版部、2017年。
- ^ 佐々木 p.103, 189, 247
- ^ a b 世界文化生物大図鑑 貝類, p. 233.
- ^ 佐々木 p.186
- ^ a b Dayrat (2020), p. 136.
- ^ Dayrat (2020), p. 19.
- ^ 濱口.吉岡 (2002), p. 55.
- ^ 濱口.吉岡 (2002), p. 55,58.
- ^ a b 片桐・片桐 (2007), p. 39.
- ^ 川端美千代ら「B01油壷産イソアワモチ (収眼類) の生活史と卵発生への試論」『Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)』第75巻第1-4号、日本貝類学会、2017年、A11-A12、ISSN 13482955。
- ^ Dayrat (2020), p. 31.
- ^ Dayrat (2020), p. 22-26.
- ^ “背中にも眼が!イソアワモチ”. 福江島の博物誌 (2020年). 2022年6月18日閲覧。
- ^ 高木ら (2019), p. 25-27.
- ^ “イソアワモチ料理”. nami-5963.exblog. 2022年6月18日閲覧。
- ^ “コウム(イソアワモチ)の調理方法”. あさのBLOG. 2022年6月18日閲覧。
- ^ 片桐・片桐 (2007), p. 40.
- 1 イソアワモチとは
- 2 イソアワモチの概要
- 3 類似種
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